1972年9月に4代目へとスイッチしたスカイライン。若いカップルのケンとメリーをイメージキャラクターとしたことから、後々ケンメリいう愛称で呼ばれるようになった。そしてそのデビューから3か月後の1973年1月にGT-R(ケンメリR)が発売されたが197台を生産して販売は終了。昨今では世界的なクラシックカーブームということと、その希少性から相場は億越えとも言われている。
ケンメリRといえば、私にとってこのアオシマのパッケージにも使われている広報写真のイメージが強烈。広報写真なのに、極太の8本スポークホイールとレーシングタイヤを履いているのが当時の日産の社風を感じさせる。今回のメインカットはこの広報写真を意識して撮影した。
子供の頃の記憶が蘇る、アオシマ製のケンメリR
さて、そんなケンメリRのプラモデルといえばアオシマ製で、同社の旧車が「ザ・チューニングカー」シリーズとして1980年代前半に販売されていた。幼い私はといえば、ボディ一体成型のオーバーフェンダーの塗り分けに途方に暮れて、境界線をマッキーの極細のマジックで塗ってから、チマチマと筆塗りしたり……そんな記憶が蘇る。
しかしながら、子供心にどうしても許せなかったのがフロントマスク。グリル枠がボディ内側に入るせいで、表情がどこかしっくりこない。なので、これまたマッキーの極細でグリル枠とボディの境界線を描き、枠に見立てたボディをシルバーで塗る、なんてことをしていた。そう、私にとってアオシマのケンメリRを作ることイコール、そのフロントグリルと対峙することでもあったのだ。
しかしである。昨今の有能なアオシマ開発陣は、そこを見事に解消した新パーツを生み出した。惜しむべくは、そのパーツがノーマルのケンメリRのキットに入っておらず、リバティーウォーク(LB)のヨンメリのキットにしか入っていない点。そして、70カローラのキットを開けてみれば、これまた素晴らしいモールドのケンメリR用テッチンが入っている。これらの純アオシマパーツを組み合わせれば、いとも簡単に30余年前の私が夢見た、「完全ノーマルなケンメリR」が出来あがるワケだ。
ギャラリーではバンパー、バランスカウルの加工など、実車に近づけるべく施した加工を解説。是非ご覧いただきたい。
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アオシマの『ザ・チューニングカー』シリーズは同年代の他のメーカーの同類キットに比較しても、とりわけ実車志向が強く、モーターライズながらもシャシーやインテリアのリアリティは群を抜いている。
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実車に近い雰囲気を再現できる、新金型のケンメリRグリルはLBヨンメリのキットに入っている。アオシマさん、お願いですからこのグリルを普通のケンメリRのキットに入れてください(笑)
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指定通りにバンパーを装着するとこの平面的な表情。作例では、バンパー上部を前面に倒すように接着している。オーバーフェンダーのマスキングはサークルカッターでテープを切りぬいたもので簡単にできる。
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「アオシマのケンメリRは……」などと言っていた御仁は、これを機にその見解をあらためていただきたい(笑)。ちなみにアゴ部分とリアバンパー下のパネルは下方に向かって削りこんでシャープさを強調した。
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ニコイチで作る究極のケンメリR、ホイールは70カローラのキットのものだ。