マイナーチェンジは大成功、豊穣ボディの後期型
日産が誇るスポーツカー、フェアレディZの3代目・Z31型は1983年に登場した。3L V6エンジンをラインナップの中心に据えて欧州のライバルにヒケを取らない動力・運動性能を追求しつつ、主要輸出先である北米市場に照準を合わせたダイナミックなスタイリングを纏い、本格的なハイパフォーマンスカーへ昇格。さらに1986年のマイナーチェンジで現れた後期型は、NDI(日産デザインインターナショナル)のデザインによる「エアロ・グラマラス・フォルム」で外観が大幅に変更され、V6 DOHCエンジンを搭載した300ZRを筆頭に、「ソウル・シンクロ・マシーン」のキャッチフレーズを掲げてスポーツ・イメージが強調された。
ホイールベースを延長してリアシートのスペースを確保したファミリー向け仕様の2by2は、初代Zの後期型で追加され好評を得て、以後Z32型まで3代に渡って設定された。Z31型2by2は2シーターよりもホイールベースが200mm長く、ルーフも延長されリアハッチの角度も起こされるなど、キャビン後半部の造形はまったく別物だが、巧妙なデザインによって違和感の無いスタイリングに仕上げられている。なお、国内仕様2by2は300ZX/300ZRともにTバールーフが標準装備で、ハードルーフはフェンダーのプレスが異なる200ZR系にしか存在しない。
フジミ製Z31をボディもシャシーも内装も延長!
さて、ここでお目にかけているのは、Z31型フェアレディZの300ZR 2by2を、フジミ製プラモデルを改造して制作した作例である。フジミのZ31は後期型300ZR 2シーターを再現したもので、メーカー過渡期の製品ゆえモーターライズ用の板シャシーだが、ボディのプロポーションは非常に良く、インテリアも精密に再現されている。2by2への改造では、実車延長分の200mmを1/24スケール換算すると約8.3mmとなる。エッチングのこを使ってドアミラー直下でボディを切断してプラ板で裏打ちし、のこの切りシロを加えて継ぎ目を8.5mm離して再接着、瞬間接着パテで延長部分を造形した。
また、Tバールーフの途中とB/Cピラー根元を切断してキャビン後半部をボディから切り離し、Tバーの途中で約4mm延長。Tバー中央部は下面に0.5mmプラ板を貼って補強し、表側はMr.SSPパテで造形した。ルーフ後端は0.5mmプラ板とパテを併用して約13mm延長、リアゲート部を切り詰めて角度を起して再接着し、継ぎ目周辺はすべてパテで形状を整えた。リアクォーターウィンドウの窓枠はまず、枠の輪郭に合わせて切り出した0.3mmプラ板をベタッと接着、内側からスジ彫り用のタガネで開口部の輪郭を彫り込み、切り開けた。ドア後端からホイールアーチまでの長さも2シーターより長いので、ドア後端のパネルラインは埋めて、新たに彫り直している。
インテリアはラゲッジスペースを一旦切り離してボディと同じだけ延長し、リアシートはタミヤのS13シルビアのバスタブから切り取ったものを取付けた。クッション形状が良く似ているので、横幅とバックレストの角度を調整するだけで流用可能だ。フロントシートは座面が低いので2mmプラ角棒でカサ上げしている。
引き締まったプロポーションでスパルタンな雰囲気を醸し出す2シーターとは対照的に、キャビンを長くとってシューティングブレーク風に変身した2by2、当時は軟弱に堕した感があって好きになれなかったが、今はふた回りして魅力的に思える。外観の基本的な造形をそのまま生かせるので、初歩の改造モデリングにうってつけではないだろうか。