ボクらのヤングタイマー列伝:第20回『シトロエンBX』シトロエン”らしさ”と使い勝手を両立したヒット作!!

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという、かつて小社WEBサイトでひっそり!? 連載していた伝説の連載、その進化版がこの『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は意外にもまだ登場していなかったシトロエンBXをピックアップ! だって筆者も大好きなんですもの! というわけで久々の王道!? が登場ですヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第19回『フェラーリGTBターボ』の記事はコチラから

シトロエンらしさと使い勝手を両立したヒット作

シトロエンというメーカーは、常に”シトロエンらしさ”を製品に求められているメーカーです。その”らしさを求める声”は、ずっと昔からありました。ところが今回ご紹介するシトロエンBXは、今見るとエキセントリックのカタマリのようなクルマですが、デビューした1982年当時は”らしくない”という評価だったのです。

BXは、かつて2CV(とその派生車種)とDS(Dシリーズ)という両極端なクルマしかなかったシトロエンが、1リッター〜の大衆車クラスに初参入したモデル、GS(GSA)の後継モデルにあたります。GSはDS譲りのハイドロニューマチックサスペンションを備え、空冷フラット4で前輪を駆動する革新的なモデルでした。BXはハイドロを引き継いだものの、経営難からプジョーと合併した後のクルマのため、プラットフォームやエンジンはプジョー系の技術で作られており、メカニズム的には水冷直4エンジンの常識的な設計となりました。

カクカクの外観はベルトーネ時代のガンディーニによるもので、今回イラストにした初期型では、これで生産モデルなのか、という素っ気なさと斬新さを併せ持っています。インパネも外観に負けず大胆でした。1987年に内外装に大きく手が入っておとなしい姿になりましたが、それでもBXは当時、充分に奇抜でした。

丸いGSAからカクカクのBXになってサイズは大きくなった気がするのですが、不思議なことに寸法はあまり変わりません。さらにBXはGSAよりも広い室内と荷室を備えています。BXのリアシート足元の広さは本当に驚きでした! スクエアな荷室も全長を考えると凄まじい収納力です。ハイドロニューマチックの恩恵で乗り心地は抜群で、体を包みこむシートは気持ちよすぎて乗ったパッセンジャー全員を安らかな眠りにご招待……というシトロエン伝統の快適さ。ボディはコンパクトでほどよいエキセントリックさがあり、しかもGSの空冷と異なり普通のエンジンを持つBXは、シトロエンらしさと使い勝手のバランスが良いモデルとしてやがて高い評価を得るようになりました。シトロエン・ファナティックからも! エアコンやオートマチックモデルも充実したBXは、日本でもちょっとしたヒット作になったほどです。

ボクは友人が何台か乗っていた(いる)ことと、また父親が愛用していたためにかなりの頻度でBXに触れているのですが、ひとつ、BXを象徴するエピソードで締めたいと思います。それは家族4人で京都へ父親のBXで向かった時のこと。クルマに酔いやすい母親が、往復まったく酔わなかったのです。しかもリアシートに座っていたのに! でもBXの乗り味はふわんふわんなので、上手に乗りこなさないとパッセンジャーを逆に派手に酔わせてしまうこともまた、当時のシトロエン”らしさ”でもありました。

カー・マガジン475号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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