ドイツではテレマック保険でアウトバーンを150km/h以下で走ると保険料が安くなる!?【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

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ちょっと少し前まで雪が降ったこちらドイツのミュンヘンですが、やっと春らしい気候になってきました。近所のオリンピック公園(1972年に開催されたミュンヘンオリンピックの会場)にはたくさんの桜の木が植わっており、毎年見に行くのが楽しみですが、昨今は地球温暖化なのか、咲く時期が早くなってしまいました。気温が少し上昇するとすぐに満開になり、一気に散ってしまうというような感じで、うっかりすると見損ねてしまいます。

さて、4月は愛車の自動車保険の更新月でもあります。私はドイツでの自動車所有歴が浅いので非常に高額な自動車保険を毎年支払っており、その金額にはため息しか出ません。現在の愛車を購入して3年目になるのですが、それ以前に乗っていたリース車の無事故歴はカウントされませんので、まさしく初心者同様の等級です。
私の年間の走行距離が非常に多い事とちょっと大きめの排気量のクルマという事で、非常に高い保険料は悩みの種でもあります。現在の愛車を購入する前に、リース契約をしていた正規ディーラーで現在の愛車を購入した事もあり、よく考えずに営業の方がおススメ頂いたアリアンツのBMW保険に加入したら、驚愕の値段でビックリ! 自分で調べなかったのが悪いので、去年は更新の前に色々少しでも保険料が安くなるよう、2年目となる去年はインターネットや色んな方のおススメを伺ったり、実際に店舗の窓口に行ったりもして、ADAC(ドイツ自動車連盟)の保険に変更しました。以前の保険と内容はほぼ同じですが、何とか数万円を節約する事に成功しました。ADACは日本のJAFに当たる機関で、会員になっている私はほんのごく僅かですが、非会員よりも保険がお安くなるとはいえ、それでも年間支払う額はン10万円です。
去年はコロナの影響で普段よりも随分と走行距離が減ったのを思い出し、カスタマーセンターに電話をして値下げ交渉をしました。走行制限を無制限の契約にしていたところを、2万Kmに。すると約4万円も下がりました。もっとなにかお安くなる方法はありませんか?と伺ったところ、『Fahr + Spar』(ドライブ+節約)というテレマックス保険をおススメ頂きました。テレマックス保険ってなんだ?といまもそんなに理解はできていないのですが(苦笑)、ADACの専用アプリと小さな機械を通して自分のドライブスタイルが常にチェックされて、自動車を運転する都度に100点満点で運転評価がされます。マナーよく走れたら最大30%が契約終了後にキャッシュバックされますよ、という事らしいのです。加入に際しては、別途追加料金や機械代は不要でしたので、早速それも申し込む事にしました。機械の裏にはダッシュボード等に貼り付けられるようにテープが付いていましたが、車内ならばどこに置いても良いそうです。

保険が開始する1ヶ月前程にADACからはこの期間に機械を送付します、とのメールが届きました。しかし、いざ届くとプチプチ付きの封筒の中に機械が梱包されずにごろりと入って郵便受けに入っていました。さすがエコの国、ドイツ? 中には簡単な説明書きのカードが二枚同封されているだけで、保険開始近くになったらアプリのログインコード付きのウェルカムメールが届くので、それを待っていてくださいね、との事。しかし、保険開始の1週間前程に現在の走行距離を記載するメールが届いたきり、開始日を過ぎてもなんの音沙汰もなく……。再びカスタマーセンターへ電話をすると、多分1週間後位に届くのではないでしょうかと。いい加減ですよね(笑)。
結局保険開始後6日後にメールが届き、無事にアプリにコードや個人情報を入れてログインしました。しかし、ブルートゥースへの接続がなかなか難しく、またもやカスタマーセンターのお世話になりました。メカ音痴にはイチイチ時間が掛かり、お恥ずかしい限りです。

私は市の中心部まで地下鉄で7分程の距離に住んでいますので、日頃の市内の移動は殆どママチャリ、クルマに乗るのはもっぱら長距離です。1日で最高3回満タン給油をした事があります(笑)。アウトバーンの速度制限解除区間は、夜間や空いている時には気持ちよく走りたい派の私ですので、このテレマックス保険を利用するにあたり、一応カスタマーセンターの方に、速度無制限解除区間では好きな速度で走っても良いのでしょうか?と伺ってみましたところ、ちょっとショッキングな事が・・・。

