カウンタックの市販が開始されてから48年という歳月が経過しようとしている。今から何十年か前にカウンタックというクルマの存在を初めて認識した時、おそらく多くの方の脳裏に“未来からやってきた”的な形容詞がよぎったはずだ。そして今なおその未来感に時代が追いつくことはなく、クラシックカー、あるいはヒストリックカーという呼び方がいい意味で似合わないクルマの最右翼と言っていいだろう。
本来ならば永久保存級の1台が迎えた悲しい結末
カウンタックの歴史を紐解くと、“カウンタックのようなもの”が公衆の面前に姿を現したのは、市販開始から遡ること3年、1971年3月にスイスで行われたジュネーブショーにおいてである。LP500と名付けられたプロトタイプと市販車との違いは些細なものとも思えるが、実際には車体構造やボディのディメンションなどは別物だった。
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同車はいわゆるランニングプロトで、走行試験などに使用されながらカウンタックのディヴェロップメントに貢献したが、最終的にはクラッシュテストに駆り出されて非業の最期、すなわち廃車・廃棄の憂き目をみる。
2021年にはLP500の生誕50周年を記念して、そのレプリカがワンオフで製作されたことも話題を呼んだが、カウンタックのモデル化に並々ならぬ情熱を傾けるメイクアップではレプリカではなく、“当時モノ”すなわち1971年のジュネーブショーでワールドプレミアされたLP500の再現を目指して原型を設計。残された資料は決して多くはないが、可能な限り実車に忠実なモデルを目指している。
現在メイクアップのミニカー設計手法は実車のスキャニングデータや、自動車メーカーから提供を受けた実車の形状データなどを元に原型データを描き上げるのがデフォルトだが、こちらのモデルは実車はもちろん自動車メーカーのオフィシャルデータも存在しないため、メイクアップのエンジニアが3Dデジタル上でスクラッチして原型を製作している。カウンタックは一見すると直線的なフォルムだが、実は緩いアール面とシャープなエッジの集合体で、その正確な把握が出来ないと、極端に言えばまるで子供が折り紙で折った自動車のようになってしまうので、設計はかなり骨の折れる作業だったようだ。
LP500はデザインスタディ兼ランニングプロトという重責を担っており、実際には種々のトラブルが頻発して、その対処が市販モデルに活かされることになったとも言われる。中でも市販モデルで随所に設えられた冷却ダクトの類はオーバーヒート対策の結果であり、それらの一切を持たないLP500の姿に巨匠マルチェロ・ガンディーニの描いたカウンタックの理想形を見出しても間違いではないはずだ。
モデルでは市販モデル以上に未来的なインテリア、特徴的なサイドウィンドウのグラフィックスや、一段掘り込まれたフロントフード、NACAダクトのないシンプルなサイドビュー、ダクトボックスを備えないシンプルなリアクウォーターのインテーク、小ぶりなフロントバンパーやシンプルな意匠のテールライト他、かつてない高解像度でLP500を捉えた決定版的ミニカーと言っていいだろう。税込み\30,800というプライスだが、実物を手にすればその値段の理由がわかるはずだ。何せメイクアップのミニカーは1台1台、ハンドメイドされたものなのだから。
【クレジット】
取材協力:メイクアップ
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商品ページ
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