車中泊をイメージして電飾を仕込む!
1950年、ビートルことタイプ1をベースに貨客兼用のワンボックス車として登場したタイプ2。T1と呼ばれる第一世代のモデルは17年間の長きに渡り製造され、世界各国で歓迎をもって受け入れられた。1967年には、基本構成はそのままに、安全面や環境面で特に北米市場を意識した第二世代、所謂T2へとモデルチェンジし、さらなる人気を確実なものとしている。そして1979年には2度目のモデルチェンジで第三世代、T3がデビューを果たした。
リアエンジン、リアドライブ、空冷フラット4エンジン(シリンダーヘッドのみ水冷化されている。1983年までの初期型)など、T2との共通点は多いが、シャシーやボディ等が完全に変更されたフルモデルチェンジである。それまでの愛らしく丸っこい形とは訣別し、直線基調の質実剛健でモダンなデザインとなり、サイズもひと回り大きくなったが、その分居住性も増した。そんなT3のキャンパーバージョン(’50年代からVWのキャンパーを数多く手掛け協力関係にあった独ウエストファリア社が架装)が、「Westfalia JOKER」である。「JOKER」は、全高以外はベース車と変わらないコンパクトさと、充実した室内装備により、一台で長距離のロードトリップから日常使いまでこなせるとして、国内外で大人気となり、最終的には7万台を超えるセールスを記録した。
ドイツレベル製キットを北米仕様でフィニッシュ
作例に使用したキットは、ドイツレベルから2010年に再販されたもの。初版は1980年頃と思われる。様々なパッケージで販売されていたようだが、リアハッチに「VANAGON」のエンブレムがモールドされ、リアサイドマーカーも再現されてるところを見ると、当初より北米仕様がモチーフとなっていたと思われる。再販版のインストでは「VANAGON」のエンブレムやサイドマーカーは削り、代わりにデカールで「CAMPING」を貼るよう指示があり、ライセンスプレートもヨーロッパ各国のものが用意されるが、作例はモールドを活かして北米仕様として仕上げた。
前述の通り、キットの設計年次はそこそこ古いので、バリやヒケはそれなりにある。またこのキットには押し出しピンの跡が盛大に残っており、これらは丁寧に処理しておく必要がある。パーツ同士の接着面に残っていたりするので、仮組みは必須だ。パーツの処理さえしっかりと行えば、そこは流石のレベル製、パーツ数の多さの割には組みやすく、ストレスも少ない。また樹脂が少し柔らかめなこともあり、箱の中で変形していたとしても、接着・固定していけば正しいカタチを成していく。クリアーパーツのフィッティングも上々で、隙間なくピタッと収まる様は気持ち良い。
ちょっとしたアレンジを盛り込んで制作!
制作自体はキットのストレート組みを基本とし、手軽に出来るディテールアップを施した。前述の押しピン跡は例えば画像に赤い矢印で示した箇所にあるので、丁寧に削って処理。組み立て精度に関わるものもあるので念入りに。完成後も室内がよく見えるため、カーペット類やシートベルトのキャッチ等を追加した。ネットで検索して参考にした車両はシートを張り替えており、それがクルマのキャラクターにマッチしていてとても良い雰囲気だったので、自作デカールで再現。また、夜間の車中泊をイメージし、LEDで室内灯を再現。100円ショップで手軽に入手できるLEDを分解、加工して組み込んだ。半田ごてや細いリード線などがあれば、簡単な加工で充分楽しめるので、おすすめである。