全国各地で地震が多発! クルマまわりの防災設備をさらに強化しつつ「モバイルトイレ」にも期待【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】

緊急時用のトイレや入浴に関しても各社が対策を進めている

全国各地で震度4〜5弱の地震が相次いで発生している。 2011年3月11日の東日本大震災を経て、「日本は本格的な地震活動期に入った」と指摘する有識者もいる。能登半島地震の教訓を活かそうという動きも全国各地にある。

そうした中、防災の観点でキャンピングカーや、キャンプ用品などを活用した防災への意識が高まっていることを、以前もお伝えした。コンちゃんも、我が家の防災拠点としての役割があるが、直近で各種グッズを買い足して防災拠点としての役割を強化しているところだ。

最も大きな点は、やはり電力の確保。コンちゃんには、鉛バッテリーを使った電源があるので、ディーゼル燃料を使うエンジンを稼働するとこちらへ充電をしてくれる。AC電源に、パソコン、スマホ、ケトルなどをつないで、リモートオフィスとして使用している。
その他、JVCケンウッドのポータブル電源「1000Wh BN RB10-C」をバックアップ電源として搭載している。こちらは、防災防疫製品対象2021/非常用電源部門の最優秀賞を受賞。同社100kWの太陽光パネル(BH-SV100)を併用したり、太陽光パネルだけでスマホ充電で活用している。
さらに先日、JVCケンウッドと技術提携している、Jackeryのポータブル電源「1000 Plus」(1264Wh)と、同社の太陽光パネル「Solar Saga100W」2セットを買増しした。また、20Wなど小型太陽光パネルなども用途に応じて使い分けている。

これらをすべて搭載して走行することは稀で、基本的にはJVCケンウッド製品をコンちゃんに常備して移動し、その他は自宅に置いて家族用のバックアップ電源としている。また、各部屋にひとつづつ、LEDライトと1000mhの小型バッテリーを完備した。

もしもの場合を想定すると、こうして各種電源を確保することになるが、人によって、また家庭によって「どこまで準備するのか?」という意識は当然違う。ゴチャゴチャ揃えると、かえって家族が困惑することもあるだろう。
そうとはいえ、揃える時には一気にやらないと、もしもの場合への対応にならない。こうした思い、多くの方がお持ちだろう。特に、キャンピングカーやキャンプに馴染のない人にとって、ポータブル電源という発想はまだまだ遠い存在かもしれない。
ただし、夜になって自宅の明かりが全て消える状態になると、改めて電気のありがたみを強く感じるものだ。適材適所での防災対策をお勧めする。

防災対策として、もうひとつ大きな問題はトイレだ。コンちゃんには、ポップアップテントと携帯用トイレ、そして「猫砂」を完備していることは以前にもお伝えした。
そんな緊急時用のトイレについて先日、トヨタ本社に取材した。トヨタでは「モバイルトイレ」を開発し量産に向けた準備が整い始めているところだ。SUVなどで牽引するトレーラータイプで、総重量が約750kg。ご存知の方もいるかと思うが、これが普通免許で牽引する場合の最大重量にあたる。
モバイルトイレを屋外に設置し、側面に傾斜5度・幅90cmのスロープで出入りする。内部に入ると、手すりがある様式便器と手洗い場がある。推薦の方式は、新幹線など列車向けで普及している真空式だ。
これらの電源は、牽引するハイブリッド車などから給電したり、一般家庭や企業のACコンセント、またガソリンなどの発電機とつないで確保する。こうした牽引するタイプのトイレは、これまでありそうでなかった発想だ。移動用のトイレというと、イベントや工事現場などに置くタイプや、それらが合体したプレハブのような形態を見かけることがあるが、簡単に牽引できるタイプは事例がほぼない。そのため、能登半島地震の際、トヨタはモバイルトイレを被災地に提供したところ現地では需要があったという。
その他、被災地などで要望が多いのがお風呂だ。ベンチャー企業などがテントの中でシャワーやサウナ効果機器を提供する技術でボランティア活動をしている風景を見ることがある。トヨタでもハイエースを改良した「ヌクマル」と称するサウナ車両を製作している。ただし、これは被災地対応のみならず、地方などで住民どうしのコミュニケーションを深めるための活動として注目されており、実際に長野県内で利用された実績がある。

こうした各種防災対策を講じられている一方で、災害時で大きな課題となっているのが道の駅のあり方だ。以前にもお伝えしたが、道の駅では基本的に、キャンプや車中泊はできない。ごく稀にキャンプ施設を併設する場合もある。
そもそも、道の駅は移動中の休憩所という建付け。また、車中泊が何時から何時まで、また何時間なのかという定義がないため、なし崩し的に道の駅で車中泊するケースがあるのだが、各地域でその対応もバラバラという状況だ。
これが、防災対応となると、これまた対応が地域でバラバラであり、実際に被災した場合にも道の駅を被災施設として使うルールが定まっていないケースが目立つ。
例えば、コンちゃんが、太陽光パネルを全部出して発電していても良いのか?それは1台あたり、駐車スペースひとつだけの中で完結しなければならないのか、といった細かいルールが必要だ。そのため、道の駅の全体について取りまとめる立場にある国土交通省が、各地域における防災対応を、さらに一歩前に進めて議論するべき時期にある。

いずれにしても、防災対策は一人ひとりの日頃の意識の問題。5月の大型連休あたりに、家族で一度、「我が家の防災」について話し合ってみてはどうだろうか。

フォト=桃田健史 K.Momota

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

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2024/04/25 19:30

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