フェラーリ世界第2位の販売を誇る日本市場について極東・中東エリア統括CEOディーター・クネヒテル氏とフェラーリ・ジャパン代表のロマニエッロ・ドナート氏にインタビュー

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日本の顧客はヘリテージやヒストリーに詳しく伝統あるものに対して見る目がある

今年7月に発表され、日本にも9月21日に初お披露目された『フェラーリSF90XXストラダーレ』。SF90は”スクーデリア・フェラーリ90周年”を意味し、2019年にF1マシンの車名に採用しつつ、フェラーリ初の量産プラグインハイブリッド『フェラーリSF90ストラダーレ』としてデビューした。2021年にはオープンモデル『フェラーリSF90スパイダー』も追加している。

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フェラーリには、1986年の288GTOを原点とする”スペチアーレ”(英語でスペシャル)の系譜があり、1987年のF40、1993年のF50、2002年のエンツォ・フェラーリ、2010年のラ フェラーリと続いてきた。SF90ストラダーレはその流れにはあるが、それまでが限定車であったのに対し、”量産”モデルと記されたのが新しい。ちなみにラ フェラーリがフェラーリ初の(限定車となる)プラグインハイブリッドだ。
一方、フェラーリにはV8とV12の各シリーズにも、”スペチアーレ”と呼ばれる系譜がある。V8ではチャレンジストラダーレ(360モデナがベース)、430スクーデリア(F430がベース、スパイダーもあり)、458スペチアーレ(458イタリアがベース、スパイダーもあり)、488ピスタ(488GTBがベース、スパイダーもあり)。V12では599GTO(599がベース)、F12tdf(F12ベルリネッタがベース)、812コンペティツィオーネ(812スーパーファストがベース、Aと呼ばれるオープンもあり)となる。
ではXXとは何か? というのが今回のキモだ。フェラーリはエンツォをベースとしたFXXを2005年にデビューさせた。こちらは、カスタマー向けのサーキット専用車で、レース参戦はできないが、走行をフェラーリがフルサポートするもので、その走行データをフェラーリの次期モデルたちにフィードバックする、”フェラーリの開発ドライバーになれる”という画期的なものだった。

その後、2010年に599XX(599がベース)、2014年にFXX-K(ラ フェラーリがベース、F1由来のKERSを採用)が登場し、FXX-K EVOが最新モデル。これらは『XXプログラム』と呼ばれ、フェラーリ・レーシングデイズなどでもその走行シーンを披露している。
つまりSF90ストラダーレをベースとした、さらにハイスペックなモデルとして登場したのが今回のSF90XXストラダーレ/スパイダーというわけだ。XXの名を組み合わせたのは、ロードゴーイングレーサーのプロフィールを与え、それをより強力にアピールするためであろう。前者が799台、後者が399台の限定で、デビュー時に”スペチアーレの系譜を持つ”と表現されたSF90たちが、限定ではなく量産であったことの説明がようやくここでつくわけだ。
ちなみに固定式リアウイングが採用されたのはF50以来のことで、これまではウイングなしにこだわってきたが、XXの名を与えたことで、ある意味遠慮がなくなったともいえる。
詳しいモデル概要はこちらを参照頂きたいが、
https://carsmeet.jp/2023/09/25/314074/
ここでは、その発表会会場でインタビューを行った、フェラーリ極東・中東エリア統括CEOディーター・クネヒテル氏と、9月1日付でフェラーリ・ジャパン代表に就任したロマニエッロ・ドナート氏のコメントをご紹介したい。

―日本市場の重要性について、どうお考えですが?
ディーター氏:日本は現在、アメリカに続く世界第2位の重要なマーケットとなります。アジアではもちろん1位ですし、世界全体の売り上げの10%程度を占めています。
―世界2位になったのはいつのことですか?
ディーター氏:2019年です。成長マーケットとして、いい状況が続いています。ディーラーネットワークも強く、私たちが求めている姿でうまくいっています。
―成長の理由はどう分析されていますか?
ディーター氏:ロイヤルカスタマー、リピーターがたくさんいらっしゃいますし、世界的コレクターも多いです。皆さま、我々のビジネスモデルをよく理解して下さり、感謝しております。我々は限界をさらに超えていき、新しい技術を投入しています。日本はそれをよく理解しているマーケットです。ヨーロッパのラグジュアリーブランドへ憧れもあり、長期で見た時にいいもの、資産価値があるとご理解頂いていると思います。
―日本の顧客は、他国と比べてどんな特徴がありますか?
ドナート氏:ヘリテージ、ヒストリーに非常に詳しく、伝統あるものに対して見る目があります。商品の楽しみ方もご存知で、お客様同士、コミュニティとしてネットワークができあがっているのが興味深いです。イベント参加率も非常に高く、お互いのクルマを見ながら、他の商品にも興味を持って頂いているようです。
―同じ質問、ディーターさんはいかがでしょうか?
ディーター氏:日本にはいいものを他国から受け入れる文化があります。サービスに対し関心が高く、世界最高レベルのサービスが求められます。お客様の考えを察するサービスが重要となってきます。期待も高いですが、最高のものを提供できていると思います。
―フェラーリも電動化が進んでいますが、順調でしょうか?
ディーター氏:若い世代の方はハイブリッド、新しい技術に興味を持たれているので、296などの電動化モデル追加がきっかけになり、年齢層が下がってきています。
―それは世界的な傾向ですか?
ディーター氏:はい、世界的にですが、アジアでは特にその傾向が強いです。
ドナート氏:コンサバティブなお客様はやはり、エキゾーストノートを……と思われますが、我々の電動化モデルはパフォーマンスに特化していますから、若い世代を中心に徐々に反響を頂いていますね。

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