ラリーに!スキーに!大活躍!!BEEMAX製プラモ「ST165セリカ」をロードカー仕様に仕立てる・前編【モデルカーズ】

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”流面形”の最強バージョン、GT-FOUR

わが国初のスペシャリティカーとして、1970年に誕生したトヨタ・セリカ。スタイリッシュなルックスと、実用的な4座のキャビンを備えた、スポーツカー風味の乗用車――というコンセプトは、アメリカのフォード・マスタングやシボレー・カマロなど、いわゆるポニーカーを日本的に翻案したものであった。

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当初のノッチバッククーペに、ファストバックのクーペ(LB)も加えたのち、セリカは1977年にモデルチェンジ。2種類のボディは維持したままに、アメリカ生まれのボディをまとっていた。スポーツエンジン受難の時代にあってDOHC搭載車を誇示した一方、直6搭載のロングノーズ仕様・セリカXXも登場させている。この2代目によって、トヨタのスタイルリーダー的地位をさらに確かにしたと言ってよいだろう。

1981年には三代目へとモデルチェンジ。二代続いた豊かな曲面ボディからガラリと変わって、いかにも1980年代前半らしい直線基調のボディスタイルを採用したが、そのスタイリッシュさは相変わらずであった。この世代でも、ノッチバックのクーペとファストバックのLBという、2種類のボディ形状は維持されている。前期型ではライズアップ(ポップアップ)式のヘッドライトを具えていたが、後期型ではリトラクタブル式へと変更された。

本題の四代目・T160型系へとモデルチェンジを行ったのは、1985年8月のこと。T150コロナ/カリーナのコンポーネンツを流用して、FFレイアウトを採用したのが特徴であるが、ボディ形状もファストバック一本に改められた。それまでのノッチバッククーペは、同時デビューのコロナクーペが引き継いだ形である。また、このモデルチェンジでは4ドア・ハードトップのカリーナEDも、新たな兄弟車として加わった。

話をセリカに戻すと、今度のボディスタイルは再び曲線・曲面を基調としたものとなったが、トヨタはその形を「流面形」と称した。その名の通り、単に曲面的と言うだけでなく、うねるような面の連なりで構成されたボディスタイルは新鮮なもので、スタイルリーダーとしてのセリカの地位をまたも確かなものとしたのである。またそれだけでなく、空気抵抗係数0.31と、空力的にも非常に優れたものであった。

エンジンは3種類あり、いずれも直列4気筒。1.6LはDOHCの4A-GELUで最高出力130ps、1.8LはSOHCの1S-iLUで、こちらは105psであった。そして、トップグレードのGT-Rに搭載されていたのが、2L DOHCの3S-GELU(160ps)である。トランスミッションは5速MTと4速ATを設定、サスペンションは前後ともストラット。

そしてデビュー翌年の1986年に追加されたのが、最強モデルのGT-FOURであった。エンジンはDOHCターボの3S-GTEUを搭載、最高出力は185psに達したが、それだけでなく駆動方式をフルタイム4WDとしており、そのパワフルな走りは、「和製クアトロ」として高く評価されたのである。4WD駆動系は、初期型ではセンターデフにベベルギアを用いていたが、1987年のマイナーチェンジで、ビスカスカップリングに変更されている。

折からのアウトドアレジャー・ブームに乗ったスキー映画の劇中で、主役級の大活躍をし、映画もヒットしたことや、1988年からトヨタ・チーム・ヨーロッパの手でWRCに投入されたグループA仕様が、ランチア・デルタと互角の戦いを繰り広げたことも、実車の人気を大きく後押ししたと言えるだろう。

BEEMAXとタミヤの組み合わせでカーモデラ―の夢を実現!
T160型系セリカのプラモデルは、新車当時タミヤがいちはやく製品化したが、当初のトップグレードであるGT-R(ST162)のキット化で、GT-FOUR(ST165)としての製品化はなかった。しかし、実車デビュー30年後の2016年になってようやく、マカオのBEEMAX(アオシマとのジョイント)から、ラリーカー仕様のST165のキットがリリースされたのである。

BEEMAXでは今のところロードカーへのバリエーション展開はしていないが、幸いタミヤのGT-Rは時おり再販されており、比較的容易に入手できる。そこで、設計の新しいBEEMAXのボディとシャシーにタミヤのインテリアを組み込んで、ロードカーのGT-FOURへと戻したのが、今回の作例である。その制作の詳細については、工作中の写真に添えたキャプションをご参照いただきたい。また、続きは後編として公開するので、楽しみにお待ちいただければ幸いだ。

作例制作=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.270より再構成のうえ転載

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