漆喰の壁に石畳、サックスブルーの両開き玄関ドア。そこはもう、南フランスの田舎町。
“ルパン三世のクルマ”といえば、映画『カリオストロの城』に登場する「フィアット 500」。その舞台はカリオストロ公国という架空の国だが、フィアット 500が爆走するヨーロッパの片田舎や美しい建物は、当然モデルとなる場所が存在するといわれている。
ひとつはフランスの「モン・サン・ミッシェル」。クラリスが幽閉されていた尖った屋根が特徴的な建物は、ドイツの「リヒテンシュタイン城」がモデル。もうひとつはイタリアの「サン・レオ城」だそうだ。
ヨーロッパのお城や邸宅というと、代々大切に受け継がれ、時が経過するほどに美しくなるというイメージだが、栃木県に本社を置く「レジェンダリーホーム」も、「時間とともに美しくなる家づくり」をテーマに個性的な家を建てることで知られている。ここで紹介するのは、同社が手がけたKさんのガレージハウスで、フィアット 500、ポルシェ 356、プジョー 207が格納されたお宅だ。
【写真16点】クルマ3台、南フランスの香り漂うガレージハウスを拝見!
100坪の土地にフランス風の邸宅を!
K邸の玄関がこちら。南フランスで見た路地がモチーフとなっている。まるで、ヨーロッパで撮影したような邸宅だが、この家は同社が10年後、20年後を見据えてどのようなライフスタイルを送るかを考えてプランニングしたこだわりの家だ。レジェンダリーホーム代表のK氏は、ヨーロッパのアンティークハウスへの造詣も深く、フランスをはじめスペインやイギリスなど数多くの家を見た経験を生かし、施主であるKさんの思いを形にしたのだ。
施主Kさんご夫妻がレジェンダリーホームを知ったのは、妹さんご夫婦が家づくりの相談で同社へ一緒に訪問したことがきっかけ。当初は妹さんご夫婦の相談であったが、レジェンダリーホーム代表・K氏と、ヨーロッパのヴィンテージカーや、イギリス、音楽の話など趣味の話で盛り上がったのだそうだ。
それから、打ちあわせをするたびに友達のような付き合いになり、”フランスの豊かな暮らし”に憧れを持つようになったKさんは、自身が所有する100坪の土地に、フレンチトラディショナルをベースにした家づくりをすることとなったのだ。
建築のためフランスに視察旅行を!
なんと、家を建てる準備として、施主のKさんご夫妻とK代表をはじめ数人で南フランスに行き、実際にどのような家がどのような部材を使って建築されているかを、1週間かけて視察に行ったという。
施主Kさんご夫妻にとって初のフランス旅行であったが、凱旋門やノートルダム大聖堂、エッフェル塔、ルーブル美術館といったパリの名所から南フランスの片田舎までたっぷりと巡り、K夫妻にとって住宅の経年変化の実例や、ディテールを決める参考になったそうだ。
そんな中で、Kさんが建築する家のイメージは、南フランスの田舎・エズで見た美しい家に決まったそうだ。その街の家々はしっくいの塗り壁と木を使用したもので、建築後、何十年も経っているにもかかわらず、とても美しかったという。実際のK邸ではガレージ付きの木造2階建てをベースに、壁面は素材の違う漆喰をグラマラスに施工。玄関まわりは南フランスの街路地をイメージした床や壁の仕上げとしている。
ビルトインガレージは大きなオーバーヘッドドアを付け、リビングからガラス越しにクルマを眺めることができる設計に。白い漆喰が明るい室内は、天然木や石をナチュラルに配置した開放的な空間となっている。
さて、ガレージに入るクルマだが、1962年式のフィアット 500とともに収まるのは、同じく1962年式のポルシェ356 スーパー90。元々ナローに乗っていたKさんが、最近特に気に入っているクルマである。この356はレースで知り合った方から譲り受けた個体で、コンディションがよく、しかもマッチングナンバーということで購入を決めたそうだ。家もクルマもクラシックな南フランスの雰囲気は、なんとも豊かな気持ちになるガレージハウスだった。
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