「毎日1テーマずつ読めば、1か月後に所さんみたいな思考になれる!」
「所ジョージの世田谷ベース」の最新号は記念すべき50号目。雑誌『Daytona』で6年以上連載を続けてきた「トコロ辞典」の膨大なアーカイブを再編集し、一冊にまとめた完全保存版です。ひとつのテーマは約5分で読みきれるので、毎日1テーマずつ読み進んでいけば、おおよそ1か月で完全読破。翌月には、所さんみたいな思考回路に近づいてしまい、楽しくてしょうがない毎日がやってきてしまうというコンセプトで制作、ここではその一部をチラ見してみましょう。
あつ‐くるし・い【暑苦しい】
[文]あつくる・し[シク]気温や湿度が高く熱気がこもったようで息苦しい。「満員で―・い車内」いかにも暑そうに見える。「―・い服装」大辞泉参照
トコロ辞典的「暑苦しい」の解釈
小さな権利を主張し、見栄や体裁が裏にある皆同じにしなきゃという考え方になっていくこと。その結果、自分で考えなくて良くなってしまい、優しさがなくなってしまう。
■小さな権利をふりかざす人
あまりにも暑い日が続いたので、家族を連れてとある避暑地に行った時の話。そこは、国が自然保護のために規制をかけていて、変な商業施設が無く、手付かずの自然がのんびりと楽しめるところ。戦後間もなく建てられた老舗リゾートホテルがあり予約していったのですが、気になることがありました。ロビーは登山姿の人達でザワザワ!
避暑感マイナス、山小屋かしらの状況です。首から水筒下げて、ごつい登山靴でバタバタしてます。「あっちにおみやげコーナーあったよ!」と、とにかくザワザワ。ラウンジのカフェも登山客でいっぱい。もうあちこちでグループが力いっぱいおしゃべりしてまして、まあガヤガヤ。ここは登山やトレッキングでも人気があって、ハイシーズンなので皆さん、おみやげだけ買うとかお茶だけしにきたようです。
そんなカフェを見ていたら、きちんとした身なりの70代後半くらいの老夫婦が、横に積まれたリュックと登山客のおしゃべりで肩身を狭そうにしている姿を見つけてしまいました。もしも、お二人が一生の思い出に泊まりに来ていたとしたら……と考えてしまい、せっかく涼しいところに来たはずなのに、一気に暑苦しくなったのです。
私はリュック背負った登山姿で、このホテルに入ろうと思わないし、静かに過ごしたい人が集う場所で騒ごうとも思いません。こういうことを言うと、別にホテルのロビーなのだから、自由に入る権利あるだろう! と反論する方もいます。でも、東京の高級ホテルにサンダル履きに短パンで爪楊枝くわえて行かないでしょう? 自分都合で小さな権利を主張するのはとても「暑苦しい」。
【写真7枚】一家に一冊!? 思わずうなづく、所さんの「名言」たち。
■皆と同じがアタリマエ?
