一新されたXC40のラインナップ
近い将来、すべての車両を電動化すると宣言したボルボ。
その一歩として、一番の売れ筋でもあり2018-2019 日本カーオブザイヤーを受賞したXC40のラインナップが全て電動デバイスを搭載したモデルへと変更され、ガソリン及びディーゼルの内燃機関のみを使ったモデルが姿を消すことになる。
XC40は、そのデザイン性と質感の高さ、走りの良さ、そして使い勝手というトータルバランスで、世界的にも評価の高い一台であることは読者の皆さんもよくご存じの事だと思う。
そんな一台から、純粋なガソリンモデル、ディーゼルモデルが姿を消すというのは一抹の寂しさを覚えるが、新たにラインナップされるハイブリッドモデルのその走りは、果たして往年のボルボファンを納得させるものなのか。
今回は、そんなボルボ電動化への歴史の中で、その中継役としての役割を担うであろう、マイルドハイブリッドに分類される「B4モメンタム」の、特にその走りに焦点を当てて、レポートしていきたいと思う。
さて、そもそも”マイルドハイブリッド”というのは、本来は発電用に使われるジェネレーターを駆動用モーターとしても利用しようというシステムで、発進時や加速時にジェネレーターが駆動モーターとなってエンジンのパワーをアシストするというものだ。
プラグインハイブリッドなどと比べてモーターはより控えめに、黒子的なポジションでエンジンをサポートすると言って良いだろう。
XC40には、等速走行時などには効率化のために4本中2本のシリンダーを休止する機構が備わっているが、その場合にどうしても発生してしまうトルクの谷をこのモーターが埋めてくれる役割を担うと共に、加速フィーリングや燃費を底上げしてくれるわけだ。
それ故、ドライバーが運転中にそのモーターの存在を意識する瞬間はほとんど無く、従来のガソリンモデルなどとほぼ違和感なく運転することができるだろう。
唯一難点を上げるとすると、ブレーキング時のペダルフィーリングだ。モーターの回生ブレーキと油圧ブレーキの協調制御にはブラッシュアップの余地があり、ブレーキングで一定の減速Gを厳密に保とうとし場合に、ちょっとしたコツが必要だと感じた。
そして走りにおいてもう一つ印象的に感じたのはそのハンドリング。
ステアリングを切った瞬間に、このXC40の素性が優れていることが本能的に理解できるわけだが、そのフィーリングは一言で「スムーズ」。ロールセンターが非常に低く、ドライバーがほとんど車のロール感を感じることのないままにノーズがスッと旋回していく感覚だ。
事前に少し試乗したプラグインハイブリッドモデルと比較してもよりスポーティな印象で、SUVとしての車高を良い意味で感じさせない。
特に今回の試乗コースのようなワインディングでは、上品な質感で車内空間を満たしながらも、運転する楽しさをドライバーに存分に感じさせてくれる一台だと感じた。
結論として、ボルボの電動化の流れを歓迎できないボルボファンにも、まずはディーラーなどで一度試乗をしていただきたい。
正直に言うと、筆者は試乗中にこのモデルがハイブリッドモデルであることをほとんど忘れていた。というのも、それだけ自然にモーターがエンジンをアシストしてくれていて、その調和のなかに所謂”違和感”がほとんど感じられなかったからだ。
今後ボルボが電動化の道を歩むとしても、それには過渡期が存在し、まさにその橋渡しをするのがこのマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドなのだろう。エンジンと電動モーターをうまく共存させ、両者の違和感を無くす。そして徐々にエンジンをフェードアウトさせていくというボルボの目論見がこの一台から垣間見えたような気がする。
そして何より今回の試乗を通して、ボルボが一切の妥協なく、自信を持ってラインナップの電動化に向けて舵を切っていることを理解することができた。往年のボルボファンも納得できるその”味”を残しつつ、未来に向けて着実に進化していくその様を、期待を込めて今後も見守っていきたいと思う。
【specification】ボルボXC40 B4 AWD インスクプリクション(B5 AWD Rデザイン)
■車両本体価格(税込)=5,390,000円(5,890,000円)
■全長/全幅/全高=4425/1875/1660mm
■ホイールベース =2700mm
■トレッド(前/後)1600/1625mm
■車両重量=1750kg
■エンジン型式/種類=B420T6/直4DOHC16V+ターボ+モーター(B420T2/直4DOHC16V+ターボ+モーター)
■内径×行程=82.0×93.2mm
■総排気量=1968cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=197ps(145kW)4800-5400rpm(250ps(184kW)5400-5700rpm)
■最大トルク300Nm(30.6kg-m)1500-4200rpm(350Nm(35.7kg-m)1800-4800rpm)
■モーター型式/種類=3330/交流同期電動機
■最高出力=13.6ps(10kW)
■最大トルク= 40Nm(4.1kg-m)
■燃料タンク容量=53L(プレミアム)
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■燃費(JC08/WLTC)=-/12.5km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前 ストラット/コイル 後 マルチリンク/コイル
■ブレーキ 前/後=Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)=前 235/50R19(7. 5J)後 235/50R19(7. 5J)
問い合わせ先=ボルボ・カー・ジャパン https://www.volvocars.com/jp
この記事を書いた人
1983年生まれ。16歳よりモータースポーツ活動を開始し、英国でフォーミュラカーレースに参戦しながら本場のドライビング理論を学ぶ。帰国後は活動の幅を広げ、豊富な経験を活かして自動車ライターとしても活動を開始。そのドライビング技術を活かしてクルマの素性を引き出すリポートを得意としている。
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