原稿を書いている矢先にまさかの悲報
信じられなかった。今、今年6月に発売されるメイクアップの1/43スケール、「ホンダ NSX GT2 “チーム国光” 十勝24時間 1994 No.100 2位」仕様の原稿を書きがてら、レーシングドライバー、クニさんこと、高橋国光氏の輝かしいレースキャリアを今一度確認しようと、ググった矢先、氏の訃報を知った。メイクアップでは昨年から、あの偉大なる1995年のル・マン24時間のクラス優勝車を筆頭に、初代NSX GT2のミニカーを4種類発表している。すでにリリーズ済みのものが2種、これから発売されるものが2種となる。
ほとんど間違い探しレベルだがしっかり作り分ける意味
その作り分けは鬼気迫るものがあり、単にボディカラーやスポンサーロゴなどを模しただけでなく、例えば1995年ル・マン仕様と1995年鈴鹿1000km仕様ではフォグランプの有無によって若干の違いがあるのだが、そのためにわざわざ原型と生産用の複製型を作り直すという手間を惜しまない。
マニアでなければ“言われなければわからない違い”だが、“何も言われないように作る”という信念が貫かれているようである。内装など細部もご覧のレベルで4種を作り分けているのだ。ちなみこれ、わずか全長10cmのミニカーのディテールだということを忘れないでいただきたい。価格は¥30,800~31,350(税込)と正直値段は張るが物を見れば納得できるはず。
高橋国光氏がステアリングを握ったレーシングマシーンは、古くは1960年代の日産ワークスのR380から、「スカイライン伝説」とも称されたツーリングカーレースで50勝を成し遂げたハコスカGT-R、グループAの三菱スタリオン、そしてグループCのポルシェ956や962、さらにはあまりの強さでグループAを終焉に向かわせたBNR32型スカイラインGT-R、そして現役最後となった1999年GT選手権 GT500クラスのレイブリックNSXと、ミニカーやプラモデルのモチーフとして常に高い人気を誇ってきた。
読者諸兄の中にも、ミニカーで初めて「TAKAHASHI KUNIMITSU」のドライバー名を目にした方は少なくないはずだ。かくいう自分はホワイトのボディに青のストライプが入ったゼッケン15番のハコスカGT-Rレーシングのプラモデルがそれだ。そしてあのアグレッシブな走りにもかかわらず、ひとたびヘルメットを脱げば柔和な語り口、というギャップが子供心にも随分と印象的だった。
末筆となるが、高橋国光氏のご冥福をお祈りしたい。
そしてたくさんの感動をありがとうございました。
取材協力=メイクアップ https://www.makeupcoltd.co.jp/
商品ページ https://www.makeupcoltd.co.jp/products/list?category_id=&name=NSX+GT2