交通事故のニュースを見ていると、事故を起こしたときに何も行動を起こせない運転者を目にすることがあります。交通事故の被害状況によっては当事者同士で何もできないこともあるでしょう。しかし、中には事故現場から逃げてしまう悪質な運転者もいます。事故を起こすと動揺してしまうのはわかりますが、その場から逃げたり、負傷者の手当をしなかったりすると、重い罰則が課されることがあります。では、交通事故を起こしてしまったり、その場に居合わせたりしたときはどのようにすればよいのでしょうか。
まずは負傷者がいるか確かめて通報(110番と119番)する
交通事故を起こしてしまったときは、すぐにクルマを止め、負傷者がいるか確認します。負傷者がいる場合は、ただちに救護するとともに、すぐに「119番」通報して救急車を要請してください。また、負傷の状態を伝えると、救急隊員がどのような措置をすればよいのか教えてくれるため、負傷者の状態はなるべく細かく伝えるようにしましょう。
負傷者の救護をしたら、交通渋滞や二次事故を防止するために、車を移動したり道を空けたりなどの措置を取り「110番」通報します。警察に事故の発生場所や日時などを伝え、警察官が到着するのを待ちます。
このように、交通事故を起こしてしまったときは、ケガ人の救護をして通報するのが鉄則です。また、交通事故の当事者が救護や通報ができないときは、その場に居合わせた人が救護したり通報したりしてください。
負傷者がいる場合の応急救護措置
交通事故の負傷者の状態は、事故によって異なるため、どのような措置が必要なのかわからないこともあるでしょう。
交通事故の負傷者を救護するときに大切なのは、意識があるか確認することです。意識がある場合は、どこをケガしているのか、痛い場所はどこなのかなどを聞きます。そして、負傷者が楽な体勢を取ってください。
出血している場合は、タオルやガーゼなどで止血します。止血の有効な方法は、傷口をきれいなタオルやガーゼなどで直接押さえる「直接圧迫止血法」です。ただし、止血するときは、負傷者の血液に直接触れないよう注意(感染予防)してください。
意識がない場合は、ただちに119番通報をしてAEDを手配します。AEDは公的機関やショッピングモールなどに設置されていることが多いため、近くのお店を探してもらうよう近くにいる人に協力してもらいましょう。AEDが到着したら、負傷者に電極パッドを取り付け、AEDの音声案内に従います。
AEDが到着するまでの間や救急隊員が現場に駆けつけるまでの間に、負傷者の胸やお腹を観察(約10秒程度)し、普段通りの呼吸がないときや判断に迷ったときは、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始してください。胸骨圧迫をするときは、胸の真ん中(胸骨)が5cm沈み込む程度圧迫します。テンポは1分間に100〜120回です。
胸骨圧迫を30回行ったら人工呼吸を行いますが、見ず知らずの人に人工呼吸をするのを躊躇うこともあるでしょう。そのようなときは、胸骨圧迫を続けてください。
このような応急救護措置をすることで、負傷者の命が助かる可能性が高くなります。
交通事故を起こしたときに絶対にしてはならないこと
交通事故を起こしてしまったときは、動揺してしまい、その場から立ち去りたくなるかもしれません。しかし、事故現場から立ち去ってしまうと「救護義務違反」つまり「ひき逃げ」となります。
ひき逃げをすると、10年以下の懲役または100万円以下の罰金、行政処分点数35点。免許は取り消しとなり、取消日から3年間免許を取得することができなくなります。
クルマやバイクなど車両の運転者は、交通事故のときに負傷者を救護しなければなりません。また、応急救護の手順や方法などを定期的に確認し、万が一のときのために備えておくとよいでしょう。
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