高級ソフトハットの代名詞といわれる｢ボルサリーノ」。鬱陶しい梅雨が終わって、照りつける太陽の季節はもうすぐ。今年の夏は、クールなパナマ帽でオトコを上げてみては？

※この記事はル・ボラン2014年8月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。

パナマ帽ひとつで自分が変わる！

今年の夏も暑くなりそうだ。クールビズも誕生して10年、あまりの暑さにいまやオフィスで短パンも登場しているとか。しかし大人としての礼節は損ないたくない。そこでこの夏お薦めするのがパナマ帽だ。被れば強い日差しを遮り、木陰にいる気分。しかも見た目にも涼しげなのがいい。周囲に与える清涼感は、自身の快適さにも通じるのである。

パナマ帽は約100年前、当時のアメリカ大統領ルーズベルトがエクアドル視察で愛用した帽子がもとになった。日本でいえば麦わら帽のような素朴な実用帽子に、ダンディなフォルムを組み合わせたのである。こうしてエキゾチックな南米の文化と欧米のファッションが融合し、それまで夏に帽子を被る習慣のなかった紳士の新たなフォーマルスタイルとして一躍ブームとなった。いわば当時のクールビズであり、機能性素材のような機能を伴った革新的な進化だったのだろう。

イタリアの高級帽子ブランド、ボルサリーノはそうしたパナマ帽の普及にもひと役買った。創業からの哲学は｢被りやすく、軽い｣ということであり、実用性を重視しつつ常に時代のエッセンスを取り入れ、基本は変えることなく、自由なスタイルを生み出してきた。それがクラシックにこだわる英国ブランドとは異なる点であり、いつの時代もボルサリーノが新鮮に見える理由なのだろう。

流麗なラインはカロッツェリアの伝統が息づき、まるでアルファロメオの4Cを思わせる。日本人の骨格に合わせた帽体を採用するのではなく、あくまでもオリジナルのスタイルにこだわるのもイタリアブランドならではの美学。だが被ってみればスタイルの美しさが際立ち、大きさは感じさせない。スーツでもオーダーメイドが体型を強調してしまうのに対し、プレタポルテが本来のデザインを維持することでスマートに見せる感覚に近い。

正統派のパナマ帽子にはスーツを着なくてはと思われるかもしれないが、そんなことはない。ジーンズに白シャツ、Tシャツに短パンでもいい。むしろカジュアルなスタイルがドレッシーになる。それがコスプレではない、現代的な楽しみ方であり、ボルサリーノにふさわしいと思う。ドライブ先でも被るだけでスタイリッシュに仕立ててくれるのだ。

ただし車内では強い日差しを避けるように。かつての指定席だったリアウインドー下はオッサン臭いばかりか、帽子にとっても決してよくはないのでご注意のほど。

BORSALINO PANAMA SERIES
いまや高級帽子の代名詞的存在｢ボルサリーノ｣は、1857年、イタリア・アレッサンドリアに誕生。創設以来150年を経た今日でも、熟練の職人によって創設時と同様の製法が頑なに守られているが、その一方で柔軟に時代のライフスタイルに合わせてアレンジされながら進化を続けている。ただし、イタリアならではのシャープでセクシーなフォルムは不変だ。ボルサリーノといえば、ラビットファーを素材に使ったフェルト帽が代表的だが、今回ご紹介するのは春夏シーズン用の天然草を用いたパナマ帽。エクアドル産の厳選されたトキヤ草を使い、自然な風合い、均等性、軽量な量感をもって仕立てられた最高級の盛夏帽だ。用意されるのはボルサリーノのエレガンスを象徴するスタイルに仕上げられたスタンダードモデルと、上質なパナマを使用することによって折り畳むことを可能したコロニアルモデル。いずれもボルサリーノの伝統的スタイルである。

●問い合わせ先：ボルサリーノ ジャパン／TEL：03-3230-1030　https://japan.borsalino.com/

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