マイナーチェンジ版の新型Q5が上陸した。よりアグレッシブなデザインが施されたエクステリアの変更、マイルドハイブリッドエンジンの搭載、最新のインフォテインメントの採用などがトピックだ。より商品力を向上したQ5の実力を確かめてみたい。
すべてに磨きをかけたベストセラーSUV
クワンタムグレーというソリッドカラーがなかなかに洒落ている。アウディいわく、Q5は世界で最も売れているプレミアムミッドサイズSUVという。現行の2世代目モデルは2017年に登場。基本骨格は最新世代の縦置きエンジン用モジュラープラットフォームMLB evoを採用する。これはセダンのA4〜A8をはじめ、Q5やQ7、Q8、さらにはポルシェ・カイエン、ランボルギーニ・ウルス、ベントレー・ベンテイガまでをカバーしているといえば、その完成度の高さに疑いの余地はない。
今年2月に実施されたマイナーチェンジのポイントは大きく3つ。エクステリア&インフォテイメントのアップデート。2Lガソリン&ディーゼルエンジンに12Vのマイルドハイブリッドシステム(MHEV)を搭載したことだ。
試乗車は、ディーゼルエンジンの40TDIクワトロで、新型ではグレード構成がアドバンストかスポーティなSラインの2種類となり、今回は後者だった。新型では八角形のシングルフレームがフラットで幅広い形状に変更、Sラインではハニカムメッシュグリルがチタンブラックとなる。また、新たにウインカーが流れるように光るダイナミックインディケーターを内蔵したマトリクスLEDライトを装備。サイドシルにはシルバーの加飾が施され、左右のリアライトを繋ぐまっすぐなシルバーのトリムも新型の新たな特徴だ。
室内に乗り込むと、流行のマイクロファイバースエードとレザーのコンビシートが体を適度にサポートしてくれる。インフォテインメントは先代まであったクリックホイールなどを廃して、タッチパネル式の10.1インチセンタースクリーンに機能を集約。「ヘイ、アウディ」と呼びかけると起動する、音声入力システムも採用する。
パワートレインは、2L直列4気筒直噴ターボディーゼルエンジンにベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)と12Vリチウムイオンバッテリーを用いたMHEVを組み合わせている。リアのトランク下に通常の12Vバッテリーと、10kWのリチウムイオンバッテリーを搭載し、回生エネルギーで発進時のトルクをサポートしたり、コースティング時にエンジンを完全停止するなどして効率を高めている。正直にいえば、動作に関しては体感できるものではないが、ディーゼルエンジンとは思えないほど静粛性が高く、発進時も400Nmもの厚いトルクでスムーズに加速する。
足元にはオプションの20インチタイヤを装着していたが、前後ともに5リンク式のマルチリンクサスペンションを採用しているだけあって乗り心地は良好。クワトロシステムは、基本的には前輪を駆動し、状況に応じて電子制御油圧多板式のAWDクラッチをつないで後輪にトルクを配分。システムが4WD走行を不要と判断すればクラッチを切り離し、前輪駆動で走行抵抗を低減し燃費向上を図るというものだ。これも市街地を走行している限りは動作を意識するようなシーンはまったくない。
いま多くのSUVが、スポーツカーへと先鋭化している。もちろんアウディもそうした向きにはSやRSモデルといった商品を展開しているわけだが、このSラインはルックスにはスポーティさを取り入れているものの、非常に静かで、快適で、実用的である。
ベストセラーの理由とは、そういうことではなかろうか。
【Specification】アウディ Q5 40TDI クワトロS ライン
■車両本体価格(税込)=7,390,000円
■全長×全幅×全高=4685×1900×1665mm
■ホイールベース=2825mm
■トレッド=(前)1620、(後)1610mm
■車両重量=1910kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=81.0×95.5mm
■総排気量=1968cc
■圧縮比=15.5
■最高出力=204ps(150kW)/3800-4200rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-3250rpm
■燃料タンク容量=70L(軽油)
■燃費=14.5km/L(WLTCモード)
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=(前)ウイッシュボーン/コイル、(後)ウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ=(前後)ディスク
■タイヤ(ホイール)=(前)235/55R19(ーJ)、(後)235/55R19(ーJ)
■公式ページ https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/models/q5/q5.html
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