生き残ったセグメント唯一のコンパクトFRクーペ! 新型BMW2シリーズクーペを国内試乗

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待望の新型2シリーズクーペが日本に上陸した。現行1シリーズ同様FFレイアウトを採用するのでは? という懸念は払拭され、コンパクトクラスで唯一のFR駆動を踏襲。とはいえ、ひと回り大きく成長した新型は、いったいどんな走りを見せるのか?

セグメント唯一の後輪駆動を貫く

先代2シリーズクーペのスポーティな走りにさらに磨きをかけ、軽量化を実現。サスペンション取り付け部やアンダーフレームを強化すると共に、高剛性ボディを採用。ロール剛性の強化、きれのあるスポーティなハンドリングに加え、衝突時の安全性能も向上させている。

2007年に登場した1シリーズクーペは、ハッチバックをベースとしたそのコンパクトな体躯が古の2002シリーズの再来を思わせるところもあり、マニアックな支持を得るモデルとなった。

その後、1シリーズのフルモデルチェンジを機に、2013年に登場した後継車種は2シリーズクーペとして独立、現在に至っている。その間、このモデルをベースとしたM2も登場するなど、2シリーズクーペはBMWのスポーティネスを象徴するモデルへと成長した。

一方で懸念されていたのが、ベースとなってきた1シリーズのFF化に伴う、コンパクトFRクーペというコンセプトの去就だ。が、2シリーズクーペはCLARプラットフォームを基にまったく新しいディメンジョンが与えられ、G42型としてその歴史が継承された。

これまでの2シリーズ同様のコクピット回りだが、「OK,BMW」と話し掛けることで、車両の操作、目的地の設定等が可能。

その3サイズを確認すると、先代F22型に対して105mm長く50mm広く、15mm低い。さすがにコンパクトと標榜するには図々しいかなと思うところもあるが、それでも兄貴分たるG22型4シリーズに比べると230mm短いわけで、充分差別化された小ささということは出来るだろう。ちなみにホイールベースは先代より50mm長い2740mmとなっている。

新しい2シリーズの日本仕様のバリエーションは220i、220iMスポーツ、M240i xDriveの3つが用意される。

うち、220iに搭載されるのはB48型2L直4直噴ターボで最高出力は184ps、最大トルクは300Nm。その発生回転域も含めて320iと同じだ。ミッションは8速ATが組み合わせられ、0→100km/h加速は7.7秒となる。

写真はM240iで、シートはM専用のスポーツタイプを採用。ホイールベースの延長により後席の空間が広がった。ドアトリムにMの意匠を用いたのがトピック。

一方、M240iはB58型3L直6直噴ターボで最高出力は387ps、最大トルクは500Nmを発揮。4.3秒と強烈な0→100km/h加速を支えるのは車名にも添えられている通りxDriveすなわち四駆ということになる。センターデフの多板クラッチを電子制御することによって0:100〜50:50の駆動配分をリニアにコントロールする、その仕組みは3シリーズを始めとする他の縦置き系トランスファーと同様だ。

2シリーズクーペはその全量をメキシコのサン・ルイス・ポトシ工場で生産する。2019年に稼働を開始したBMWにとって最新鋭のプラントでは既に3シリーズも生産されているが、ゼロスタートからの銘柄はこのモデルが初めてだ。

ラゲッジスペースは、スルーローディングシステムとなる40:20:40分割可倒式リヤシートを採用するため、ちょっとした長尺モノも搭載可能。

そのクオリティは果たしていかなるものかと思いながら内外装をチェックしてみたが、勝手にイメージするアラのようなものは見当たらなかった。ドアやボンネットといった蓋物の建て付けもしっかりしているし、パネルや部品類のチリ合いも内外装ともにだらしなさは感じない。強いていえばダッシュボードアッパー部の風合いがちょっぴりカサついているかなとは思ったが、メタリックやピアノブラックなどその他の樹脂部品のフィニッシュはしっかりしている。

内装の意匠や操作環境は4シリーズのそれに準拠しており、拡幅ぶん相応に居住性も左右にゆったりしたものになった。後席は主に頭上空間の狭さで成人男子には向かないものの、足元空間は181cmの筆者が座ってみても差し障りはない。女性や子供であれば十分実用に足る空間だと思う。

