白い「GX71型マークIIグランデ」をプラモで究極再現! マークII三兄弟が懐かしすぎる!【モデルカーズ】

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日本経済が波に乗った当時の国民総中流意識を見事に掴み取り、1984年にデビュー。アッパーミドルクラスの王者として君臨したクルマがGX71型マークIIハードトップ・グランデです。その頃の街中は、それこそ白いマークII三兄弟で溢れかえっていたものでした。個人的には、我が家の車もマークII/ローレル/セドリックと、この辺りのクラスの車をマイカーとして乗っていたことがあったのですが、マイカーを所有していなかった期間が一時期あり、再びそれを買おうと父親が言い出したその時期、フルモデルチェンジで登場したのが、この70系マークIIでした。時期的にちょうどこの頃が、自分がより深くクルマ好きとなっていくタイミングだったこともあり、思い入れの深いクルマだったりします。

【写真25枚】バブリーなワインレッド内装も見事に再現!

自宅には3代目マークIIのLGがあった!

と言うのも、どうも父親はマークIIが好きだったようで2代目を2台続けて乗り、その後はジャガー顔の3代目マークIIのLGがうちにあったことがあり、その車内で、いつも父親がマークIIやその兄弟車チェイサーについて話していたものです。グレード的には当時最高だったのがグランデで、流石にそれは無理だったのでその次のがうちの車なんだ、というような話で、幼かった自分にはそれが刷り込みとなり、マークIIに親近感を持ち、グランデというグレードにも特別な感情を持ったのでした。 そして、再度父親がクルマを探し出したこのタイミングで、何もわかっていないのにわかった気になっている思春期手前のクソガキの自分は、このマークIIにしようと父親に詰め寄った覚えがあります。話はだいぶ脱線してしまいましたが、今回はついにそのマークIIに対峙することができました。思い入れがあるのになぜ今まで作ってなかったの? その理由は、冒頭に書いたように、なんか「印象が違う」からなのです。 71マークIIが出た当時は、ある意味一番模型に夢中だった時期ともいえる頃なので、当然マークIIのキットも何度か買おうとしたことがあったのですが、箱を開けて見ると印象がなんか違う当時のその思いに加え、模型復帰後に何度か見かけた完成品にも同じ印象を抱きました。この、「似てるんやけどどこか違う」問題は担当編集氏も同じくだったようで、今回、徹底改修をお願いしますとの命が下りました。

やっぱり何かが似てないマークIIのキット

71マークIIはマイクロエース、そしてフジミからも発売されておりますが、しかし、やはりどちらもなんか違うんですよね。でもとはいえ、ぱっと見は似てるんですよ、どちらも。今回は、キャビン形状の自然さからマイクロエース(旧エルエス金型)をベースにした制作となりました。フジミはさておき、このキットの改修ポイントを突き詰めていくと、フロントノーズ先端が短いのではないか、そしてリアデッキがタテ方向にボリュームがあり過ぎるのでは、という結論となりました。さらに見ていくと、フロントバンパー下エプロン部のボリュームも不足しているのではないか。そしてフロントフェイス部の処理の甘さ。部品自体は正しく再現されているものの、そのパーツ同士の接合部の「間」の取り方が微妙なズレを引き起こし、その積み重ねの結果、なんか似てないという結果につながっていくようです。その間の取り方はほんとシビアで、バーツ同士はもちろん、面やエッジ部の微妙なRの狂いでも違和感を放つぐらいで、それらを徹底的に正して全体を統合していくという、取り立てて改造箇所は多くないものの微妙な作業の連続に、かなり手こずらさせられました。さらに、作業を重ねて全体的に正しい方向に向かっているはずなのに、どこか違うクルマのような濁った違和感が消えなかったのですが、最終的にそれがフェンダーリップとホイールアーチであることに気づきました。そこを正すと、一気にマークII以外の何者でもないイメージに辿り着いたのが印象的です。

カムリっぽい微妙なズレを完全再現!

フロントマスクはディテールがより再現できていると思われるフジミのキットのパーツをベースに、上下トリムを追加しています。各々ほんと小さく極々小さな誤差が重なることで大きな印象の違いとなるのが、マークII、いやこの当時のトヨタデザインの特徴と言えるのかもしれません。どこか分かりやすいポイントではなく、全体の「間」の取り方で各車のイメージを作り分けている。今回はずっと、どこかカムリっぽいというイメージと闘っていました。他の、色々なメーカーからキット化されているマークII三兄弟やクラウン、ソアラなどにも、同じようなイメージがあります。これはミニチュアとして縮小すればするほど微妙なズレがより大きく影響を与えるようで、プラモデルキットとして分割組み立てをも考えて設計すると、完全再現するシビアさは想像以上のような気がしてきました。そのせめぎ合いの結果、どこかが違うという印象に繋がることになったのではないでしょうか? この当時のトヨタデザインの緻密さを今回改めて教えられた気もしますし、同時に恐ろしさも感じますね。ではまたお会いいたしましょう! (Ken-1)modelcars 294

作例制作=ダッズ松本/フォト=羽田 洋 modelcars vol.182より再構成のうえ転載

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