聞かなければならない質問もある。ポルシェが、その答えを愉快なひねりを加えてお届け
シリコンバレーの先見者たちの思惑通りなら、私たちは人生の大半をメタバースで過ごすことになるだろう。VRメガネを装着した私たちは将来、仮想世界の中でアバターとして動き回り、ほかの人々のアバターとコミュニケーションをとりながら生活することになるかもしれない。メタバースは、ブランド・メーカーにまったく新しい可能性を開く。
たとえば、バーチャル店舗で限定商品のデジタルツインを販売するのはどうだろう? メタバースユーザーのアバターは、洗練されたハンドバッグや上品な腕時計、最新のスニーカーで身を飾り、アバターの友人に好印象を与えることができる。
自動車開発もまた、今後ますますバーチャルな世界にシフトしていく可能性がある。たとえば、米国のチップメーカーである「NVIDIA (エヌビディア)」は、「Omniverse (オムニバース)」という名称で独自のメタバースを推進している。オムニバースは工場のデジタルツイン、シミュレーション環境でのロボットのトレーニング、場所を超えた開発者間のライブコラボレーションを可能にすると宣伝されている。これによって、メタバース上で車両開発の全部または一部を実施することが可能になる。
バーチャルな開発部門で未来のイノベーションに取り組む
たとえばインテリアデザイナーは、バーチャルなクルマの中でさまざまなインテリアのバリエーションをデザインし、テストすることができる。潜在顧客は、生産が開始されるずっと前に、これらのアイデアについて感想を述べることができる。そして、開発はその間も進行し続ける。
たとえば車両開発は、バーチャル開発部門で中期的未来の車両の革新に取り組むデジタル・ボットのチームに完全に移管されるかもしれない。ひとつ確かなことがある。メタバースでの作業には、開発中にシミュレーション試乗などを行うことができる詳細なデジタルツインが必ず必要になるのだ。
さらに、高度な自動運転機能をテストするための実環境をシミュレートするために、ポルシェエンジニアリングはメタバースをリアルなシナリオで充実させるための、テクノロジーとモデルを用意している。たとえば顧客のアバターがメタバース・ディーラーで購入できる「メタバース・スポーツカー」などである。
ブロックチェーン技術のおかげで、車両は非可溶トークン(NFT)となり、現実世界のものと同様に高級なものとなる。数年後には、ポルシェ愛好家たちがバーチャルで「カーズ&コーヒー」に集い、それぞれのデジタル・スポーツカーを眺めながら人生について哲学するようになるかもしれない。
そんな時代が来るだろうか?
それは、消費者がバーチャルの場をどれだけ受け入れるかにかかっている。現実に忠実であればあるほど、バーチャル環境は常にモデルであり、あらかじめ投げかけられた質問に答えるものだ。ダイナミックで物理的な現実世界での体験は、また違ったものに感じられる。しかし、バーチャル環境で体験できる楽しさは、確かに現実のものになるかもしれない。