【国内試乗】新世代ホットハッチのドライビングファン「ヒョンデ・アイオニック5 N」

アイオニック5の高性能仕様「N」。スポーティな走りに振り切りながらも、しっかりと日常域での基本性能は高く、街乗りも快適。サーキットと一般道で試した第一印象をお届けしよう。

スポーツに全振り! でも、日常域も快適!

ヒョンデ・アイオニック5の高性能バージョン「アイオニック5N」が日本でローンチされ、そのファーストエディションが50台限定でリリースされた。「N」はWRCやTCR、ニュルブルクリンク24時間耐久レースなどで培った技術と経験を車両にフィードバックした特別なモデルだ。BEVでありながらモータースポーツさながらのパフォーマンスを楽しめる、ヒョンデ渾身の作である。

空力性能の最適化を図ったリアデザインが採用され、21インチ鍛造ホイールにピレリPゼロ(275/35ZR21)を装着。

今回の袖ヶ浦フォレストレースウェイでの試乗では、その真価を如実に感じ取れた。同コースは第2コーナーを抜けると下り坂となりスピードが上がったところでブラインド気味に第3コーナーへ突入する。正直、私はこのポイントに苦手意識を持っていた。しかし、アイオニック5Nは高速コーナーでも安定感は素晴らしく、力強いブレーキのバイト感とESCとの合わせ技で、大きな挙動の乱れは見られない。よって思い描いた通りにコーナーを抜けることができた。実際にサスペンションやLSDはN専用となるばかりか、回生ブレーキやバッテリー冷却マネジメントなど、走りに関する多くの部分が専用設計されている。

「N」があしらわれたセンターホイールキャップなど、細かいパーツまでもアイデンティティを主張。

しかしスポーツに振り切った設定だからといい、日常域で馬脚を現すかと言えば、それは違う。ボディ剛性は大幅に強化されているので通常モデルよりも乗り心地は良好で、走行モードもエコ/ノーマル/スポーツが用意され、前者の2モードはむしろコンフォータブルな設定となる。

N専用のグラフィックを持つ12.3インチのメータークラスターや本革巻きステアリングホイールを備え、ニーパッド付きのセンターコンソールやバケットシートなどスポーツ走行に適した装備も充実。

また、ドライビングファンの演出も巧みで、「Ne-シフト」はDCTに似たシフトフィーリングを与えてくれ、「Nアクティブサウンドプラス」により、擬似的にレーシングカーのような排気音を任意で室内と室外に響き渡らせることもできる。新世代のドライビングファンを体現したBEVである。

センタースクリーンで車両設定を行なえる。前後の細かな駆動配分(NTD)やDCT風の仮想変速(Ne-シフト)などマニアックな設定が多数。

【Specification】ヒョンデ・アイオニック5 N
■車両本体価格(税込) ー
■全長×全幅×全高=4715×1940×1625mm
■ホイールベース=3000mm
■トレッド=前:1665、後:1670mm
■車両重量=2210kg
■モーター形式/種類=EM/EM27/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:238ps(175kW)/4600-10000rpm、後:412ps(303kW)/7400-10400rpm
■モーター最大トルク=前:370Nm(37.7kg-m)/0-4000rpm、後:400Nm(40.8kg-m)/0-7200rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=84kWh
■一充電航続可能距離(WLTC) ー
■サスペンション形式=前:マクファーソンストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:275/35ZR21

問い合わせ先=HYUNDAIカスタマーセンター TEL0120-600-066

フォト=篠原晃一 ルボラン2024年7月号より転載

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