スズキのコンパクトハイトワゴン「ソリオ」はコンパクトで取り回しのよいボディサイズと広い室内空間を両立。また、後席両側スライドドアを採用し、使い勝手にとことんこだわったインテリアなどで人気を博してきた。そんな同モデルが、5年ぶりにモデルチェンジ。ここでは、上質でダイナミックなデザインに進化した新型ソリオ バンディットの実力を検証してみる。
ボディサイズ拡大で得た魔法のパッケージング
ルノーのカングー、最近ではプジョーのリフター。フランス車のMPV(マルチパーパスヴィークル)が好評を得ている。日本車ではミニバン人気が続いているものの、見逃せないのがMPVの存在だ。使い勝手はまさにマルチパーパス。ボディサイズがコンパクトなので、取り回しも優れている。
こうした日本車のMPV市場を拡大してきたのが、2020年12月にモデルチェンジし現行型で4代目となるスズキのソリオだ。従来型と比べてボディ全長を80mm延ばし、サイドウインドー上部やボディサイドに動きのあるラインを加えることでスマートかつダイナミックなデザインを表現。しかも、ボンネット前端を高くしたためマスクが大型化。特に、試乗モデルのバンディットはインパクトが強く存在感も増している。さらに、全長の延長分はリアのオーバーハング拡大に当てられている。実際には、荷物スペースの床奥行きが延長分の80mm以上に100mm長くなっている。それだけに、左右独立して165mmスライドする後席を最後端にしてもBセグハッチと同レベル以上の荷物スペースの確保が可能。最前端にして大柄な男性が乗り込んでも、足下スペースは前席背もたれの間に十分な余裕があるという魔法のようなパッケージングを成立させている。
パワーユニットには、アイドリングストップからのエンジン再始動用スターターが駆動用モーターとジェネレーター(発電機)を兼ねるISGに、リチウムイオン電池を組み合わせるマイルドハイブリッドを用意。アイドリングストップからのエンジン始動時にほとんど音や振動が発生せず、この点だけでもISGの役割は大きい。
日常的な場面では、発進および加速時にISGがモーターとしてエンジンをアシスト。モーターの最大トルクは50Nmに達しアクセル操作に即応して力強く立ち上がるだけに、実用性能としての満足度が高い。なおかつ、WLTCモードで19.6km/L(2WD車)という好燃費を獲得している。
サスペンションの設定も見直したことで、体感としても前後のロールバランスを改善されたことがわかる。交差点をスッと曲がるような場面でも、リアの接地感が増しその余力でフロントの旋回性が向上。そのため、街中をキビキビと駆けぬけることが楽しくなる。
サスペンションのストロークはAセグとしてはスムーズな方であり、前席の乗り心地は快適だ。リアタイヤに近い後席でも、路面からボディが縦揺れする大きめの振動が入っても不快な突き上げとして意識せずに済む。
ボディの吸遮音材も最適投入され、こもり音などを低減する高減衰マスチックシーラーを新採用。エンジンは小排気量に増えてきた3気筒ではなく4気筒を積むのでそもそも静かで振動も抑えられているだけに、吸遮音性の向上との相乗効果で静粛性が高い。また、予防安全技術のスズキセーフティサポートが進化したことも特長となる。カラーヘッドアップディスプレイは、最高速などの標識やナビと連動した交差点案内などを表示。最少の視線移動で、安全運転に必要な情報を得ることができる。高速道路での長距離運転など運転操作の負担を軽減するアダプティブクルーズコントロールには、全車速追従機能が追加された。
ファミリーカーとしての実力を上乗せした新型ソリオ、輸入車ユーザーが日常的にマルチに使うセカンドカーとしても注目したい。
【Specification】スズキ ソリオ バンディット ハイブリッドMV
■全長×全幅×全高=3790×1645×1745mm
■ホイールベース=2480mm
■車両重量=1000kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC+モーター/1242cc
■最高出力=91ps(67kW)/6000rpm
■最大トルク=118Nm(12.0㎏-m)/4400rpm
■モーター最高出力=3.1ps(2.3kW)/1000rpm
■モーター最大トルク=50Nm(5.1㎏-m)/100rpm
■トランスミッション=CVT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ドラム
■タイヤサイズ=165/65R15
■車両本体価格(税込)=2,006,400円
■問い合わせ先=スズキ 0120-402-253
公式ページ https://www.suzuki.co.jp/car/bandit/