外装ET/内装ベーシックは最廉価な組み合わせ
初代セリカの実車と、その1/24スケール・プラモデル、そしてそれをベースとした往年の街道レーサー風作例については、すでに前編の記事(下の「関連記事」参照のこと)にてご紹介した。ここでは、この作例のさらに詳細なところについて、作者・森山氏に語っていただこう。
【画像52枚】エンジン搭載、水中花ノブなど、ディテールの自作法を見る!
「初代セリカをベースとした往年の街道レーサー風な車両を、という『モデルカーズ』編集部からの注文で、わりと硬派な個体で1980年前後の設定、当初はワークスオバフェン仕様という案もあったのですが、改造の公認取得が容易になった現代ならともかく、ドアミラーひとつで違反キップ切られてた頃にそんなでかいフェンダー付けたら即強制廃車……。それ覚悟でやる人が出てくるのは1980年代半ば以降だったような?
と言うことで、ノーマルを元に日本グランプリ仕様のパーツも織り交ぜつつ、車屋さんで働き始めた当時の若者が、お金がないながらもコツコツと仕上げていった……というコンセプトで制作しました。編集部と話し合った中から、ワンテールから分割テールに変更、しかもよく見るとベースがGTでないという案を採用。
最初のマイチェン後の1972~1974年の1600ETですが、GTやSTと違って最廉価モデルということもあり、安価で入手してフェンダーを板金加工でタタキ出し、それにトランザムキットと言われるエアダムスポイラーとリアフェンダースカートを一緒にパテ埋め全塗装、車体で安く上げた分を改造費に、という設定からエンジンも当然改造しているということで制作しました。
エンジン搭載は、さかつう製2T-G(メタルパーツ)を複製、それをベースにあえてOHVの2Tに改修という、誰もやらなさそうな改造を行ってみました。その他、レーシングジャケットや加工テッチンホイールに水中花シフトノブと、思いつくのと入手が容易、かつ加工できる範囲で当時のアクセサリーをちりばめています。
細かいストーリーを想定して制作
さらに具体的に想定していくと……ベース車はシビリアンレッドのET、1600シングルキャブで、インテリアはアイボリーの『ベーシック』。元オーナーは運転の苦手な女性で、旦那が買い与えたもののアチコチぶつけまくり。新車の代替え下取りでもボディはキズだらけ・仕様が地味すぎで、格安で叩き売られていたのを、整備工として働き始めた新オーナーが購入、先輩の指導のもと改造開始。
エンジン、足周りは元より、板金ついでにフェンダー叩き出しとトランザムキット装着でオールペン。タコメーター無しのため、メーター一式を中古で見つけたデラックス/カスタムSW用のタコメーター&電流/油圧計付きパネルに変更、エンジンは吸排気系を変更し、シャコタンに。と言ってもあまり派手な改造はせず、お巡りさんに止められても切符切られるかどうかギリギリの改造、と言った感じで……
お巡りさん『これフェンダー出てない?』
持ち主『寸法測ります? 車検証の枠内ですけど』
お巡りさん『このミラー……』
持ち主『ドアについてなければ違法じゃないでしょ』
お巡りさん『ハンドル変わってるし警音機のマーク無いけど』
持ち主『道交法で最低寸法の規定あります? それにホーンボタンのマークは昭和48年10月以前の登録ですから対象外でしょ』
お巡りさん『このキャブレターは……』
持ち主『トヨタ純正品ですけど(GTに標準のソレックス)』
……といった寸劇なんかが出来そうなイメージで考えてみました。そんなわけで完成したこの1台、皆様にとって何かしらのヒントが見つかれば幸いです」