直4+FRにするか、直6+4WDも魅力的

ワイドで逞しさ溢れるボディや筋肉質なアスリートを彷彿とさせるスタイリングが魅力の新型2シリーズクーぺ。M240iでは、さらにセリウムグレーのサイドミラーやリアスポイラーを装備することで、空力特性の向上に加え、より精悍なスタイリングを纏う。

まず試乗したのは220i Mスポーツの方だが、その走り出しから伝わってくるのは軽やかな身のこなしだ。重量的には1.5トンを少し超える辺りと同級のエンジンを積む320iにほぼ肩を並べているが、全長の短さからくる心理的な開放感や概ね50:50の重量配分の良さ、300Nmのトルクも手伝ってだろう、スラスラと思い通りに速度を上げてくれる。

220iクーペには184ps/300Nmを発揮する2L直4ターボエンジンを搭載、8速ATと組み合わせて後輪を駆動する。

前型からは4割近く高められているという触れ込みのボディ剛性はそのままドライブフィールに転化されている。モノコックのソリッド感は相当なもので、コラムやフロアなどから伝わるフィードバックに濁りらしきものはまるで感じない。が、逃げのない車体にMスポーツのサス設定は相性があまりいいとはいえず、常用域では細かな突き上げなどは丸められるものの、凹凸に逐一車体が揺すられる癖がある。断じることは出来ないが、過不足ないパワーとのバランス面からみても、標準グレードのタイヤ&サスセットの方がクルマの性格には見合うかもしれない。

M240iには387ps/500Nmを発揮する3L直6ターボエンジンに8速ATを組み合わせ、路面に最適なトルクを伝える4輪駆動システムのxDriveを採用する。

その220iからさらに床下やリアサス回りに補強が加えられるというM240iは、220i Mスポーツよりもさらにひと回り大径なタイヤを綺麗に履きこなしていた。時折りバネ系の硬さが感じられる場面もなくはないが負荷の大小に関わらず脚の追従がよく、上屋のフラット感もしっかり出ている。この辺りは電子制御可変ダンパーの助けも大きいのだろう。

四駆化もあって車重は1.7トンに及ぶこともあり、身のこなしにさすがに220i Mスポーツのような軽快さは感じられないが、アジリティとスタビリティの見事なバランス感がそのぶんを補ってM240iの個性となっている。それは無論四駆の効能だが、アクセルをいかように踏んでもしっかりと後輪側の存在感が押し出されてくるので退屈さは感じない。ロールも量は適切に抑えながら無理な規制感はなく、その動きは負荷に応じてリニアに推移している。コンパクトなクーペに相応しいドライビングプレジャーを安全に引き出せる巧いキャラクター設定だ。

スタンダードの220iクーペは17インチ、Mスポーツは18インチが標準装備。

M240iには19インチホイールが標準装備される。

B58型直6ユニットの力感や情感の豊かさについては、もはや言葉を並べる必要もないだろう。これほど気持ち良いエンジンが今もある程度高価とはいえ、普通に買えることには感謝するばかりだ。

とはいえ、M240iの価格は758万円だ。FRだった先代のM240iが727万円、そして同等のメカニズムを持つM440iが1000万円超であることを知れば適価にみえてくる。全てを1台で完結したいという身軽な趣味人にとっても、走りの濃さと実用性の高さが高次元で両立された魅力的な選択肢ではないだろうか。

【Specification】220iクーペMスポーツ
■全長×全幅×全高=4560×1825×1405mm
■ホイールベース=2740mm
■トレッド(F:R)=1585/1570mm
■車両重量=1530㎏
■エンジン形式/種類=B48B20A/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1998cc
■最高出力=184ps(135kW)/5000rpm
■最大トルク=300Nm(30.6㎏-m)/1350-4000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット/コイル:マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F&R)=Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/45R18: 255/40R18
■車両本体価格(税込)=5,500,000円

【Specification】M240i xDriveクーペ
■全長×全幅×全高=4560×1825×1405mm
■ホイールベース=2740mm
■トレッド(F:R)=1580/1570mm
■車両重量=1710㎏
■エンジン形式/種類=B58B30B/直6DOHC24V+ターボ
■総排気量=1992cc
■最高出力=387ps(285kW)/5800rpm
■最大トルク=500Nm(51.0㎏-m)/1800-5000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット/コイル:マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F&R)=Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/40R19: 255/35R19
■車両本体価格(税込)=7,580,000円

BMW2シリーズクーペ公式サイト

フォト:郡 大二郎/D.Kori ルボラン2022年5月号より転載

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2022/04/09 15:00

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