NEXCO中日本が新東名で自動運転専用レーン実験施設を初公開! 自動運転の路車間通信でも画期的な試みを開始

路車間通信(V2I)についての実証も同時並行で実施

新東名高速の建設中区間で、自動運転に関する実証実験が始まった。一体どんなところなのか興味が湧いたので、その現場を訪ねてみた。
場所は、富士スピードウェイにほど近い富士山麓。一般住宅の脇で高速道路の建設が進んでいる。今回視察したのは東京に向かう上り車線。二車線の本線や道路側の設備などほぼ完成しているように見えるが、反対車線の名古屋に向かう下り車線はまだ未舗装の状態だ。
新東名高速道路は、神奈川県の海老名南JCTから愛知県の豊田東JCT間の全長約253km。山間部に多くのトンネルを掘ることで、曲率が大きなコーナーは少なく、直線部分が長いのが特徴だ。
だが、今回取材した部分を含む、新秦野〜新御殿場間の約25kmは未完成である。大きな理由は、この区間にある高松トンネルが脆弱な地質で、断層破砕帯も確認されている状況だ。また湧水もあるなど工事は慎重な作業が必要となっている。そのため、この約25km区間を含む新東名の全面開通は2027年度と遅れている状況だ。

一方、トラック物流においてはいわゆる2024年問題に代表される社会課題の解決が必須であり、また乗用車においても先進的運転支援システムの高度化と量産化が広がっているところだ、
そうした中で、高速道路の利用者に対して、より安心安全な走行環境を考える上で、NEXCO中日本は自動運転に着目した、具体的には、国が進める自動運転の社会実装戦略「RoAD to the L4 (Level 4)」のプロジェクト「テーマ3」と連携し、道路側と車側と結ぶ路車間通信(V2I:ヴィークル・トゥ・インフラストラクチャー)について様々な実証を同時並行で行う。これは、日野の大型トラックを改良した車両を使う。
そのほか、遠隔運転を行うためにトヨタ「エスティマ」の実験車両も活用する。今回の実証実験では、NEXCO中日本が2021年12月に参加企業を公募した結果、ホンダ/ソフトバンク、KDDI/T2など、合計10のユースケースで23件の実証実験を行う。実施期間は5月13日から7月末頃まで。
この実証で得られた知見を、2024年度に実施する、駿河湾沼津SA~浜松SA間の約100kmに渡る「自動運転車専用レーン」にも活かされることになる。そのほか、道路上での危険に対する速やかな注意喚起など、自動運転車以外のユーザーにとっても高速道路での安心につながる新技術を近い将来、実感できそうだ。

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

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桃田健史
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2024/06/22 13:00

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