ツヤツヤのプラモに飽きたらこんなのもイイかも!タミヤ製「ポルシェ959」で空力実験車両を再現【モデルカーズ】

2022/05/20 12:00

”オッティファント”ことC29

このポルシェ959は1/24スケール・プラモデルの作例だが、ポルシェ959の廃車体でもモデリングしたのか、それとも仕掛り品が掲載されているのだろうか……そんな疑念を持った方もおられるかもしれない。これは、ポルシェ959の開発過程で作られた、空力実験用スタディモデルを再現したものである。その車両が造られたのは959の市販から遡ること4年、1982年のことだが、しっかりと現存しており、ポルシェ・ミュージアムに「ポルシェ959 エアロダイナミクススタディーカー C29」として展示されている。

彼の地では、その独特な姿から“オッティファント”の綽名で知られているようだ。オッティファントとは、ドイツのコメディアンであるオットー・ヴァルケスが考案したキャラクターの名前である。象のような見た目のこのキャラは、アニメやゲームに登場しており、シュタイフのぬいぐるみにもなっているので、あるいはご存じの方もいるかもしれない。このC29だが、実際に風洞実験に供されていたときの写真を見ると、現在の展示の状態とは細部が色々と異なっているものの、基本的には当時のままである。

ポルシェ959は1983年のフランクフルトショーで「グルッペB」の名で発表され、1985年に市販へと移されたが、この発表時のネーミングが示す通り、当時のグループBでの活躍を想定して開発されたモデルだった。搭載されるエンジンは、956や962のそれをベースとした水平対向6気筒DOHC、2.85L。シリンダーヘッドのみ水冷化され、ツインターボを装着することで最高出力は450psを発揮する。このハイパワーはフルタイム4WDシステムによって4輪へ伝達され、最高時速は317km/hに達した。

この4WDシステムはコンピューターによって制御され、運転状況によってトルク配分を40:60から20:80まで自動的に調節する。またサスペンションも車高やダンパーの利き具合をモード選択によって調整可能とするなど、959は当時の最新技術のショールーム状態であった。それと併せて、最高速300kmオーバーを成し遂げた要因のひとつが、空力的に磨き上げられたボディと言ってよいだろう。一見したところ911に似てはいるが、共用しているボディパネルは皆無だという。

前述の通りこのC29が造られたのは1982年のことで、徹底的な風洞実験によりCd値(空気抵抗係数)0.3を実現。さらに揚力を0に抑えることに成功したという。そのボディ形状は959にほぼそのまま踏襲されたのだが、C29は赤いボディカラーの部分と素材がむき出しになった部分とが混じり合い、また寸法計測用の基準線や数値、イタズラ描きなどが書き込まれ、一種異様なルックスである。959のボディ素材はアルミのほかポリウレタンやケブラー、FRPが使用されているので、C29の無塗装の部分もそうした材質であろうか。

ポルシェ959のプラモデルは1/24スケールに限定するとタミヤやグンゼ(現GSIクレオス)、エッシーなどがあるが、この作品はタミヤのキットをベースに、市販型との違いを逐一再現していったものである。

素材の質感や汚し、書き込みがポイント!
タミヤの959はフロントフード前端位置に違和感があるので2mm前方に彫り直した。そしてダクトの形状変更や埋め戻しなどを行う。ヘッドライトは丁度の大きさにプラ板を切り抜き、落とし込んで接着。リア下部はプラ板でスリット等を加工、エッジを立て気味にして粗削り感を演出。フードグリルも911流用なのでパーツを切り詰め、ボディ側開口部はプラ板で狭める。リアデッキのリベット痕にはドリルを使用、曲率の合うテンプレートを固定して作業した。フード周辺は等ピッチにケガいた後、ニードルで彫り込む。穴の外周が微妙に盛り上がり表情が出る。リアパネルのリベットも同様だ。

フジミ製964のボディからプラ板で型を取ってサンルーフのラインを彫った後、全体にグレーサフを塗って様子を確認し、赤部分の下地にピンクを塗装。ハーマンレッドを塗装し、クリアーコートと研ぎ出しを済ませてからマスキング、黒サフで下地塗装。セールカラーをベースに調色したアイボリーを、下地の黒を若干透かせながら塗る。さらにマスクして、リアウィングのグレーを塗装。リアフェンダーのFRP部分を表現するため、まずきれいな面を「おゆまる」で型取りしておき、当該部分を切り抜いた。

取った型をハメて裏から透明UVレジンを流せば、透明樹脂がインサート成形された状態に。樹脂部分はウェザリングマスターで彩色。大雑把に擦り付け、エナメル溶剤等で消しつつ試行錯誤。マスキングの上に赤いカッティングシートを貼り、イメージを掴む足掛かりとした。サイドステップは赤の上にアイボリーをドライブラシで重ね、乾燥後2000番ペーパーで馴染ませる。FRP部分にはエナメルのクリアーイエローやクリアーグリーンを薄めて塗り重ね、クリアーブラックで整えた。パテ盛り部分はエナメルカラーにベビーパウダーを混ぜたもので表現。ボディ各部の書き込みを、耐水性極細ペンで描き込み。

書き込みにはコピックの0.03mmを中心に使用、終ったら保護のためにトップコートを一度軽く吹いた。左フロントフェンダーのイラストはフリーハンドでは難しいので、デカールを自作して貼っている。各所の黒やグレーのテープは、黒いベタデカールの切り出しで再現。長さや重なり方もできる限り実車通りに。最後に再びトップコートを吹いたらマスキングを剥がし、アイボリー部を3000番スポンジヤスリやメラミンスポンジで軽く擦って、樹脂本来のテカり感を表現。赤い部分は傷防止のため再度マスキングした。トップコートでつやが消えたのでFRP部にはエナメルクリアーをハケ塗り。透明度にご注目を。

展示用に暫定的に取り付けられたと思しきBBSホイールとタイヤは、それぞれ別キットから流用加工。スタッドボルトの孔を、ポルシェ特有の大径PCD 130mmを意識して、大きめピッチで開けると雰囲気が伝わる。最後に作者のひとこと、「ミリタリー系の作品では色々な塗料やコーティング剤を駆使した数多くの技法が存在し、その多彩な表現に羨ましさも感じていた。下地処理して塗装・クリアーコートし研ぎ出し……カーモデルのこんなワンパターンに飽きていた所もあり、今回は少しだけ新しい世界を垣間見ることが出来て、とても楽しく制作作業が進められた」とのことだ。

作例制作=飯塚健一/フォト=服部佳洋 modelcars vol.287より再構成のうえ転載

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