2019年に発表した電動化ビジョン「Lexus Electrified」に基づき、カーボンニュートラル社会の実現を目指しているレクサス。今回はテストコースにおいて、電動車普及を牽引してきたUXと、BEV専用モデルのRZの最新モデルに試乗した。
進化し続ける電動化ラインナップ
“Always On”、つまり常に進化していくブランドであることを標榜しているレクサス。その車両開発の総本山“Toyota Technical Center Shimoyama”にて、最新の電動化モデルを一同に試す機会に恵まれたので報告したい。
初のBEV専用開発車としてデビューしたRZのラインナップに新たに追加されたのがRZ300eだ。既発のRZ450eは、最高出力313psのAWDなのに対して、こちらは204psのFWD。注目は一充電航続距離で、バッテリー容量は同じ71.4kWhながら前者の494kmに対して、実に599kmを達成している。
静か、滑らか、そして力強いRZの走りの基本は大枠で言えば変わらない。絶対的なパワーでは劣るものの、瞬時に欲しいだけのトルクをもたらす電気モーターの特性、そして100kg以上の重量軽減が効いているのだろう。
明らかに増しているのはフットワークの軽快さ。DIRECT4による前後駆動力制御は備わらないが、軽さと専用設計のリアのサスペンションメンバーの恩恵で、これはこれで切れ味良い乗り味を実現しているのである。
RZ450eとの価格差60万円は微妙だが、4WDがマストではないのなら、航続距離優先でこちらを選ぶ手はアリ。ちなみに今回、RZ450eともども急速充電の速度等の改善も行なわれているので、RZが気になっていた人は改めて注目してみても良さそうだ。
続いて乗ったのは、登場5年で34万台を売り、一躍定番となったUX。今回、ガソリンエンジン車が廃止となりBEVとHEVの電動車のみの設定となった。
外観にはほぼ変更はないが、内装には12.3インチ大型フル液晶メーターや電気式シフトセレクターを新たに採用。給電用のアクセサリーコンセントも装備されている。
大きく手が入れられたのはメカニズムだ。ボディ剛性の強化、サスペンションやEPSなど各種電子制御の設定見直し、静粛性の向上などが図られ、先進安全装備も最新版に改められた。
新たにUX300hの名が与えられたHEVは、出力アップした電気モーター、リチウムイオンバッテリーなどを採用した最新世代のハイブリッドシステムを採用する。システム最高出力を184psから199psに高める一方、燃費も22.8km/Lから26.3km/Lに向上させているのが見どころだ。
走りは電気モーターの存在感がより際立ち、全体により滑らかかつ力強い。静粛性の向上もあって上質感、余裕が格段に増している。
ボディ剛性アップの効果で乗り味はしなやかさを増し、四輪の接地感も上々。それでいて姿勢は常にフラットに保たれ、いい意味でひと回り大きいクルマかのように感じられる。
特にお勧めは、リアモーターの出力を大幅に高めたAWDモデルだ。後輪駆動力を積極的に使った走りはよく曲がり、かつ安心感抜群。積極的にアクセルを踏んでいきたくなる魅力にあふれている。
UX300eは3月にバッテリー容量を従来の55.8kWhから72.8kWhまで拡大して、航続距離を約4割もアップさせたばかり。今回はそれに加えて、急速充電時間の約25%短縮を実現するなど使い勝手を一層向上させて来た。
BEVならではの重量配分の良さ、重心の低さを活かした走りがさらに磨き上げられて、ドライブフィールは実に心地良い。まるでひと筆書きのような滑らかさは確かにRZにも通じるものがあった。
電気モーター駆動と、レクサスの目指す走りの世界は、とても親和性が高い。そして、その世界は確実に進化を続けている。今回の試乗は、改めてそれを強く印象づけるものとなったのだ。
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