社会全体の大枠としては、みんなと同じルールを守って生きていくのは当然ですけど、そこに囚われると、本質が見えなくなってくる。例えばゴミ出しはみんなと同じようにちゃんと分別して指定日に出している、だから自分は「地球にやさしい」ちゃんとした人間だ、となる。
そもそも、「ゴミを出さないこと」が重要だと言うことに気が付かない。家に急須とお茶があるのにペットボトルのお茶を子供と一緒にがぶ飲みする。日本で1年間に何本のペットボトルが使われていると思います? 203億本だそうです、ざっくり計算して一人あたり年間160本ペットボトルを使って捨てている。頑張ってリサイクルしても到底追いつくわけない。そもそも「地球にやさしい」どころか、「地球にごめんなさい」状態なのです。
身の回りの小さいことでも同じ。自分は意識高い系だから、流行のブランドを着る。あるいは、コストなど合理性を考えたらファストファッションを着る。どちらも見栄や体裁が裏にある、みんなと同じにしなきゃという考えが「暑苦しい」。服なんて自分の気に入ったものを買えばいいのであって、理由なんかつけなくていいのです。
みんながスマホを使っているから自分も使う。たしかに便利で必要なものなのだろうけど、平気で人前でいじってるのって「暑苦しい」。目上の人の前でも平気で使う、恋人と一緒にいるのにお互いに黙ってスマホをみている。そんなことが当たり前だなんて、全然スマートじゃない。スマホを人前では使わず、相手に集中する方がかっこいい。スマホで検索しないでも、自分の知識で話せたほうがいいに決まっています。
最近はスマホで写真を撮ってネットに上げるのが流行りだそうで、皆さん「インスタ映え」する写真をどう撮るかに一生懸命だと聞いて、一応インスタを見てみましたが…… 食べ物、服、旅行、どれもこれも同じ写真にしか見えない。もう全世界に向けて「自分は才能ありません」と発信しているとしか思えない。天丼撮るなら、自分でエビをご飯に刺して「エビ反り丼だ!」とかって言いきるくらいの工夫出来るでしょう? そもそもこんなどうでもいいことでも、みんなと同じにしたいのでしょうか? だいたい何を以って「インスタ映え」って言うのでしょうか? 他人と違う写真こそが「映える」ということだと思うのですが……。
■必要なのは本当の優しさ
みんなと同じでいいと言うことは、自分で考えなくて良い! とつながっています。それでは、人に優しくなくなってしまうのです。大雨で災害が起きてからそれほど時間が経過していないのに、「梅雨が明けました!」と水着の女子がプールではしゃぐ映像を流す局があれば、その他の局も梅雨明けのニュースをウチもやらなきゃ! となる。そういう報道をすると、みんな被災地のこと忘れてはしゃいでいいんだ! となって、社会のあちこちで優しさのない空気が流れてしまうと考えない。とはいえ災害も、妙なカタチで盛り上げないでほしいものではありますが。
そのまた数日後、今度はダムに水が無い、渇水対策しなくては、水不足になってしまう! と延々ダムが枯れている画や、昔の水不足の映像を流したりなんかして。本当に優しさがないと思います。みんなと同じだと安心するし、楽なんでしょうけど、実はいつも同じになるように気をつけていなくはいけない訳で、それはとても暑苦しい。
そもそも、人はみんな同じようになれない、無理して「みんなおなじごっこ」をし続けるなんて、人生の無駄遣いだと思うのです。
所さん的「暑苦しい」の続きは、所ジョージの世田谷ベース vol.50をご覧ください!
所ジョージの世田谷ベース vol.50
定価:1,020円
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・掲載テーマ
あいそ【愛想】
あつ‐くるし・い【暑苦しい】
いそがし・い 【忙しい】
おとしあな【落とし穴】
おも‐しろ・い【面白い】
おもい‐つ・く【思い付く】
おんきせ‐がまし・い【恩着せがましい】
かた‐づ・ける【片付ける】
かんが・える【考える・勘える】
き‐しょう‐てん‐けつ【起承転結】
クリエーティブ【creative】
クレーム【claim】
けっ‐こん【結婚】
けん‐ぜん【健全】
こ‐せい【個性】
ころばぬさきのつえ【転ばぬ先の杖】
し‐あわせ【幸せ・仕合(わ)せ】
じっ‐しつ【実質】
しっ‐ぱい【失敗】
じょう‐ほう【情報】
そうぞう‐りょく【想像力】
ちゃく‐ち‐ てん【着地点】
て‐ま【手間】
てい‐ へん 【底辺】
てん‐ごく【天国】
ととの・う【整う】
のり‐しろ【糊代】
ヒーロー【hero】
ひにちじょう(せい)【非日常(性)】
ひょう‐げん【表現】
べん‐り【便利】
まと‐はずれ【的外れ】
まん‐ぞく【満足】
め‐くじら【目くじら】
メリット【merit】
やくにたつ【役に立つ】
やり‐なお‐す【やり直す】
よ‐ゆう【余裕】
ルール【rule】
わ・る【割る】