後輪独立懸架や4輪ディスクを導入した二代目
“アメリカ唯一の量産スポーツカー”、シボレー・コルベット。1953年に登場したコルベットは、10年目にあたる1962年にモデルチェンジを行い、1963年型から第二世代、所謂C2へとバトンタッチした。今から4年前(2019年)に発表された現行モデルはミッドシップ・レイアウトへと移行したことで話題を呼んだが、二代目へのモデルチェンジの際にすでに、ミッドシップの採用は検討されていたのだという。
【画像16枚】ブルーが眩しいコンバーチブルのコルベット・スティングレイ、そのディテールを見る!
しかし、登場以来確立されたイメージと乖離してしまうことなどを理由に、コルベットはそれまで通りFRレイアウトを維持することになった。1963年型コルベットは1962年のパリ・サロンにて発表されたが、車名には新たに「スティングレイ」のサブネームが付され、シボレー・コルベット・スティングレイとなった。二代目の特徴は何と言ってもその大胆なボディスタイルであるが、スティングレイの名は、その形状がアカエイ(スティングレイ)をイメージさせるところに由来している。
初代の末期、1961年型で導入されたダックテール(本国流ではボートテールとも言う)をフロントにも応用したようなそのデザインは、C1ベースのレーシング・マシーン、“スティングレイ・レーサー”からの引用であった。ボディ外周をエッジがぐるりと一周するところは、コルベアと近いイメージも感じられる。ヘッドライトは格納式を採用、これは一般的にイメージされるリトラクタブル式ではなく、180°回転することによってライトが露出する仕組みである。
C1同様にボディパネルはFRP製だが、フレームは新たに設計されたラダー式を採用。ホイールベースは98インチ(2489mm)で、初代より4インチ(102mm)短い。ボディ形式は先代同様にコンバーチブルもあるが、シリーズのメインは、新たに加わったクーペの方であった。サスペンションは、フロントは従来同様ダブルウィッシュボーンだが、リアは新たに独立式となった。これは平たく言えばトレーリングアーム式だが、コイルスプリングではなく横置きリーフを組み合わせているのが独創的な部分であった。エンジンは先代ラストイヤーの1962年型同様、327-cid(5.4L)を基本に4種類を設定。
1963年型のクーペは左右に分割されたリアウィンドウが特徴だったが、安全性に難ありということで、1964年型からは常識的な一体式に変更された。また、エンジンフードに設けられていたルーバー(ダミー)はオミットされ、クーペのリアピラーにあったルーバー状の凹みは片側のみベンチレーターとして機能するよう改められている。
1965年型ではフロントフェンダーのエア・アウトレットがダミー(凹み)ではなく機能を持ったものに変更され、形状も横2本から縦3本となった。メカニズムの面では新たに4輪ディスク・ブレーキ(しかもベンチレーテッド)が導入されたが、それを上回るニュースとも言えるのが、“ビッグ・ブロック”V8(コードネームL78)がシーズン途中の3月から追加されたことであろう。これは396-cid(6.5L)の排気量を持ち、最高出力はついに400hpを超えて425hpに至った。
これ以外のエンジンはこの年も327で、250hp仕様を標準とし、300hp、350hp、365hp、375hp(これのみラムジェット・インジェクション)の各仕様がオプション設定されている。1965年型ではサイド・エキゾースト(オフロード・サービス・エキゾースト・システムという名称)がやはりオプションで用意されたのもポイントであった。続く1966年型ではビッグブロックを427-cid(7L)に拡大、1967年型ではそのラインナップを2種類から4種類に広げている。この1967年型がC2最後のモデルとなった。
1967年型のキットを1965年型に改修、しかし細部は全て年式通りでもなく…
さて、ここでご覧いただいているC2コルベットは、レベル/モノグラム製の1/25スケール・プラモデルを制作したものだ。ただし、キットは1967年型であるが、作例はこれを1965年型へと改めている。これについて、作者・ダッズ松本氏の解説をお読みいただこう。
「C2におけるエクステリアの妙はなんといってもスティングレイ(赤エイ)をモティーフにした抑揚のあるフェンダーラインの膨らみにあるが、キット化においてこの微妙なラインの再現ひとつとっても、各社それぞれに特徴が良く出ているので興味深い。とりわけレベル/モノグラムの1967年型427ロードスターは、1990年代後半のリリースと言うこともあり、プロポーションの正確さや組みやすさなどにおいて、C2の中ではもっとも信頼性の高いキットのひとつであると言えよう。
さて今回、数年前まで元気に走り回っていた不肖の愛車を1967年型から再現させていただいた。1965年型への変更点としてまず挙げられるのが、フェンダースリットの改修である。1967年型の5本スリットをエポキシパテで埋め、リューターとナイフを用い、3本のスリット部分を開口。ボディ前方の1辺のみを薄く削り込み、裏側からパッチをあてることで僅かに開口部を残すようにした。最後に開口部以外の3辺にエポキシパテを少量盛り、丸くえぐれた形状に成形してある。
また、ライセンスプレート上部のバックランプは1967年のみの装備なのでこれもパテで埋めておく。1965年型のホイールにはスピンナーが付くが、これはハセガワ/モノグラムの1966年型コルベット・クーペから流用した。こちらのキットは1/24ではあるが、ホイール径は同じである。ちなみに、シートもここから流用した。1965年型のサイドブレーキはハンドルポスト下に付くため、センタートンネルにはプラ材で肘掛けを作り、エンブレム類は全て1965年のものに一新してある。
エンジン周りは全くのオリジナルなので、各種ジャンクパーツを当時のレストア写真を参考に逐一加工してある。もっとも時間を要したのがタコ足の連続するサイドマニホールドの加工であるが、タミヤの2mmプラ棒をライターで慎重に曲げてある。どうやら、曲げたい角の手前を炙るのがコツと言えそうだ。外観は可能な限り1965年型のオリジナルにこだわったが、フードだけは愛車同様1967年のスティンガーフードとした。熱対策のためフードスクープに開口してあるが、オリジナルでは開口していないので注意されたい。
なお、塗料に際しては、偶然20年前のレストア時に使った純正色が出てきたので、これをそのまま使用した。ナッソーブルーという、どこまでも澄んだこの青もまた、この1965年型に採用されて以来、コルベットを代表するカラーのひとつである」