ドアを削り面を繋げて…なかなかイイんじゃない!?旧グンゼ製ハイテックモデル「ジャガーEタイプ」を地道に作ってみる・第15回

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Eタイプって結構軽やかな形してるよね?

グンゼ(現GSIクレオス)製ハイテックモデルのジャガーEタイプを作ってみようじゃないのというこの連載、今回は前回に引き続き、ボディ形状の修正を行ってみよう。

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以前に、「ドア部分の面を繋げるのはまだずっと後の作業だ」と書いたような気もするのだが、どうにも気になって仕方がないので、今の時点で作業してしまうこととした。表側から削り込んでハミ出し分を引っ込めていくので、まずプラ板で裏打ちをする。一方、シャシー(下側ボディ)の方には、後でドアを別体にした際の取り付けガイドをプラ板で取り付けるので、これと干渉しないよう、裏打ちしたプラ板も不要な分はすこし削り込むこととした。

こうして、ドアのはみ出し分をまず確定しておいた上で、そのはみ出しを削り込んで均していく。これによってだいたい形が出来てきたので、廉価版キットの前後サスペンションパーツと、レベル製Eタイプのホイール、そしてタミヤ製300SLのタイヤを組み合わせて仮組みし、雰囲気を確認。タイヤ/ホイール径が大きくなって、リアフェンダーの丸みやホイールアーチ形状も実車と近くなり、かなり良くなったように思う。

今回の作業でだいたい形状を直せたボディ(後半)だが、実車の持つ軽快感にはまだ乏しいような気がする。もうすこしサイドシル部分を削り込んで、ボディ裾の絞り込みを強めた方がいいのかもしれない。リアフェンダーの盛り上がりももうすこし直したいところ。

……と同時に、まだまだ実車の雰囲気とは違うところも感じられる。実車はもっと、何と言うか……軽やかなのだ。これはどうも、ボディ下側の断面形状が違うためのようなのである。ここを削り込んで、つまりサイドシル部分の絞り込みを強めて、もっと軽快に仕上げていかないといけないようだ。

また、段々ボディの形ができてきたためか、あるいは実車の形がようやく把握できてきたためか、「何か違うな」と感じていたボディ前半についても、その違和感がハッキリしてきた。前輪ホイールアーチ前側あたりで全幅が最大となるのは実車もそうなのだが、このキットはすこしそれが極端すぎる。もっとも、この点は以前から分かっていたことで、今ハッキリ見えてきたのは、それよりもっと細かい、次のようなところだ。

まず、ボンネット中央のふくらみが細すぎる。これはツインカムヘッドを持ったエンジンを収めるためのものなのだから、もうすこし太いのが本当なのだ。そして、その両脇にあるルーバーは、すこし内側に付きすぎている。実車はもうすこし外寄りだ。一方、ヘッドライトに繋がるフェンダーの盛り上がりは、これは逆にもう少し内側に広いようだ。そしてヘッドライト(カバーとその周囲のリム)も当然、もう少し内側寄りとなる。

こういった部分は、どこまで修正すべきか、実は今も答えを出せていない。そのまま目をつぶって作ってしまうか、もっと実車の雰囲気に近づけるべくこれらの点にも改修を施すべきか……。ただし、キットのままではヘッドライト周りの形がそもそもおかしいし、ライトカバーももっと大きくないといけないので、そこの修正が必須とは考えている。

レベルのEタイプ・クーペから細部パーツを移植する
さて、ボディ形状だけでなく、このキットは細部パーツにも色々と気になる箇所がある。質感と重量感を売りにしているホワイトメタルのパーツも、それは例外ではない。と言うよりそこにこそ、気になる部分が結構多い。詳しくは画像とキャプションを参照していただきたいが、前後のディスクブレーキのパーツなどがそのいい例なのだ。

こうした際、他からの移植やあるいは自作を行うとして、ひとつ気にかかるところがある。それは、移植や追加もあくまでメタルパーツで行うのか、あるいはそこは気にせずにプラキットから使える部品をガンガン流用するか。これはなかなか簡単に答の出る部分ではないと思うが、私はプラパーツでも構わないと考えている。と言っても、そこは適材適所と言うか、場所を選ぶ部分ではあるのだが……。

これまでも流用元としてグンゼの廉価版キットを使用していることは述べてきたが、メカニカルな部分については、このキットでは勿論補いきれない。そこで、パーツの流用元として確保してあるのが、近年新金型でリリースされたレベルのEタイプ・クーペだ。このキットは前回にも登場しているが、発売が予告された時点でボディ形状に納得が行きかねた――つまり試作品の時点で形が変だと思ったので、あくまでエンジンやシャシーの再現ぶりに注目し、そのパーツを利用させてもらうつもりで購入していたのである。

実際にどの程度パーツを利用するか、ブレーキ以外に考えられるところでは、ヘッドライトカバーやブレーキフルードのタンク、燃料ポンプやレギュレーターなどであろうか。エッチングのダッシュボードが上手く作れなかった場合には、そこもこちらのパーツを使うかもしれない。……こうして複数のキットを潰して1台の作品とすることには、色々と批判の声もあるのは承知である。私自身も何も引っかかりを感じていない訳ではないのだが、あるいはこういう風に考えることもできるだろう。

同じようにキットを何個も積んで、死ぬまでにその全部は完成させられないのだとしたら、キットを複数組み合わせてでも、納得のいく作品をすこしでも多く作ったほうが、より良いのではないだろうか? この考え方こそ正解だと主張する気はないのだが、すくなくとも現在の私はそのように考えている。

作例制作・写真・文章:秦 正史

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