希望をすれば、アプリ内で保険加入者のポイントランキングにも加われるようです。私もエントリーしてみようかしら。

この『Fahr+Spar』でマイナスポイントと評価されないADAC推奨速度とは? と伺うと、150㎞/hまでと。では、私はずっと減点され続け、来年には支払った高い保険料の30%が返金されるなど、夢物語でありませんか!! ADACの方がおっしゃるには、ドイツのアウトバーンの政府推奨速度は130㎞/hで、150はかなりそれでもオーバーしていますからね、との事。
例えば、私が住むミュンヘン近郊のよく利用するアウトバーンA8号線のウルムとミュンヘン間やA9号線のニュルンベルクとミュンヘン間は、平日の朝から夕方は非常に混みますが、夜間はガラガラで貸し切り状態。しかも道幅も広い3車線道路で非常に走りやすい区間です。一部で区間的に速度制限が設けられていますが、そこと工事区間以外は速度制限解除区間なので、安全には十分気をつけて自己責任でスピードを出す事は合法的に許可されています。深夜には走行車線の私が180~200km/h、真ん中の車両がそれプラス30~50km/h、そして追い越し車線は200km/hの私が非常に遅く感じる程に走り去る速さという事もザラです。それでも150km/h以下で走らないと、テレマックス保険ではマイナスポイントになるのだそうですよ。さて、私はどうこれらを乗り切って、来年にはどれだけの保険金を取り戻せるのでしょうか(笑)。みなさんご期待くださいね!

ウルムとミュンヘン間のアウトバーンのA8号線。アップダウンと適度なカーブがあってとても楽しいハイスピード走行が楽しめる区間です。夜の9時以降は非常に空いています。

初めてADACのFahr + Sparアプリを使用しての走行は、アウトバーンのA9号線をニュルンベルク方面に走行。マイナスポイントが多かったGeschwindigkeit(速度)は100点満点中70点。地図を拡大すると、どこで速度超過をしたのか、何分何秒間で速度超過していたかも分かります。

アプリを利用しての初走行の総合評価100点満点中96点とまずまず。

無事に設定が終了した後に、往復1200km程を走り取材へ行く予定が入りましたので、ワクワクドキドキしながら初めてテレマックス保険のアプリ始動です! 運転を開始する時には特になにもせず、自動にアプリが始動するとの事ですので、最初の休憩がとても楽しみでした。道中は比較的空いており、速度制限解除区間に入った際には、踏みたいところをぐっと押さえて走ってみました。トラックの車間が開いている時に以外は真ん中車線を走る事になるのですが、いつも気持ち良くアクセルを踏むドライブに慣れていたせいか、ゆっくり走る車列についイラっとしそうになるのを反省。追い越し車線の後方から猛スピードのクルマが来ないか十分に確認して、前のクルマを150km/h前後で追い越す機会も多々ありましたが、150km/hで追い越し車線はかなり遅い方ですので、あっという間に後ろからピタッと後ろに着けられえる事も。
お昼休憩の際に立ち寄ったサービスエリアで早速アプリを開くと、ブレーキグやカーブの曲がり方、加速等のポイントごとに100点満点で評価がされていました。初回ドライブでは満点評価多く満足でしたが、やはり速度はかなりのマイナスポイントとなっていました。アウトバーンでは追い越したらすぐに走行車線に戻るのが鉄則のドイツですから、後ろのクルマに迷惑を掛けないように加速したら、それまで何とか150km/hを超えないように頑張っていたのに187km/h を出していました。普段ならどうって事ないスピードですが、このアプリに常時監視されていますし、1セントでも多くの保険金を取り戻したいので、やってしまった~とがっかりです。一日の総計で金・銀・銅で評価され、金をより多く集めた方が有利のようです。褒められたらがぜんやる気が出ますので、どうせなら全部のカテゴリ評価で100点満点を獲得できるように気を付けて運転したいと思います!
このADACのテレマックス保険のインターネットでの評判はあまりよくはなかったので、どうかな?とちょっと半信半疑でした。私はまだ往復1回しか使用していませんが、帰りの1区間では99点をマークするなど、アプリが私をなかなかの高評価をしてくれたお陰で頑張って続けて行けそうな気がします(笑)。

地図をクリックするとどこで法定速度をどれだけ超過し、それも何分何秒間超過していたのかも表示されます。他にもカーブでのハンドリングやブレーキングもどこで悪かった等も後でチェックできます。

ちなみにドイツではまだ日本のようにドライブレコーダーが連動した自動車保険はありません。ドライブレコーダー自体も殆ど普及しておらず、私の周りの友人知人の中でも装着している人は1人しかいません。その理由には厳しい個人情報保護法にもあります。ドラレコの装着が合法的にOKになったのは実は最近の事なのです。従って販売されている種類も非常に少ないのです。レーザー・レーダー探知機も日本では誰でも装着可能ですが、ドイツは禁止で罰金対象になります。また、日本ではごく当たり前に交通事故の現場を通りかかった際にスマートフォンで写真や動画を撮影している方がいらっしゃいますし、その写真や映像をテレビ局が使用している場合もありますよね。しかし、実はドイツでは事故や事件現場の写真や動画撮影は厳禁で厳しい罰則の対象となりますので、ご旅行でドイツへいらっしゃった際にはお気をつけくださいね。かなりヘビーな事故現場に遭遇する事もありますので気を引き締めないと、といつも戒めになります。

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

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