ようこそマシーンへ!ビッグスリーへの反逆者AMCの「THE MACHINE」をジョーハン製プラモで知る【モデルカーズ】

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ハーストとのジョイント第二弾のマッスルカー

1960年代後半におけるマッスルカーブームの盛り上がりに対応するため、AMCがシフター・メーカーのハーストとのジョイントで1969年型において投入したのがSC/ランブラー(スクランブラー)であることは、当のSC/ランブラーの記事も述べた(下の「関連記事」参照)。そして翌年、同じくハーストのコラボレーションにより投入されたのが、AMCレベルをベースとした“THE MACHINE(マシーン)”である。

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AMC(アメリカン・モータース・コーポレーション)は、1954年にナッシュとハドソンが合併してできたメーカーだが、元々レベルの名はランブラー・ブランド(合併前からナッシュが使用していた)の元で、1957年型から1960年型まで使われていたものである。1961年型でAMCはランブラー・レベルとランブラー・シックスを統合し、インターミディエイトのランブラー・クラシックとしたのだが、このクラシックは1966年型で、2ドア・ハードトップのトップグレードがレベルを名乗るようになった。そして翌年のフルモデルチェンジに際し、車名そのものがクラシックからレベルへと改められたのであった。

このランブラー・レベルは、1968年型からランブラーの名を廃しAMCレベルとなった。そして4年目の1970年型では4ドア・セダンも2ドア・ハードトップも車体後半のデザインを変更、2ドアはセミファストバック・スタイルとなっている。このプロポーションは、わが国のクラウン(1971年デビュー)などにも影響を与えたのではないだろうか。マシーンは、このレベルの2ドア・ハードトップを前述の通りハーストとのコラボレーションでマッスルカーへと仕立てたものだ。

搭載されるエンジンはSC/ランブラー同様に390-cid(6.4L)ながら、最高出力はそれより25hpアップして340hpに達した。これはAMCの歴史上、最も強力なユニットである。SC/ランブラー同様に4速マニュアルのギアボックスとハースト製シフターを具えるほか、デュアル・エキゾースト、強化型の冷却システム、グッドイヤーのポリグラスタイヤと15インチのマグホイール、前輪パワーディスクブレーキ、“ツイン・グリップ”デフ、ハンドリング・パッケージなどですっかり武装していた。これ以外にも、ハイバック・バケットシートやラムエア・タイプのフードスクープ(後部にタコメーターを装備)、省スペース型スペアタイヤなどが専用装備となる。

レベル(Rebel)とはそもそも、「反抗者」「反逆児」、ひいては「不良」という意味を持つ車名である。このマシーンによって、反逆児のイメージがまさに具現化されたと言ってよいだろう。生産された2326台のうち、最初の約1000台はホワイト/ブルーのツートン・ボディにレッドのストライプを持つ。残りのモデルは、ブラックアウトされたボンネットだけが特徴の、地味なカラーリングとなっていた。SC/ランブラー同様にマシーンも、この年限りの存在である。

スケールはちょっと大きめ1/24!残念ながら細部は実車との違い多し
1970年型AMCレベルをベースにしたマシーンは、同年にジョーハンからプラモ化されている。キット(使用したのは1984年製No.2670)は、このスケールにしては大きい印象で、実測してみるとアメリカンやSC/ランブラー同様に、やはり1/25ではなくほぼ1/24スケールである。

ジョーハンは1967年からAMCアンバサダー(レベルと設計を供用するフルサイズ寄りのモデル)のプロモを出していたようで、これを2ドア・ハードトップ(C-1367)とコンバーチブル(C-1667)の2種でキット化。さらに1968、1969年型のアンバサダーをリリース、このシャシーを短くして流用し1969年のレベルSST(C-1969)へと派生、1970年型に引き継がれたようだ。

ボディはその独特なスタイルをよく再現しているが、内側の形状の影響で何箇所かヒケが見られる。左側面は中央部がフロントからリアにかけて僅かに膨らんでいるので、当て木をしたペーパーヤスリで修正。フロントグリルと前後のバンパーはメッキを剥がして成型線を取り除き、ボディとのフィッティング処理をした後、再メッキ加工した。フロントグリルのモールはフード側にあるので、この部分を切り取ってフードへモールを移植している。

エンジンブロックはアンバサダーと共通パーツのようだが、インテークマニフォールドが実際とは異なり、キャブレターも二連装になっている。作例では、ジャンクパーツから適当なインマニとキャブ、エアクリーナーを調達し、交換した。シャシーはアンバサダーと同じなので、エキゾーストはシャシーに一体成型の1本出しだが、前述の通りマシーンではデュアル・エキゾーストが標準である(作例では特に手を加えていない)。

ホイールベースはキットのままで問題ないが、フロントはそのままではハの字になってしまうので、アッパー側取り付け部にプラ材を挟んで調整。トレッドも左右それぞれ2mmほど広げた。車高はリアを僅かに上げ、全体的に高めにしている。タイヤはPP製の貼り合わせタイプなので非常に使いにくいため、これもジャンクから少し大きめな適当なものをチョイスした。インテリアでは、メーター周りが実車と異なるが作例はキットのまま。シートは塗装し難いので一度切り離したが、ブラック一色なのであまり意味がなかったようだ。アームレストは倒した状態に改造している。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.213より再構成のうえ転載

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