ボクらのヤングタイマー列伝:第14回『プジョー309 後編』ユーザーの多くが”これ以外乗るクルマがない”と言う、実はたいしたクルマなのです

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという、かつて小社WEBサイトでひっそり!? 連載していた伝説の連載、その進化版がこの『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は前回の前編に続き、遠藤イヅルも自ら所有したこともあるプジョー309が登場! 前期、後期モデルの違いに、後期の稀少グレードまで、コアな情報が満載ですヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第13回『プジョー309 前編』の記事はコチラから

309はたいしたクルマなのです。オーナーは変わり者と言われちゃうのですが……日本でもフランスでも(涙)

前号では連載初となる2号連続の前編として、プジョー309のアウトラインをご紹介しました。そこで今月の後編では、前期/後期型の違いやグレード展開などをお送りいたします。

1985年に登場の309は、前述のとおり本来はプジョーのクルマではなくタルボの一員として開発されたため、ベースの205のドアなどを流用しつつも独特の外観になっていました。グリルデザインはたぶんタルボ時代のままと思います。ところが派生車だったはずの309、広い室内と優れたユーティリティを持ち長距離もラクラクでハンドリングも良いことから、市場では思いのほか反応があり、デビュー4年目の1989年には大きめのマイナーチェンジが行われました。まず前述のグリルが205や405と同様の3本線となり、プジョーらしい表情に変化。リアまわりではテールライトが小型化され、トランクリッドがバンパーレベルまで下げられて利便性がさらにアップし、テールライト形状が405や605と同様にナナメカットされたデザインとなってこちらもプジョーらしさがアップ。インテリアではダッシュボードが一新され、印象を大きく変えています。

さてさて205といえばGTIですが、1987年、309にも追加されました。309GTIは309の美点を持ちつつ205GTIの軽快でパワフルなエンジンを載せた万能快速車として、日本でも205を上まわる評価を得たことをご存知の方も多いかと思います。国内にわずかに残る309GTIユーザーの多くが「309以外乗るクルマがない」と言うのですから、間違いありません。しかもそれ、現地フランスの309クラブ会員も同じことを言うのですから、309はたいしたクルマなのです。オーナーは変わり者と言われちゃうのですが……日本でもフランスでも(涙)。

日本では309GTI(3ドア+左ハンドル+5速M/T)のみで輸入が開始され、205GTI1.9が120psだったのに対し309は本国と同じ130ps仕様でした。1989年にマイナーチェンジを受け、翌1990年にはGTIのエンジンが120psにドロップ、また1.9リッターの100psを搭載する5ドア+右ハンドル+4速A/Tという”量販グレード”の『SI(エスアイ)』が追加され、1992年になると5ドアのGTI(1.9リッターの120psで5ドア+右ハンドル+4AT)と、プジョー905のル・マン優勝記念限定車『ブロンシュ』も登場しました。ちなみにSIは日本向け専売グレードで、ブロンシュは本国では『グリーン』と呼ばれていました。

残念ながらどちらもほとんど売れず、現在日本で実動しているのは合わせても残存ヒトケタというウルトラ級の希少車です。ちなみにワタクシ、まさにその309SIを愛車にしていましたが、イベントなどで「わあ! 309だ! 珍しい!」ってお声掛け頂いても、「これ、しかもSIです」ってお話をすると「???」ってみなさんご困惑の表情に(涙)。いえいえ、それでいいのです。それが珍希少車乗りの最大の喜びでもあるのですから!(笑)。

カー・マガジン469号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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