ボクらのヤングタイマー列伝:第52回『Z31型日産フェアレディZ』1980年代的なモダニズムを備えた3代目フェアレディZ

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返る連載、『ボクらのヤングタイマー列伝』です! 今回は日産フェアレディZ! しかしながら注目度の高い新型Zに面影を感じるZ32型ではなく、Z31型ですヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第51回『アウトビアンキY10』の記事はコチラから

1980年代的なモダニズムを備えたヤングタイマーとして、ようやく!? 注目を集め始めた感じがします!

2020年9月に日産がオンライン公開した、次期『日産フェアレディZ』を示唆する『Zプロトタイプ』。初代S30型を彷彿とさせるシャープで長いノーズを持つフォルム、そして各部のディティールに”Z”の伝統を強く滲ませており、クルマ好きを大いにざわつかせました。このプロトタイプが、そのまま現行の新型Zとなるわけですが、Zの歴史を振り返ると、2代目S130型、3代目Z31型と繋がっていき、4代目Z32型でワイド&ローフォルムに変身したのはご存知のとおりです。

その中で今回は、眠たげな上下格納式のヘッドライトや、抑揚を抑えたシンプルな面構成を持つデザインを得て1983年に登場した、Z31型を取り上げました。レトロな雰囲気が少し残っていたS130型と、今なお人気が高いZ32型に挟まれるZ31型ですが、1980年代的なモダニズムを備えたヤングタイマーとして、ようやく!? 注目を集め始めた感じがします。

Z31型は、伝統の直6エンジンを捨てて2リッターターボ&3リッターターボのVG型V6を載せており、後者は230psという当時ではかなりのハイパワーを誇っていました。しかしその後1985年になって直6搭載が復活。しかもDOHCターボというハイスペックでした。翌年にはマイナーチェンジを行い、ガンメタリックのフィンタイプアルミホイールを装着し、メッキ類やバンパーの塗り分けがなくなり、さらにテールライトは真一文字に変更するなど、全体的にさっぱりとしたイメージに大変化。3リッター車には専用のワイドボディ(実際には北米仕様の300ZXと同じ)も与えられ、さらに迫力を増すことにも成功しています。

なおこのリデザインは、エクサ、NXクーペなども生み出した日産の北米デザインスタジオ、『NDI』が手がけました。初めて後期型を見た時、その洗練されたディティールのカッコよさに、体に電気が走ったような興奮を覚えたものです。35年以上前の1986年の登場なのに、未だに古さを感じさせないデザインを与えたNDIの実力に驚くばかり……と言いつつ、とあるスクープ雑誌にZ32型プロトタイプのパパラッチ画像が掲載された際、さらに後頭部を殴られたような衝撃を受けたのはナイショです(笑)。

話を冒頭に戻しますと、現行のRZ34型とZ31型にはあんまり関係性を感じないよね、という声も聞こえてきそうです。確かにイラストにも書いたとおりデザイン上にZ31型の面影はあまり認められません。しかしZ31型が持つ流麗な”ザ・スポーツカー”というフォルムは、まさにS30型に始まるフェアレディZの伝統を完全に受け継いでいるのです。イラストを描くことで、Z31型もまた”Z”の系譜の一員であることを再確認することができたのでした。

カー・マガジン507号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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