ランエボらしいルックスを確立したエボⅢ
今では国外専用モデルとなってしまった三菱ランサーだが、そのモータースポーツにおける活躍などから、スポーティなイメージとともに記憶している方も多いだろう。そんなランサーの中でも、特にラリーでの活躍を強く想起させ、幅広い世代に人気を博してきたのが、ホモロゲモデルであるランサー・エボリューションだ。1973年に登場した初代モデルから、ラリー車両のベースグレードとしてはGSRがあり、このネーミングはあの名車ランサーEXターボにも受け継がれ、その後もランサーのトップモデルとして継承されてきた。
4代目ランサー(’91年デビュー)にも1800GSRが存在していたのだが、これをベースとして、WRCの出場資格を取得するため1992年にリリースされたモデルが、最初のランサー・エボリューションである。前述の通り1800GSRをベースとしつつ、その上のクラスのギャランから、VR-4用のエンジンとドライブトレインを移植した、というのがその成り立ちだ。このエンジンは2L直4ツインカムターボの4G63型で最高出力は250PSを発揮、フルタイム4WDの駆動系と組み合わされ、小型のボディと相まって破天荒な走行性能を実現したのである。4代目ランサーをベースとした第1世代のランエボは、毎年のWRCレギュレーションに合わせてⅡ、Ⅲと進化を遂げ、中でもⅢでは大型のリアウィングと開口部の大きなフロントバンパーという派手な外観をまとうようになり、以後これがランエボのトレードマークともなっていった。エボⅢでのエンジン最高出力は270PSにアップしている。
車軸位置の調整からドアサッシの修正まで
さて、ご覧頂いている作例はハセガワ製1/24スケール・プラモデルのエボⅢを制作したものだ。同車のキットにはフジミ製もあるが、やはりボディ形状などの点でハセガワに軍配が上がるだろう。とはいえ、そのままでは些かラフな仕上がりになりかねない部分もあるので、以下、制作のポイントを挙げてみたい。キットが手元にある方の参考になれば幸いだ。まずシャシーがハメづらいので、ボディ側(フロントスポイラー裏)の当たる部分を削るとよい。リアサスをそのまま組むとトーイン気味なので、サスアームにプラ板を貼って調整。そうすると今度はネガキャンが強く見えてきたので、サスの取り付け孔を内側寄りにして強くひっぱるようにする。きちんとセットすると、前後とも車軸が後ろ寄りだ。シャシーごと前にずらすことにして、後端には0.3mmプラ板を2枚貼り、前端は削り落として調節。
前輪の車軸はかなり後ろ寄りである。ハセガワのキットは最初はエボⅠだったのを改修したものなので、エボⅠにはこれで正しい。エボⅡでホイールベースが延長されたのだ。無論エボⅢとしては修正が必要なので、サスアームをプラ板で厚み増しした上で前寄りに孔を開け直した。タイロッドの取り付けに遊びが多いのでプラ板を貼って調整。これで前輪の車軸位置も丁度良くなった。シャシーを前にずらしたので、インテリアのバスタブは逆に取り付けを後ろにずらして、ボディとの関係を元に戻しておく。写真は取り付けダボをプラ棒で新設したところだが、位置を間違えているのでそのまま真似してはいけない。注意。
ドアサッシは全体に太いので、ナイフで削って2/3くらいの幅にするとよい。センターサッシ(後ろドア三角窓の支柱)は前側はそのままにし、三角窓を拡げる形で修正。後ろドア窓の形には違和感があったので、そのままサッシ全体を細くせず、先に開口部のみ自然に整えた。この形に合わせて筋彫りをやり直す。まずテープで養生しつつカドの凹モールドを瞬着と硬化剤で埋める。開口部にマスキングテープを貼り、フチに沿って切り取ることで窓の形を転写。これをボディに貼ってガイドにし、ドアラインのスジボリをする。まずナイフでなぞりエングレーバーで彫り込んだ。ヘッドライトはウィンカーのオレンジが透けて見えないよう、ボディ側にプラ板で仕切りを付けた。クリアパーツは切り分けて取り付け、先にウィンカーを接着した状態で、ライト内側にウィンカー断面まで含めてミラーフィニッシュを貼る。カバーできない部分はメッキ調マーカーを筆塗り。
ホイールはそのままだとタイヤからリムがすこしはみ出すので、幅を詰めて密着させた。エンジンフード上のアウトレットやグリルなどは開口し、アオシマ製ファイナルエディションのメッシュを取り付けている。リアのワイパー脇には「4WD」ロゴのデカールが付くのだが、使用したキットが初版のためデカールが劣化で貼りづらく破損してしまい、やむなく省略している。