ローライダーからのノーマル戻し(風)!レベル製プラモ「カスタム・キャデラック」をマイルドにアレンジ【モデルカーズ】

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由緒あるネーミング、フリートウッド・ブロアム

アメリカを代表する高級車・キャデラックも、その様相を以前とは大幅に変えて久しい。SUVのラインナップだけでなく、セダンもCT5やCT6といった記号のようなネーミングとなり、セビルやエルドラド、デビル(またはドビルあるいはドゥービル)のような、歴史ある名称はすっかり使われなくなっている。フリートウッド、そしてブロアムも、そんな懐かしのネーミングの代表例と言えるだろう。

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フリートウッドとはかつてGMが買収し、以降キャデラックのボディ製造を手掛け続けたコーチビルダーの名前で(その来歴を辿るとさらに色々あるが省略)、キャデラックの4ドア車における最高級モデル・60スペシャルには、1950、1960年代を通してフリートウッドの名が使われてきた。1965年型フリートウッド60スペシャルにおいてオプションパッケージのブロアムが加わったのだが、これはパッデド・ルーフを具えたモデルである。なお、ブロアムの名は馬車の形式にちなむもので、戦前から何度かキャデラックで使われていた。

これが1971年型ではフリートウッド60スペシャル・ブロアムとして一本化。さらに1975年型でフリートウッド・ブロアムが正式な車名となった。ここで採り上げているのはその次の世代(1977年型から)のモデルだが、この頃のアメリカ車は全般に小型化を進めており、フリートウッド・ブロアムもホイールベースを130インチから121.5インチへと一気にダウンさせている。

ボディ自体は普及モデルのセダン/クーペ・デビルと共通となった(前年まではデビルよりホイールベースが長かった)が、細部デザインで差別化を図り、最高級車らしさを演出。1980年型では全体を微妙にスキンチェンジし、顔つきも分厚い形状に変更された。さらにこの年途中からフリートウッド・ブロアムに加わったのが、2ドア・クーペである。

フリートウッド・ブロアム・クーペのボディはやはりクーペ・デヴィルと共通だが、グリーンハウス後半全体をレザーで覆ったランドウルーフ(“カブリオレ・ルーフ”と呼称)のみとし、クウォーターウィンドウは小さく、その後ろにオペラ・ランプが付くのが特徴だった。クーペ・デビルでもカブリオレ・ルーフを装着することはできたが、そちらはグリーンハウス後半全体ではなく、リアピラーから後ろのみになるという違いがあった。

フリートウッド・ブロアムには、セダン、クーペともにオプションパッケージとして、より豪華なソファ調インテリアの“デレガンス”(左右とも6ウェイ・パワーシートを装備)が用意されていた。またオプションとしてアストロルーフ(グラスルーフ)も存在するが、これはデビルでも選択することができた。

エンジンは368-cid(6L、150hp)のV8を搭載し、1981年型では、走行条件に応じて稼働気筒数が変わるV8-6-4(140hp)となったが、これは不具合が多く、翌年にはインジェクション仕様の249-cid(4.1L、135hp)に変更された。V8ディーゼルやビュイック製V6(1981-1982年型のみ)の設定も存在する。

1985年型ではFFに生まれ変わった新型フリートウッドが登場、4ドアは並行して生産が続いたものの、クーペの方は同年途中で消滅した。残った4ドアも1987年型では名前がただのブロアムとなり、1990年型ではヘッドライトを角型2灯に変更、そして1992年型で生産を終了している。

ブロアムならではのディテールを追加して作る
この世代のフリートウッド・ブロアムのプラモデルは、レベル製1/25スケールのカスタム・ローライダーが唯一のものとなる。同世代の前期型にあたる1977-1979年型にはジョーハン製のアニュアル・キットがあったが、これはクーペ・デビルであった。話をレベルのキットに戻すと、箱や説明書には年式やモデル名の表記がない。ボディ形状(カブリオレ・ルーフ)からするとフリートウッド・ブロアムのようである。

しかし内装はクーペ・デビルのものなので、あるいはクーペ・デビルをブロアム風にモディファイした実車の再現なのかもしれない。年式は1984として紹介しているサイトもあるが、特定する手がかりはないようだ(エンジンから、1982年型以降のものとは言えるが……)。ここから先の、キットの具体的な内容と制作については、作例の作者・畔蒜氏による解説をお読みいただこう。

「角型2灯ライト、グリルやフロントバンパー、サイドシルは1990-1992年型ブロアムのディテールだが、1990年代のブロアムにクーペは存在しない。実はこれ、1980年代キャデラックの2ドア・クーペに1990年以降のエクステリア・パーツを組み込んだ、ローライダーの定番スタイルなのである。

足周りをノーマルにして、角4灯マスクにすればストックになると思っていたのだが、大いなる間違いであった。そんなワケで、外観を中心にカスタムしたフリートウッド・ブロアムとして仕立ててみた。前述の通りローライダーの定番スタイルなのだが、こうしたマイルドなカスタムも居ない訳ではなく、ネットで検索してみても実車がいくつか確認できる。あるいはローダウン前のプロジェクト途中の状態かもしれないが……。

キットは、ボディのプロポーションはまずまずだが、ヘッドライトがやや大き過ぎる気がする。修正は難しいのでこれはそのままにして、他に直した箇所がひとつある。フロントグリル上端左右からルーフ後半下部に繋がるメッキモールが省略されているのだ。デビルにはない、フリートウッド・ブロアムならではの特徴である。このラインはエンジンフードとドアを経由してランドウルーフ下部のラインに繋がっているので、これをプラ材で再現した。

組み立てはまず、開閉式のトランクリッドは中を見せてもしようがない(注:キットオリジナルではハイドロのポンプなどが収まっている)ので固定。ボディのサイドシル下部のメッキパーツは、剥離してボディに接着した。本来サイドシル下部はメッキ仕上げだが、どうも組み立て難いので、ボディと一体にしてボディカラーで塗装することにした。

エンジンフードはボディとの隙間を埋め、バルクヘッドやフロントウィンドウ左右の切り欠きが不自然なので、これもプラ板で埋める。これに伴いエンジンフードのヒンジを取り除いて、開閉式をやめて取り外し式とした。エンジン、インテリアはキットのままで特に問題はない。そもそもスナップフィットのため、組み立ては非常に簡単だ。ボディとシャシーの取り付けもビスを使って確実に行えるのはありがたい」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.253より再構成のうえ転載

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