ジープブランドの人気モデル、ラングラーが装いも新たに登場した。内外装のアップデートが主な変更点だが、嬉しいのは価格の値下げはもちろん、走りの細かなところにもブラッシュアップが施されていることだった!
オールマイティに使える心強い相棒
クルマのモデルチェンジの際には、ときどき正式にアナウンスがない変更という場合がある。変更度合いは大なり小なりクルマの種類によってもさまざまだが、今回のラングラーのマイナーチェンジもそれに当たるようだ。乗り心地が明らかに良くなっている。
試乗はルビコンというトップグレードを中心に、ベーシックなスポーツも少々試すことができたのだが、両車ともに違いを実感できた。それはラダーフレーム特有の横揺れが抑えられているという点だ。人によってはクルマ酔いにもつながる横揺れは、ラダーフレーム車の特徴でもあり、欠点としても挙げられる機会が多かった。だが、今回のマイチェンではそれが改善されている。
同時に先代型を試せたこともあり、その違いは明白に感じられた。ラングラーからラングラーへ乗り換えるような人には、特に強く感じられるだろう。この横揺れの少なさもあって、直進安定性が増していることも大きなメリット。乗り心地も幾分ソフトに感じられる。
いまやジープブランドだけにとどまらず、ステランティスグループのなかでも一番の稼ぎ頭へと成長した、本格クロカン4WDのラングラー。2024年5月に登場したマイナーチェンジ版は、ステランティスの狙いどおり受注が好調のようだ。マイナーチェンジなので変わった点はいろいろあるのだが、ユーザー側から見た一番のニュースはやはり車両価格が値下がりしたことだろう。
JL型と呼ばれる現行型が登場した2018年当初は500万円台から選べたラングラーだったが、ほかの輸入車と同様に物価の高騰や為替の影響で徐々に値上げせざるを得ない状況となっていた。マイチェンの直前では、全グレード800万円オーバーの価格帯まで高騰していたことには驚いた。
しかし時代に逆行する形で、値下げを敢行したラングラーは800万円を切る価格を設定した。スポーツというベーシックなグレードではあるものの、ラングラーの魅力を知るには十分。この価格のテコ入れが功を奏したのだろう。
前述のとおり、今回の試乗にあたってスポーツとルビコンの2グレードに乗ることができたのだが、本格的なオフローダーが欲しい!という人でなければスポーツでも思いっきりラングラーの魅力を感じられるだろう。例えば、一新されたインフォテインメントシステム「Uコネクト5」や12.3インチ高解像度ディスプレイ、サイドカーテンエアバッグ、ADASなどは全グレード標準装備される。革シートやボディ同色フェンダーなどが必要でなければ、あえて上級のサハラを選ばなくても満足度は高いはずだ。
グレードによって装着タイヤの種類が変わってくるのは、ラングラーらしい特徴ともいえるだろう。スポーツにはオールテレイン、サハラはフォーシーズン、ルビコンにはマッド&テレインが装着され、ホイールサイズはサハラのみが18インチ、そのほかは17インチとなっている。オンロード走行しかしないのであればフォーシーズンでも構わないが、ラングラーらしいワイルド感が欲しいのであればオールテレインのほうが好みかもしれない。ちなみに一番抵抗がありそうなルビコンのマッド&テレインでも、高速道路燃費は11.6km/L(90km/hで100km走行時の実測値)を記録。2Lターボと2トンの車重を考えれば悪くはないレベルだろう。
その直列4気筒2Lターボは、低回転域からトルクが立ち上がる使いやすい特性で、日本の道路事情でも扱いやすい。税制的にも考慮されたラングラーは、ちょっと大きめのボディサイズを気にしなければ全領域オールマイティで使える心強い相棒になるはずだ。
【Specification】ジープ・ラングラーアンリミテッド・ルビコン
■車両本体価格(税込)=8,890,000円
■全長×全幅×全高=4870×1930×1855mm
■ホイールベース=3010mm
■トレッド=前:1635、後:1635mm
■車両重量=2110kg
■エンジン型式/種類=N/直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=84.0×90.0mm
■総排気量=1995cc
■最高出力=272ps(200kW)/5250rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/3000rpm
■燃料タンク容量=81L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=9.2km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:リジット/コイル、後:リジット/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:LT255/75R17
問い合わせ先=ステランティスジャパン TEL0120-712-812