キャデラックとしては初となるコンパクトSUV、XT4が日本上陸を果たした。一貫して徹底してきたラグジャリー性はそのままにフレッシュ感も併せ持つこのXT4は、今後キャデラックの屋台骨を支えるべく開発された入魂の1台。多くのライバルがひしめき合う中、勝負に出たキャデラックの気合いを確かめる。
ユルさなど微塵もない最新キャデラックの完成度
日本市場におけるプレミアムSUVの多くはドイツ勢が占める昨今。フルサイズからコンパクトクラスまで様々ラインナップするうえ、高性能車からエントリーグレードまで多彩な選択肢を用意することで、さらなる注目を集めることに成功している。その中でもコンパクトSUVの市場は激化するばかりで、実際街中で見ない日はないほど溢れ返っている。そんな激戦区にキャデラックは新たに「XT4」を投入、今後の屋台骨を支えるべく開発された。
エッジの効いたラインで構成されるエクステリアデザインは若手デザイナーの手によるものだ。兄貴分のXT6やXT5とはやや印象が異なり、若々しさを感じさせる。極力タイヤを四隅においてパワフルさを匂わせところもそれに拍車をかけるが、けっしてデザインだけでなく、ホイールベースを長く取ることで安定性のほかに後部座席のレッグルームを稼ぐ目的も含まれての結果だ。
コクピット周りはシンプルながらも機能性に富むデザインで、ほぼ感性に任せて操作できる。スマートフォンのように扱えるタッチスクリーンパネルやロータリーコントローラーなど、操作に戸惑うことはほとんどないだろう。レザーやトリムの質感もキャデラックらしいプレミアムな仕上がりで、同クラスのライバル勢と比較しても引けを取る印象は一切ない。むしろこのシンプルさを望んでいたユーザーも居るはずだ。
走行性に関しても同様。搭載されるエンジンは、230㎰&350Nmを発する2L直列4気筒ターボ。これに9速ATを組み合わせ、ツインクラッチAWDによって効率的に駆動を制御する。通常のツーリングモードでは燃費を考慮して100対0と前輪のみ駆動するが、他のAWD/スポーツ/オフロードモードの場合は、最大で50対50の駆動配分となるだけでなく、後輪側は左右のトルク配分も行うトルクベクタリング機能も付く。しかも、スロットル開度やシフトタイミングまでモード毎に適したセッティングをみせるとあって秀逸さも際立つ。
それだけに〝キャデラック=アメ車〞を連想している人にとっては、完全にイメージを崩されるだろう。それほど最新のキャデラックは昔とは違い、走りにこだわるドイツ勢と肩を並べるほどの高い精度に驚くことになるのは間違いない。特にシャシー性能は最新世代らしく、強靭なボディ剛性に加え、リアルタイムで可変するサスペンションと組み合わせるため、実際の重量を思わせないほど軽快感に富み、安心感も重なる。
それはスタート時から思い知らされる。ノーマルモードでも期待以上に活気に溢れ、4気筒とは思えないほどの俊敏性を見せる。特にストップ&ゴーの多い都市部では有り難く、低回転域から豊かなトルクを発生するおかげで、ほとんどストレスを感じることはなかった。高速域での中間加速も悪くない。ターボらしいエンジンフィールが功を奏し、期待以上の加速を味わえる。もちろんスポーツモードでは、さらに拍車がかかる。ワインディングでは、4輪がしっかりとスクラムを組むような安定感と的確な舵角によりスムーズな走りを満喫できる。
もはや、ここまで出来が良いとアメ車という印象は皆無。実に優秀だと思う。脱・日&独を意識し始めた人には特にお勧めしたい。
【Specification】キャデラック XT4スポーツ
■車両本体価格(税込)=6,400,000円
■全長×全幅×全高=4605×1875×1625mm
■ホイールベース=2775mm
■トレッド=(前)ー、(後)ーmm
■車両重量=1760kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=83.0×92.3mm
■総排気量=1997cc
■圧縮比=ー
■最高出力=230ps(169kW)/5000
■最大トルク=350Nm(35.6kg-m)/1500-4000rpm
■燃料タンク容量=61L(プレミアム)
■燃費=ーkm/L
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=(前)ストラット/コイル、(後)マルチリンク/コイル
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤ(ホイール)=(前)245/45R20(ーJ)、(後)245/45R20(ーJ)
■公式ページ https://www.cadillacjapan.com/xt4/model-overview.html
この記事を書いた人
1967年生まれ。東京都出身。小学生の頃に経験した70年代のスーパーカーブームをきっかけにクルマが好きになり、いつかは自動車雑誌に携わりたいと想い、1993年に輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。経験を重ねて1999年には三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務。2008年から同誌の編集長に就任し、2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。フリーランスとしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動している。
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