アッパーミドルSUVのGLEが生まれ変わったのに準じて、GLEクーペも新型となった。ホイールベースを延長して7人乗りを標準化したGLEに対して、スポーティさに磨きをかけて差別化を図ったGLEクーペ。その出来栄えは?
メルセデスらしいSUVクーペ
SUVにクーペというメソッドを持ち込んだのはBMWのX6で、これがBMW自身も驚くほど好評だった。この後、メーカー各社がこぞってSUVクーペを投入。結果としていまではSUVクーペと言われてもちっとも珍しくなくなってしまった。特にボディを乗せ替えただけのクーペ“ルック”なモデルは、商品力の観点でもはや不十分という段階に入っている。
それを察知したメルセデスは、GLEのクーペを作るにあたり、わざわざホイールベースを60mmも短くした。スポーティなスタイリングに合ったスポーティな走りを付与することで、GLEのみならず、ライバルとの明確な差別化も図ろうとしたのだろう。それでもボディスペックが先代よりも大きくなっているのは(全長+39mm/全幅+7mm/ホイールベース+20mm)、主に後席の居住性の向上とラゲッジスペースの拡大が目的だ。
ドライバーの入力に対して忠実に反応するところはGLEと大差ないものの、ターンインから旋回姿勢が整うまでの時間はGLEクーペのほうが若干早い。この過渡領域が早くスムーズだと曲がるのが楽しくなる。いたずらにステアリングゲインを上げていないセッティングにも好感が持てた。
GLEクーペには金属ばね+ダンパー、空気ばね+電制ダンパー、そして試乗車に装備されていた“E-ACTIVE BODY CONTROL”と呼ばれる3タイプのサスペンションが用意されている。これは48Vで稼働する電制油圧ポンプを4輪それぞれにひとつずつ配置して、ダンパーのピストンストローク量も制御するというもの。ばねレート/ダンピングレート/車高を4輪個別にコントロールすることで、アクティブサスペンションに近い乗り味を提供する。同時に、砂や新雪などにスタックした場合は、4輪を上下にバタバタさせることで脱出を図る機能もあるという。
格好だけでなく、機能や性能にもこだわったメルセデスらしいSUVクーペだった。
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