見るからに硬派、だけどGTじゃないヨ!ハセガワ製プラモ「初代セリカ」を街道レーサーにモディファイ・前編【モデルカーズ】

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フルチョイスシステムで一躍売ったダルマさん

1970年12月に登場したトヨタ・セリカは、我が国初のスペシャルティカーである。新奇で見栄えの良いデザインと、実用的な4座のキャビンを備えた、スポーツカー風味の乗用車――というコンセプトは、アメリカのフォード・マスタングやシボレー・カマロなど、いわゆるポニーカーを日本的に翻案したものだ。

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当時の国産車としてはきわめて斬新かつ個性的なスタイリングは、前年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカーEX-1のモチーフを活かしたものとされているが、初代セリカとEX-1の間にはかなりの隔たりが感じられる。確かにEX-1のディテールにはいくつかセリカと共通するものもあるが、全体のプロポーションはEX-1ではファストバック、セリカはノッチバックと、完全に異なる。直接には、チャレンジャーやバラクーダ、あるいはカマロなどの影響が大きいのではないだろうか。

レイアウトは当時の国産小型車としては一般的なものであったFRで、メカニカル・コンポーネンツは同時に開発された中級乗用車カリーナと共有している。サスペンションはフロントがストラット、リアが4リンク式のリジッド。エンジンは全て直列4気筒で、1.4Lと1.6LのOHVがあり、後者にはツインキャブ仕様もあってOHVは合計3種、さらに1.6LのDOHCがあり、全4種類。このDOHCはトップグレードであるGT専用ユニットとなっていた。

この1600GTを唯一の例外として、グレードを設定せずにユーザーが好みの仕様を組み合わせて購入することができるという、フルチョイス・システムが初代セリカの売りである。すなわち、ST/LT/ETの3種の外装と8種の内装、前述のOHVエンジン3種、そして3AT/4MT/5MTの3種のトランスミッションを自由に組み合わせることが可能だった。これはやはり、同様にユーザーが自分好みの仕様に仕立てることができた初代マスタングを真似たものと言えるだろう。

こうした斬新なコンセプトとルックスが人気を集め、初代セリカは登場と同時に大ヒットとなった。1973年には、ハッチゲートを持つリフトバック(セリカLB)が加わり、SOHCとDOHCの2リッター・エンジンも搭載可能になった。ハードコアなスポーツカーを持っていなかったトヨタのラインナップ中、最もスポーティな車種として、その後も改良を加えながら1977年まで生産され、大きな成功をおさめて2代目にバトンタッチしたのである。

安いベース車両をコツコツとチューンしたイメージで
新車当時から高い人気を誇った初代セリカは1/20、1/24の各スケールでいくつものプラモデルがリリースされた。現在(2023年1月)でも、ハセガワとアオシマの1/24スケール・キットが入手可能である。ハセガワのキットは2000年代に入ってからリリースされたもので、ワタナベのホイールを装着した最初期1600GTを再現したものだが、近年になってノーマルホイール仕様が何度か限定発売されているほか、最近ではレジン製パーツでグリルとリアガーニッシュを再現したST仕様も登場している(こちらも限定品、ホイールはワタナベのまま)。

一方のアオシマは、同じく1600GTながら、こちらは中期型となっている。これは1972-1974年のタイプで、燃料タンク位置が変更されリアピラーに給油口が移設されたほか、テールランプが2分割タイプとなるなどの特徴によって識別される。このキットは1980年代初頭にチューニングカー・シリーズの一作としてリリースされたもので、オプションパーツが多数付属するのが特徴だ。

ここでお目にかけている作品は、ハセガワ製キットをベースに、往年の街道レーサーをイメージして制作したものである。ベース車両は中期型ET、時期は1980年頃、叩き出しのフェンダーとワイド化したてっちんホイールを装着……という想定のもと、各部を改修してフィニッシュ。さらにエンジン(2T-Gではなく2T)を搭載するなど、作者のテクニックが存分に発揮されたものとなっているが、その詳細については工作中の写真に添えたキャプション、そして追って公開する後編の記事でお読みいただきたい。

作例制作=森山琢矢/フォト=羽田 洋 modelcars vol.221より再構成のうえ転載

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