激戦のカテゴリーで主役の座を狙う
昨年12月、東京都の小池知事が突然「2030年までに乗用車の非ガソリン化を目指す」と発言してから、我が国では電気自動車(BEV)への注目度が俄然高まってきたようだ。一方、自動車先進国として自他ともに認めるドイツでのBEVの販売台数はすでに昨年20万台弱、シェアは6.7%に達している。ドイツでBEVが伸びている理由に100万円近い高額なインセンティブ(補助金制度)が挙げられるが、次々と魅力的なモデルが市場投入されているのも大きな要因といえる。
電気モーターをリアアクスル上に搭載して前輪を駆動。66.5kWhのリチウムイオン電池はフロア下にレイアウトされる。
そして今年、先陣を切って発表されたのがメルセデス・ベンツEQAだ。一昨年に市販化をスタートしたものの残念ながら売れ行きが芳しくないEQCに続く第2弾モデルは、そのモデル名から想像できるようにコンパクトセグメントに属し、全長は4.46mとほぼGLAのそれに近く、同セグメントのフォルクスワーゲンID.4よりも12cm短い。
デザインはチーフデザイナーのゴーデン・ワーゲナーが唱える「プログレッシブ・ラグジュアリー」に則ったもので、フロントエンドはEQCに似たV字シェイプだが、全体のシルエットはGLAに近いいわゆるクロスオーバーSUVだ。
コンパクトセグメントを超えるクオリティにより、メルセデスが提案する「エナジャイジング」、快適を超えた癒しの空間を提供する。
注目は洗練された空力特性で、スムーズなアンダーフロアやエアロホイールの採用、そして前面投影面積が2.4平方メートルに抑えられた結果、Cd値は0.28と優秀で、航続距離の延長に貢献している。
当初発売となるモデルが搭載する電気モーターの最高出力は140kW(190PS)、最大トルクは375Nmで、前輪を駆動。エネルギー源となるリチウムイオン電池は66.5kWhで、ダイナミック性能は0→100km/h加速が8.9秒、最高速度は160km/hと発表されている。注目の航続距離はNEDCで486km、充電は家庭のACウォールボックスあるいは公共充電ステーションで5.45時間、急速充電では10~80%までであれば30分で済む。
コンパクトSUVということで、今後は4WDモデルも追加予定。最大航続距離は486kmだからスノーエクスプレスとしても使えそう。
このEQAには将来的に140kWから200kWまでのパワーレンジの追加と4WDシステムの搭載、さらには500㎞超の航続距離を可能にするモデルも用意される予定。生産はドイツのラシュタットおよび中国の北京で行なわれ、2021年の春先から欧州を中心に販売が開始される。注目の価格はベースモデルのEQA250がドイツで約4万7540ユーロ(約600万円)と発表されている。