これがヨコ目の「初代セドリック」!1/24ミニカー改造で「1965年型カスタム」を再現する・前編【モデルカーズ】

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5ナンバー枠の最上級グレード

日産の高級車と言えばセドリック(とグロリア)であったが、オーナー向け乗用車としてはY34型を最後にその系譜は途絶え、名前の残った営業用セダンも販売を終了して久しい。歴史のある車名が消えてしまうのは寂しいものである。日産は戦後、英国オースチンのA40、A50をライセンス生産することで技術を吸収し、その成果としてセドリックをデビューさせたのだが、そうした経緯を振り返ると、戦後の日産の基礎をなした重要な存在であることが、改めて実感されるのである。

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そんなセドリックの初代モデル、30型は1960年4月に発売された。車体の基本構造はオースチンに倣ったモノコック式、ボディの基本プロポーションも英国製サルーンを思わせる分厚いものであったが、縦に並べたヘッドライトやラップアラウンド式のフロントウィンドウに、当時人気の高かったアメリカ車からの影響が色濃く感じられる。レイアウトは無論FRで、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがリーフリジッド。グレードはデラックスとスタンダードの2種類。

当時の小型車規格は1500ccであったため、両グレードともにエンジンは1488ccのG型を搭載していたが、同年、この規格が2000ccへ拡大されたため、追って11月にラインナップに加わったのが、1.9Lエンジンを搭載した上級モデル、カスタム(G30)である。搭載エンジンは1883ccのH型で、ホイールベースも100mm延長されて2630mmとなっていた。翌1961年5月にはデラックスも1.9リッター化されたが、カスタムの方が格上のモデルとなる。つまり、後に加わる2800㏄の3ナンバー車セドリック・スペシャルを別とすれば、初代セドリックの最高グレードがこのカスタムである。

1962年4月には、エステートワゴンを追加。これは同じく1.9Lエンジンを搭載した本格的なステーションワゴンだ。ヘッドライトが横4灯に変わったのは1962年10月のマイナーチェンジでのことである。このとき型式名も、それまでの30型系から31型系へと改められており、カスタムはH31となる。カスタムのホイールベースはさらに2690mmへと延長、この寸法は後の430型まで連綿と受け継がれることとなった。また、このときスタンダードにも1.9Lモデルが追加されている。

1962年12月にはセパレートシート付を発売、1963年2月には前述のスペシャル(50型)を登場させた。これは前年の全日本自動車ショーで発表されたモデルで、2.8LのK型エンジンを搭載するだけでなく、ホイールベースは2835mm、全長は4855mmまで拡大されている。以後、ディーゼルやBWの3ATなどの追加を挟みつつ、1963年、1964年のどちらも9月にマイナーチェンジを行っており、各年式でグリルなどの細部が異なる。ちなみに、1964年時点での車両価格ではデラックス93万円に対しカスタムは100万円と、さすがの貫禄だ。1965年10月にはフルモデルチェンジ、二代目へと生まれ変わっている。

ボディをレジン樹脂に置き換え、ホイールベースを延長!
さて、初代セドリックのプラモデルは意外と多いが、本格的なスケールモデルとしてはヤマダの1/24が代表的なものと言えるだろう。これはボディ各面をバラバラに成型したキットであった。このほか、ミドリのノンスケールキット(1/40程度のものと1/60程度のものの2種)、マルサン1/32のスロットカー(セドリック・スペシャル)などもあるが、いずれも貴重な品であり、また内容としても当時なりのものでしかないので、現代的な内容のキットがあれば……と夢想してしまう。

ここでお目にかけているのは、所謂“ヨコ目”のH31型カスタムの1/24スケール完成品であるが、この作品のベースは、1/24スケールのダイキャストミニカー、『国産名車コレクション』。これをレジンにて複製、適切な改造を加えて後期型カスタムとしてくれたものである。なお、このような完成品の複製は、あくまで趣味の範疇でのみ許されるものであるから、同様の作業を行える方でも複製した品の販売などはされないよう、くれぐれもご注意いただきたい。

作例で再現したのは、具体的には最終型にあたる1965年型(1964年9月~1965年10月)のカスタムだ。ベースとなったダイキャストモデルは、タテ目最初期のカスタムを再現しているので、ボディ複製品をふたつ用意、切断位置をズラしてそれぞれ切り離し組み替えて再接合することで、ホイールベースを延長している(実車の延長部分はBピラーよりも前)。こうした工作の詳細については、工程写真に添えたキャプションをお読みいただきたい。同じように初代セドリックを作ろうという訳にはもちろん行かないが、グリルの自作法(これは後編にて紹介)など細かな部分は、他の車種やキットを改造しようという際の参考にもなるはずである。

作例制作=坂中善之/フォト=服部佳洋 modelcars vol.267より再構成のうえ転載

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