美ボディ極まりない1960年代の名車、「初代シルビア」発売!【59年前の今日、こんなことが…】

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フェアレディのシャシーを利用した高級クーペ

この記事の公開日は2024年4月1日。今から59年前の今日――すなわち1965年4月1日に発売された、あまりに美しい名車をご存じであろうか? 日産のCSP311、初代シルビアである。

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初代シルビアは、1964年の東京モーターショーでプロトタイプが発表された後、翌1965年のこの日に発売された。1960年代の日本車では屈指の美しさを誇るクーペであるが、このスタイリングについては、長年「BMW507を手掛けたアルブレヒト・ゲルツによるもの」という説が流布してきた。しかし、ゲルツはあくまでアドバイスを行ったにすぎず、実際には日産の社内デザイナーによるものということが明らかになっている。

「クリスプ・ルック」と称したように、エッジの利いた歯切れの良いボディはどの角度から見ても美しいが、パネルの継ぎ目を全て埋めるなど、その仕上げには細心の注意が払われていた。また、日産では当時このスタイリングについて、「量産ということを度外視して大胆に流体力学の新しい理論にもとずき(ママ)、機能美を追求した」「全面にカスタムカー風の特徴をそなえている」などと述べている。

この美しいボディは専用のシャシーに架装されたのではなく、機構的にはダットサン・フェアレディ1500(SP310)のものをほぼそのまま利用していた。すなわち、初代ブルーバードのものとほぼ同じ、ラダーフレームに前ダブルウィッシュボーン/後リーフリジッドのサスペンションを取り付けたシャシーである。フェアレディ用のフレームは、オープンボディを支えるため中央部にX字型のメンバーが追加されていたが、これはシルビアにもそのまま採用されていた。

乗り味は古典的スポーツカーの硬派なそれであったが…
搭載されるエンジンは、このフェアレディ1500と同じく直列4気筒OHVであるが、排気量を1.6Lへ拡大していた。このR型エンジンは、フェアレディ1500のG型と同じくSUツインキャブを装着し、最高出力は90psを発揮。トランスミッションは、ポルシェタイプのシンクロ機構を持つ4速MTが組み合わされている。なお、フェアレディはシルビア発売の2ヶ月後にマイナーチェンジを実施、シルビアと同じR型エンジンを搭載するフェアレディ1600へと改められた。

こうした成り立ちのシルビアであるが、クルマとしての性格付けはスポーツカーではなく、あくまで高級パーソナルクーペである。これについて日産では、「このようなタイプの車は我国では初めてのもの」「長距離ドライブなどのレジャーはもとより、折目正しい公式のパーティなどの出席にも使える、いわばオーナー向きの車としては、最もハイクラスに属する」などと説明していた。

こうした性格はインテリアにも強く表れており、ホワイトの発泡レザーで覆われた室内はまさに瀟洒そのもの。シートはリクライニング可能なバケット式、さらにウッドのステアリングホイール、アームレスト兼用のグローブボックスなど、当時この種の乗用車として考え得る装備が盛り込まれており、日産自ら「最高の装いをこらしてあり、高い居住性を誇っている」と説明していたのも頷けるところである。当時の店頭渡し価格は、120万円(東京地区)~127.5万円(札幌地区)であった。

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