【国内試乗】長年のイメージを払拭するスポーツモデル「トヨタ・クラウンスポーツ」

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4車型の同時発表というインパクトで世間を驚かせた新型クラウン。先んじて登場していたクロスオーバーに続いて「スポーツ」が登場。これまでのクラウンのイメージとは縁遠いと思われるその乗り味のほどは?

“オトナのスポーツ”を実感させる新種のクラウン

名前のイメージと対比させれば、第1弾のクロスオーバーも十二分に衝撃的だったが、新鮮味という点ではこのスポーツも負けず劣らずだ。ボディ形態としてはSUVに分類されるが、クロスオーバーより短いホイールベースや一層大径化したタイヤ、タイトなグラスエリアなどが織りなす佇まいは新生クラウン4部作の中で最もスポーティな出来映えと言っていい。

大きく張り出したリアフェンダーがマッシブな雰囲気を作り上げ、スポーティな佇まいを演出。

特にその存在を強調するリアフェンダー回りは、スポーツモデルらしい良い意味での緊張感を演出する。室内の基本的な眺めこそ他のクラウンと大差がない一方、スポーツを走らせるとサイドミラー越しにこの筋肉質なリア回りが目に入り、そこはかとなく走りの気分を盛り上げてくれる。

試乗車は2.5L直4エンジンに前後モーター「E-Four」を組み合わせるHEV。今後PHEVモデルの追加もアナウンスされている。

一方、搭載するパワートレインは見ためほど挑発的ではなく、現状(’23年末現在)は直列4気筒2.5L自然吸気+前後2モーターのハイブリッドのみ。後からプラグインHVモデルも追加予定となっているが、ことさらに速さを強調する仕様は用意されない。

ディスプレイやシフトなどの構成要素をそれぞれまとめて島のように配置する「アイランドアーキテクチャー」を生かし、ドライバーファーストなデザインとなったインストルメントパネル。スポーツを意識しながらもクラウンの名に相応しく後席の居住性も犠牲になっていない。

しかし、このクルマの“スポーツ”は実際に汗をかく類ではないという開発陣の話を聞けばその選択にも納得できる。ミドル級SUVとしての動力性能は、必要にして十分というところ。個人的には積極的に走らせた際に何かしらの色気も欲しいと感じたが、日常域では黒子に徹してくれるので少し贅沢なアシとしては申し分ない。また、走らせていて決して退屈なわけでもない。足回りは引き締まった味付けながら、ダンピングが巧妙とあって日常域では快適な乗り心地を担保。一方、走るペースを上げればサイズから想像される以上に素直な身のこなしを披露する。

長年「硬派なプレステージカー」というイメージにとらわれがちなクラウンだが、このスポーツがそれを払拭する仕上がりであることは間違いないだろう。

【Specification】トヨタ・クラウンスポーツZ
■車両本体価格(税込)=5,900,000円
■全長×全幅×全高=4720×1880×1565mm
■ホイールベース=2770mm
■トレッド=前:1605、後:1615mm
■車両重量=1810kg
■エンジン型式/種類=A25A-FXS/直4DOHC16V
■内径×行程=87.5×103.4mm
■総排気量=2487cc
■最高出力=186ps(137kW)/6000rpm
■最大トルク=221Nm(22.5kg-m)/3600-5200rpm
■モーター型式/種類=前:3NM/交流同期電動機、後:4NM/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:119.6ps(88kW)/—、後:202ps(20.6kW)/—
■モーター最大トルク=前:54.4Nm(40kg-m)/—、後:121Nm(12.3kg-m)/—
■バッテリー種類=ニッケル水素電池
■燃料タンク容量=55L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=21.3km/L
■トランスミッション形式=CVT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:235/45R21

問い合わせ先=トヨタ自動車 TEL0800-700-7700

リポート=小野泰治 フォト=郡 大二郎 ル・ボラン2024年2月号より転載

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