マツダ・グランドファミリアは1971年、大衆車ファミリアの上級版という位置づけでデビューしたが、このグランドファミリアにはもうひとつ、同時に登場した姉妹車・サバンナのベース車両という意味合いもあった。サバンナがマツダ第5のロータリーエンジン搭載車として発売されたのに対し、グランドファミリアの搭載エンジンはレシプロの4気筒(当初は1.3Lのみ)である。ボディ形式は4ドア・セダンと2ドア・クーペ、そしてライトバン(グランドファミリアのみ)があり、翌年には、このバンのボディにロータリーを載せたサバンナ・スポーツワゴンが追加されている。サバンナとグランドファミリアの違いは外観では前後デザインが主要な部分で、特にフロントはグランドファミリアの方が彫りが浅く、その分全長も短い。
ちなみに、当時のマツダは「ロータリゼーション」に邁進しており、その勢いを表す存在のひとつが、このサバンナ・スポーツワゴンと言えるだろう。10A型ロータリーエンジンはこのワゴンに最高速170km/hというパフォーマンスを齎したというから、当時の国産車の性能を考えると物凄い。本格的なステーションワゴン人気は、後のバブル全盛期にスバルのレガシィが立役者となって盛り上がることとなるが、スポーティな走行性を売りにしたワゴンとして、サバンナ・ロータリーワゴンはその先駆けと言える存在であった。そんなイカしたワゴンの陰に隠れて、一層地味な役割に甘んじたのが、グランドファミリアのバンと言えるだろう。当時のカタログや広告では、「グラバン」なる愛称を与えてその浸透に懸命な様子が見て取れるのだが、今となってはその車名すら人々の記憶には残っていないところが哀しい。
クーペからライトバンへ、華麗なる改造!
ここでお見せしている模型は、フジミのサバンナをベースに、グランドファミリア・バンLXへと改造したものである。
改造にあたっては、歪みを避けるため不要部分の切り離しを段階的に行うなど、注意が必要となる。クーペをバン/ワゴン化、あるいはセダン化する場合、車種によってはルーフ高・Aピラー傾斜角度の変更が必要だが、グランドファミリア/サバンナではワゴン/バンとクーペとの間でピラー傾斜角に明確な差異がなく、ルーフ高低差もスケール換算2mm程度なので、キャビン前半は芯としてそのまま利用した。車体底面に補強を入れつつ、キャビン後半部分の骨組みをプラ板で作り、パテを盛って造形していく。
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実車カタログから図面を拡大コピーし、ここからサイドの窓枠の天地寸法を割り出す。スケールを合わせた実車写真(真横)を用意し、実際の天地寸法に合うようすこし下に伸ばしつつプラ材でサッシやピラー、レインモールを作り、ボディにはめ込む。ドアの筋彫りにも実車写真を活用した。
グランドファミリアならではの平たい顔に変更!
改造は多岐に亘り、全てをご紹介しているとキリがないので、フロントマスクの自作のみ軽くお見せしておこう。これもスケールを合わせた実車写真を用意、フロントグリルはプラ材から自作。ノーズコーン自体はサバンナのものを利用するが、グランドファミリアの方が顔が平たいので、中央部分を切り抜いて作り直している。ライトベゼルはプラ材で組んだものから削り出した。
基本的には同じボディなので、今回の改造をサバンナ顔のままに行えばロータリーワゴンとなる。一方、ボディをそのままにしてフロントを作り替えれば(そしてテールランプの自作も行えば)グランドファミリアのクーペを作ることが可能だ。