クルマ、ボディパーツからオーディオの設置仕上げまで、細部までとことんこだわったガレージ【ガレージライフ】

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インパクトの強いクルマさえ、自然にまとめ上げるクールなショップスタイル

米軍横田基地のある福生をはじめ、八王子や立川など東京都の中でも西部地区は、アメリカンカルチャーが盛んなエリアとして認知されている。実際にこれまで『ガレージのある家』で取材して紹介してきた実例物件は、東京西部のものが少なくない。今回伺ったW邸もまた、同エリアに建てられたアメリカンガレージハウスだ。

「以前は賃貸マンションで暮らしていたのですが、5年ほど前に家を建てようと考えて、土地を探しました。前は現行型のダッヂ・チャレンジャーに乗っていたのですが、ガレージができたことを機に、以前からほしかった旧車へと乗り換えたのです。野天駐車では、旧車を所持してもコンディションを保つことができませんから、二の足を踏んでいたのです」
と、Wさんはガレージに収まる1970年式のシボレー・シェベルを見せてくれた。クルマをよく見てみると、ボディパーツからオーディオの設置仕上げなどの細部に至るまでカスタマイズされており、強いこだわりを持つ人物像だということが伺い取れる。

「旧車をカスタムするのは邪道だという人もいると思いますが、アメリカでは普通ですし、私はこっちの方が好きなんです」
とWさんは話す。そんなシェベルが眠るガレージは、壁にはモルタル地にアートペイントが施され、フロアにはさまざまなカーショーでも用いられるスイストラックス社のパネルタイルが敷き詰められているなど、クルマとの相性が良くまとめられている。

チャレンジャーにせよシェベルにせよ、そのもののインパクトが強いクルマだが、それが自然と溶け込んでいるのだから、バランスがとても良いということが伝わってくる。それと通常のガレージに比べてやや広めに設計されているため、窮屈感が無いのもポイントだ。

ガレージは、家の側面。写真に向かって左側が正面となっており、家の前にはクルマ4台ほどが置けるカースペースも設けられている。このガレージハウスを手掛けた「ビルズ東京」へのオーダーは「カーショップのようなスタイルのガレージ」と奥様の「ピアノが置けるホビールーム」だったという。ガレージの脇に設けられたホビールームやエントランスからもガレージ内の様子が見えるように工夫されている。

素敵なガレージはもとより、トータル的にアメリカンスタイルで纏められているW邸。2階には広々としたLDK空間が設置されているのだが、これもまたアメリカのアパートメントのような素敵な雰囲気に設えられている。

「ダイニングテーブルだけはひと目惚れしたものを置きましたが、そのほかは仕上げ方から家具類まで、ほとんどビルズ東京さんに任せました。使い勝手が良く、しかもいい雰囲気の空間にしてもらい、とても満足しています」
と話すWさん。

最近はエイジング加工を施した建築が多く見られるが、W邸ではあえてエイジング加工は行わず、艶感を持たせることで”昔の新築”をイメージしたオールド感を上手く作り上げており、経年変化によって実際に風合いを出していくのを楽しめるよう、計らわれているのだ。

「施主の趣味趣向、そしてライフスタイルを知るために、クルマのイベント等にもよく同行させていただきました」
と、ビルズ東京の細渕代表は話す。確かに住まいという生活の場を造り上げるには、そこに住む人の気持ちをしっかりと理解することが重要であることはよくわかるが、それにしてもその行動は徹底しているものだと感じる。

クルマ仲間からも評判が良く、皆が集まった際にはクルマを外のカースペースに出して、ガレージを使ってバーベキューを行うこともあるというWさん。一般的なハウスメーカーではなかなか難しいオリジナリティがあふれるアメリカンガレージハウスを満喫していることが伝わってきた。

“ショップのような雰囲気を持つ空間”というオーダーに応えて造られたガレージだけあって、とてもスタイリッシュにまとめられたW邸。エントランスホールには大きなガラス戸が設置され、家に入るとガレージが見えるようになっている。ガレージ部分のグランドが下げられており、クルマによる圧迫感もない。ガレージ内を見えるように設置されたホビールームの窓は、オリジナルのアイアンサッシを用いている。レンガ調のモルタル造詣との相性もいい。ガレージ横に設置されたホビールームには奥様のグランドピアノも置かれており、ご夫婦の趣味部屋として使われている。

photo & text:Dan KOMATSU(小松 男)

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