JGTC最後の年を締めくくった最強Z
2004年全日本GT選手権(JGTC)チャンピオンマシーンであるザナヴィ・ニスモZとそのタミヤ製プラモデルについては、前編の記事(下の「関連記事」参照)でもすでにお伝えした。ここでお見せしている作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」281号(2020年)のフェアレディZ特集のために制作されたものである。ここでは、そこに掲載された作者Ken-1氏による解説をお読みいただこう。
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「今回の僕の担当は、スーパーGTの前身であるJGTCのチャンピオンマシーン、ザナヴィ・ニスモZとなりました。このザナヴィZ、当時のタミヤの新しいチャレンジとして、ダイキャストシャシーが採用されていました。じつは僕自身、ダイキャストシャシーのキットを制作したのは過去一度だけ。色々賛否があるようですが、個人的にはその特徴を理解できていなかったりしたので、そういう意味でも新鮮な作例制作となりました。このシャシー、他から流用してプラパーツに交換してみては? とも考えたのですが、あえてそのまま制作しています。
キット自体の構成は、最大の特徴・ダイキャストシャシーと、それに合わせるためネジ止めのサスや内装パーツがやや大味に感じるものの、ボディや室内の構成パーツなどは、通常と変わらぬハイクオリティぶり。確かにシャシー周りには、プラモデルというよりミニカーを組んでいくような違和感を持つのも事実ですが、確実に合わせてビスをねじ込んでいく作業は、それはそれで確実性があり新鮮です。
しかし、塗装ずみのダイキャストパーツは、何となくボヤッとした感じなのも事実。この辺りは通常のプラパーツと同じく、面出し&再塗装をしっかりやればネガは消えます。その重さからくる存在感も、なかなか所有欲をくすぐってくれます。完成時の姿には、どこか不思議とプラモ感が消えている気がします。金属素材に、加工へのハードルと“とっつきにくさ”を感じてしまうのも仕方ないですが、基本的な作業はプラ素材となんら変わらないので、少しシャープにすれば見違えるような存在感となります。
ヘッドライト開口部を狭めて違和感を小さく
作例としては当初、素組み+αとして進めていたのですが、途中でどうもフロントマスクに違和感が……。よく見ると、ヘッドライトユニットの開口部がかなりでかく、ライト自体も大きい。当初は目力があってカッコイイと思っていたのですが、違和感として嗅ぎ取ってしまうと、逆に違うクルマのように見えてきてしまい、我慢できず修正することに。応急的な処理ではありますが、それでもZらしい精悍なマスクになったと思います。
想定外だったのはデカール。見た目は悪くはなかったのですが、やはり15年程眠っていたこともあり、耐久力が落ちているようで割れが多発し、思った以上に苦戦させられました。それでもなんとか完成しましたが、今回はタミヤ指定のカラーを使うことで、上手くリカバーできたのがポイントです。しかし、やはりデカールは生き物だなと再認識。可能ならフレッシュなものを用意すると無用なトラブルを回避できるでしょう。
以上、賛否両論あるこの時代のキットを敢えてそのまま仕上げてみましたが、上手く特徴を生かせれば、ダイキャストシャシーも悪くないと思えました。この時代のタミヤの狙いが見えた気分です。皆さんもその重さの魅力を感じてみてはいかがでしょうか」