アジア諸国の中でも安定した経済成長を遂げているタイ王国にオープンしたショップは、友人たちと創り上げたクルマ好きが集う複合スペース。
『GarageLife』誌56号で、プールを所有した大きなガレージを取材させていただいたのは、バンコクに在住のネイさん。そちらとは別に構想4年をかけて、友人たちと出資をして新しいコンセプトのショップをオープンさせたという。バンコク市内から高速道路環状線を走り、クルマで約20分ほどの距離にモダンな大きな建物が現われる。ここが今回、取材スタッフが訪れたショップ「25G」で、レストランを母体としてカーディテールショップ、そしてカーディーラー、レンタルガレージを併設させた複合的なスペースだ。
【写真15枚】クルマの販売から磨きまで。カフェも備えた25G。
まずはモダンな建物のレストランを見渡してみる。随所にクルマ好きにはたまらないデザインが用いられシンプルな壁面には、オートモビリアが所狭しとディスプレイされる。入口のドアをくぐると、クルマ好きには心躍る空間が演出される。そして客席を囲むようにフォルクスワーゲンやミニなどのクラシックカーが配置されるなどレストランとは思えない空間が繰り広げられている。
また個室はガラスに囲まれたスペースで、Nさんたちが好きなポルシェに囲まれながらの食事が可能となっている。なんとガラステーブルの土台にはドラッグバイクという凝りようだ。ここで提供される食事は伝統的なタイ料理を現代風にアレンジしたもので、クルマ好きだけではなくても食事が楽しめるようにと配慮された。バンコク近郊のクルマ好きが集まる駐車場も確保した、心踊らされるレストランといえる。
そして併設されたのがカーディテールショップ。いわゆる、愛車を預けて洗車をするスペース。なぜなら、まだタイ王国においてはすべての道路が舗装されているわけではなく、24時間工事をする国でもあり、愛車の大敵である空気中のホコリが多い土地なのだ。そこで、プロの手によって徹底的に洗車をするショップを用意したという。カーポリッシュとカーコーティングは、タイ王国でもここ数年、増えてきているビジネスのひとつでクルマ愛好家のなかでも利用することが多いそうだ。
そしてカーディテールショップと隣接して、クルマの販売をするショールームも用意した。これは世界各国から珍しいクルマばかりを輸入し、販売するというスタイル。日本からも国産旧車や、日本では660ccの軽自動車カテゴリーで人気の「N BOX」などを並行輸入して、現地の愛好家に販売しているほか、アクセサリーパーツ、アフターマーケットパーツなどの販売も手掛けるなどスケールの大きなビジネスを展開している。
本誌が注目すべくはバックヤードに設けられたガレージ。「金剛産業」がタイ王国に進出し、オーダーにて納品された第一号。ロールバードのシャッターを開けると、ここは一般には公開することのないプライベートな空間が広がっていた。契約した顧客のみが入れるスペースで、自宅のガレージで所有できなくなったクルマなどを預かる場所となっている。
特別オーダーしたリフトには最大30台のクルマを格納することができ、全自動で制御されたリフトはクルマを指定すると降りてくるシステム。24時間空調により管理しており、名車と呼ばれるスーパーカーやヒストリックカーが次の出番を待つかのごとく佇んでいる。Nさんいわく、このスタイルのガレージはドイツで成功例があり、そのスタイルを取り入れたそうだ。
細かなディテーリングまでこだわった25Gは構想に4年、そして2015年1月に完成パーティを行い完全にスタート。自動車愛好家にとっては憧れてのスペースとなり、家族でも気軽に出かけられるレストランとの複合施設となっている。日本にもこんな施設があったらと考えていたら、「将来は日本での建築も視野に入れている」というNさん。その口調はいたって真面目だった。
◆「25G」
88 khlong-lum-chiak Rd,Nawamin , Buergkum
Bangkok 10230 phone/+662 509 9911
www.facebook.com/twentyfiveg
『GarageLife Vol.65』掲載
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