屋根まで開く「変貌のテクノロジー」をご存じか!?フジミ製プラモ「20ソアラ」を徹底改修する・後編【モデルカーズ】

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500台だけ造られた電動メタルトップ

フジミ製プラモデルの二代目ソアラ。そのボディ形状における欠点を克服し、さらにエアロキャビンへと改造したこの作品については、前編の記事(下の「関連記事」参照)でご紹介した。この作品は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の250号(2017年)巻頭特集のために制作されたもの。その特集趣旨は、以前に制作して意に満たぬ結果に終わったキットに再挑戦してみようというものだった。そうした意味での詳細について、作者・北澤氏に語っていただこう。

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「1980年代のトヨタ車の中で私が一番好きな二代目ソアラ。ところが模型に関してはどうも良い思い出がありません。最初はまだアマチュアの頃、フジミのキットを缶スプレーでツートンに塗装したんですが、サイドモール付近でマスキングテープの下に塗料が流れ込んで塗り分けがグダグダに(泣)。その後ずーっと避けて通っていたんですが、2009年の152号でとうとうオハチが回ってきました。

この時は幸いにもホワイト単色というオーダーだったので、過去のトラウマと対峙せずに済んだのですが、出来上がってみるとどーにもコレジャナイ感じ……インチアップ・シリーズ最初期のキットであるフジミ製二代目ソアラ、なかなか手強い。素組みプラスα的な作り方ではウマく化けてくれなかったのです。

ふたたび二代目ソアラに挑んだのは2012年の193号、今度はタミヤでした。実車用タッチアップ塗料を使ってボディを塗装したのですが(注:この使用は編集部からの要請によるもの)、模型用塗料と違って乾きが遅く、マスキングテープの痕がベッタリついてしまったり、完成直前に塗料の溶剤成分が悪さをしたのかルーフ中央がパックリ割れたり(!)とトラブル続き。そもそも実車用塗料を模型に塗っても、案外実車と同じ印象にはなりにくいもので、またまたコレジャナイ効果が発動しちゃいました」

悪魔の囁きに身を委ねた結果……
「そして今回、みたび挑戦となる二代目ソアラ。タミヤは現在(注:2017年)ちょっと入手が難しいので、フジミがベースです。このキットのコレジャナイ感の源は、フロントマスクがヤケに分厚いのと、Cピラーからリアデッキにかけての造形のアヤフヤさ、そしてローハイトなタイヤによる貧弱な足元。この3点に手を入れればカッコ良く化けてくれるはず! と思っていたら編集部から悪魔の囁きが……『ナンならエアロキャビンにしちゃってもイイですよ~』。

エアロキャビン! 二代目末期たった500台だけ作られた電動コンバーティブル……カッコ良いような悪いようなビミョーさがなんとも素敵なアレ。本誌とは長い付き合いだけに、私の嗜好は編集部にすっかり見切られているようです。もともとリアデッキ周辺はきっちり直すつもりだったので、キャビン後半を作り替えても作業量はさほど変わりません。フジミのキットは1988年1月マイチェン以降のタイプですから、ホイール形状を除けばディテールの齟齬は起きず、エアロキャビン化にはお誂え向きなのです。

……というワケで、実に約30年越しでようやく決着したフジミ製二代目ソアラ、プロポーションもツートン・カラーも、どうにかリベンジ出来たのではないかと思います。かつて手こずらされたキットに再び挑んでみて、歳とるってのもなかなか悪くないもんだな、と思った次第です」

作例制作=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.250より再構成のうえ転載

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