高い完成度も大いに魅力的
SUV人気が続く昨今で、とりわけ注目を集めているのがコンパクトSUVだ。そんな中キャデラックは2021年1月にXT4を発表、こちらはエスカレード、XT6、XT5というラインアップに続く末弟モデルとなる。
スリーサイズは全長4605×全幅1875×全高1625mmで、日本の狭い道路でも持て余すことのない取り回し良さが利点。パワートレインは、最高出力230ps、最大トルク350Nmを発生する2L直4ターボに9速ATが組み合わされ、エントリーモデルの「プレミアム」、装備が充実した「スポーツ」、最上級グレードの「プラチナム」という3グレード構成。今回は中間グレードの「スポーツ」に試乗する機会を得た。
XT4の見どころのひとつに挙げられるのは、そのエクステリアだ。大型のグリルに縦型のデイタイムランニングライトが装備された形状のヘッドランプユニットは、同ブランドのデザインアイコンにもなっているが、それに加えてエッジの効いたラインで構成されるスタイルは、デザインコンシャスなモデルが多いコンパクトSUVの中でも新鮮に映る。さらにタイヤを四隅に配置しオーバーハングを切り詰めたあたりも、SUVらしいタフなイメージが巧みに表現されていて、このデザインだけでもXT4を選択する価値は十分にあると言えるだろう。
一方インテリアも、ダッシュボードやエアアウトレット、メーター回りが立体的な曲面で構成されてあたりが、比較的フラットなデザインが多いモデルの中にとって斬新に感じる部分。インフォテイメント系についても、全体的にシンプルながらも機能も充実しており、スマートフォン感覚で操作できるタッチディスプレイなど最新のシステムが備わっているのも魅力のひとつといえる。標準で装備されるレザーシートは、質感も高くサポート性も良好。長いホイールベースのおかげで後席の足元も広々しており、乗員がくつろげる居住性が確保されている。
アメ車には、フワフワとした乗り心地に軽いステアリングフィールといった、”ユルい”イメージをいまだに持っている方も多いかもしれないが、XT4でそれを予想していると見事に裏切られる。可変のダンピングシステムが与えられたサスペンションは、路面の凹凸をうまくいなしながらもコーナリング時にはしっかりとロールを抑制し、剛性感の高いステアリングも相まってハンドリングはスポーティ。路面の追従性も良くワンディングも気持ちよく走ることが可能だ。これには左右後輪のトルク配分も行うトルクベクタリング機能も貢献していることであろう。
一方でエンジンも、1500rpmという低回転から350Nmの最大トルクを発生する特性により、動き始めから極めて俊敏な加速を披露してくれる。これはストップ&ゴーの機会が多い都市部では、大きなアドバンテージとなるはず。そこからさらにアクセルを踏み込んでいっても、頭打ちすることなく加速していくさまは、2Lの4気筒ユニットと思えないほどパワフルかつスムーズだ。もちろん走行モードで「スポーツ」を選択すれば、さらにアクセルレスポンスが向上し、一層パワフルな加速を味わうことができる。
他のコンパクトSUVとは一線を画した内外装のデザインに、旧来のアメ車の印象を覆すスポーティ&快適な乗り味、そして洗練されたフィーリングのパワートレインと、同カテゴリーの中でも極めて完成度の高いモデルに仕上がっていたキャデラックXT4。唯一残念なのは左ハンドルしか設定がないことであるが、日本&欧州車以外の選択肢というよりも、積極的に選ぶべきモデルになっていると言えるだろう。
【Specification】キャデラック XT4スポーツ
■車両本体価格(税込)=6,400,000円
■全長×全幅×全高=4605×1875×1625mm
■ホイールベース=2775mm
■車両重量=1760kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=83.0×92.3mm
■総排気量=1997cc
■最高出力=230ps(169kW)/5000rpm
■最大トルク=350Nm(35.6kg-m)/1500-4000rpm
■燃料タンク容量=61L(プレミアム)
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=(前)ストラット/コイル、(後)マルチリンク/コイル
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤ=(前)245/45R20、(後)245/45R20
■公式サイト
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