シボレーを代表するスポーツカーとして半世紀以上の歴史を持つカマロ。6代目となる現行モデルがついに生産終了を迎えるにあたり、50台限定の特別仕様車が登場。早速そのステアリングを握り、長年親しまれてきたアメリカンマッスルの最後に思いを馳せてみた。
半世紀以上に渡る歴史の最後を飾る記念モデル
シボレー・カマロはアメリカを代表するスポーツカーのひとつだ。初代カマロが登場したのは1967年、手ごろなサイズ感で大ヒットを飛ばした初代フォード・マスタングの対抗馬としてデビュー。その後、モデルチェンジを繰り返しながら、半世紀以上に渡って、人々に親しまれてきた。現行となる6代目が登場したのは2015年のこと、一度のマイナーチェンジを挟みつつ生産が続いていたが、昨年、ついにモデルの終売が発表された。
今回、試乗する機会に恵まれたのは、その6代目カマロの最後を記念するモデルとして、50台限定で販売されるファイナルエディション。現行カマロは伝統のV8エンジンのほか、歴代初となる直4ターボもラインナップに加わったことで話題をさらったが、このファイナルエディションはV8を搭載する「SS」がベースだ。
クルマの引き取り場所にてカマロと対面すると、まずはそのボディビルダーのような筋肉モリモリなスタイリングに圧倒される。ワイド&ローでありながら、肉厚。まさにアメ車のスタイル! と、乗り込む前から気分が高まる。コクピットに乗り込みイグニッションをオンにすると、豪快な音を立てて6.2LのV8・OHVエンジンが目覚める。近頃はBEVをはじめとする電動車に乗る機会のほうがめっきり多くなってしまった我々にとって、このエキゾーストを聞いただけでも、思わず顔がほころんでしまった。
早速シフトを「D」に入れて走り出す。走行モードはツーリング、スポーツ、トラック、雪/凍結の4種類。まずはノーマルモードであるツーリングを選択し、都心から高速を抜けて箱根を目指す。先ほどのド派手な始動音から比べると、あっけないほど「普通」の乗り味だ。トランスミッションの10速ATは、車速に合わせてきめ細かく進段、街乗りはもちろん、高速でも流す程度であれば2000rpmもあれば十分。さらに走行中に8気筒のうち半分を停止する気筒休止システムも装備しているので、燃費は8〜9km/L、高速だけに限れば10km/L以上をマークするなど、そのキャラクターからは想像できないくらいジェントルな一面も持ち合わせているのだ。
しかし、ひとたびスロットルを踏み込めば、その獰猛な本性が顔をのぞかせる。走行モードをスポーツに切り替え、箱根のワインディングに挑む。先ほどまでは穏やかそのものだったエンジンも3000rpmの後半あたりから、クオォォーンと唸りを上げ始め、あとはレブリミットの6500rpmに向けて一気に快音が押し寄せてくる。スポーツ/トラックモードでのトランスミッションのキレも鋭く、スパンスパンとパドルシフトで変速していけば、胸のすくような加速感。脳内のアドレナリンはドバドバだ。
無論、カマロの魅力はエンジンだけではない。コーナリングでは想像以上にクイックに、そして安定して曲がっていく。その秘訣は優秀なシャシー設計と、電磁石を用いて減衰力をリアルタイムで可変するダンパー「マグネティック・ライド・コントロール」のお陰だろう。1000分の1ミリ秒単位で減衰力を調整するこのシステムによって、コーナリング中、不快なロールや振動などを感じることはほとんどなく、安心してコーナーに切り込んでいけるのだ。
このようにV8エンジンの圧倒的なパワー感と、欧州車にも引けをとらないコーナリングマシンでもあるカマロ。試乗を終えるころにはすっかり惚れ込んでしまった。聞けばファイナルエディションの注文はまだ受付中とのこと。次期モデルでEV化も噂されている今、このトラディショナルなアメリカンスポーツを手に入れたいのなら、迷っている時間はなさそうだ。
【Specification】シボレー・カマロ・ファイナルエディション
■車両本体価格(税込)=9,400,000円
■全長×全幅×全高=4785×1900×1345mm
■ホイールベース=2810mm
■車両重量=1710kg
■エンジン型式/種類=6J/V8OHV32V
■内径×行程=103.2×92.0mm
■総排気量=6168cc
■最高出力=453ps(333kW)/5700rpm
■最大トルク617Nm(62.9kg-m)/4600rpm
■燃料タンク容量=72L(プレミアム)
■トランスミッション形式=10速AT
■サスペンション形式=前:マクファーソン/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:245/40ZR20、後:275/35ZR20
問い合わせ先=ゼネラルモーターズ・ジャパン TEL0120-711-276
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