タテ目顔とグラマラス・ボディの迫力をプラモで味わう!AMT製「1965年型ポンティアック・グランプリ」【モデルカーズ】

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フルサイズ・ポンティアックの序列からちょっと外れたパーソナルカー

スポーティなイメージでアピールしていた1960年代のポンティアック。フェラーリのホモロゲ・モデルにあやかったネーミングのGTOがその代表例と言えるが、フルサイズに属するボンネビルやグランプリも、モータースポーツにちなんだネーミングの例であろう。グランプリは21世紀まで続く伝統の車名となったが、その登場は1962年型でのこと。それまでパフォーマンス志向のモデルとしてラインナップされていたベンチューラが、カタリナの豪華版へとその位置づけを変更したことを受け、その代替モデルとして送り出されたのである。

初期2年のグランプリは、レース用エンジンの421スーパーデューティ搭載が可能なモデルだった。グランプリ登場2年目、1963年型のフルサイズ・ポンティアックは初めてスタックド・ライト(タテ目)を採用し、このイメージが1960年代のポンティアックを方向づけたのだが、グランプリにはこの年から専用ルーフラインが与えられ、他モデルとは外観上でも一線を画することとなる。ボンネビルやカタリナが前年型同様の幌屋根風イメージのルーフ形状であったのに対し、グランプリはシャープで直線的なラインのルーフ/サイドウィンドウと、コンケイブド形状(逆反り式)のリアウィンドウを特徴としたのだ。

1965年型では、ポンティアックのフルサイズは下からカタリナ、スターチーフ、ボンネビルというラインナップで、グランプリはカタリナをベースとし、この序列からはちょっと外れたポジショニングの、パーソナル/ラグジュアリー・カーという性格づけがなされていた。ホイールベースはスターチーフとボンネビルが124インチ(3150mm)であったのに対し、カタリナは121インチ(3073mm)と短くされていたが、グランプリはカタリナがベースのため、同じく121インチである。ボディ形式はそれまで同様2ドア・ハードトップのみ。

この年のフルサイズ・ポンティアックはボディデザインが大幅に変更されており、そのルックスはコークボトルラインを基調としたグラマラスなものとなった。グランプリには依然として専用のキャビン形状が与えられていたが、その形状は従来より曲線的で優美なものとなっている。エンジンは389-cid(6.4L)が標準(ボンネビルと共通)で、3速AT(ターボ・ハイドラマチック)との組み合わせでは325hp、MT仕様では333hp。さらにトライパワー仕様(3連キャブレター、338hp)もあり、421-cid(6.9L/338、356、376hpの各種あり)も搭載可能であったが、これは他のフルサイズも同様である。

新車当時ならではのキレの良いプロポーションが楽しめるキット
ここでお見せしているのは、この1965年型グランプリを1/25スケールで再現したAMTのプラモデルである。キットは1960年代当時から存在し再販が繰り返されているもので、使用したのは2004年バージョン(No.38175)。ストックに作れるほかカスタムパーツも多数セットされており、ボディ前後は“マイルドカスタム”と“フルカスタム”の2種類、ホイールもクレーガーとスポークタイプの2つ。面白いのは、自転車の車輪のようなロードテスト装置と、その計測器のパーツが付いていることだ。パイロンやクリップボードまで付属する。

ボディは実車のスタイリッシュな形状をよく表現しているが、後輪ホイールアーチの形状が左右で異なっていたり、右側ドア下のラインがうねっていたりして、若干修正を要する。作例はカタログを参考にバイナルトップ仕様としてみた。シーム(継ぎ目)は0.25×1.0のプラ棒。実車のカタログや広告のイラストを参考に、バイナルトップはつや消し黒、ボディカラーは「MONTERO RED」のコンビネーションを選んだ。レッドはMr.カラーGX3ハーマンレッドにGX2ウイノーブラックを混ぜて塗装。

リアガーニッシュにはトランクのオープニングラインが入るべきなのだが、メッキパーツのためその追加は見送った。フロントウィンドウは三角窓の部分にかなり隙間が空くので、作例では三角窓を削り取り透明プラ板に置き換え。インテリアはバスタブ式で少々立体感に欠けるが、古いキットゆえ仕方ないだろう。フロントシートはセンターコンソールと一体成型だが、作例では分離し各々をプラ板で修正した。ダッシュボードは1mmほどかさ上げしている。ヘッドライナー(天井)はC69グランプリホワイトとC1白を混ぜてつやを消した色で塗装。ワイパー、ドアハンドルはジャンクパーツに置き換え、ルームミラー、サイドミラーはキットに付属しないので、これもジャンクを流用。

エンジンは389トライパワー仕様が再現されている。前輪シャフトが貫通する構成なのでブロックに孔が開いているが、作例ではこれを塞ぎ、ホイールは短いシャフトで取り付けた。全体的に補器類の出来は貧弱で、作例ではデスビのみ交換したが、ラジエターやオルタネーターも交換したいところ。ファイアウォールはシャシーとの合いが悪いのでプラ板で作り直し、マスターシリンダーをジャンクパーツから追加。シャシーは一枚ものだがリアオーバーハングが若干短いので、気になるならプラ板で延長するとよい。車高は若干低めでトレッドも狭いので、いずれも要修正。タイヤはレベル製1965年型インパラのものに交換、ホワイトリボンはOA用タックシールをサークルカッターで切り抜いて貼り込んでいる。

作例制作=周東光広/フォト=服部佳洋 modelcars vol.294より再構成のうえ転載

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