1985年誕生の初代「Y10」から累計で300万台の生産を達成
FCAはこのほど、ランチアのコンパクトハッチバックモデル「イプシロン」が、1985年の「Y10」から35周年という節目を迎えたことを報ずるとともに、累計生産台数が300万台に達したことを発表した。
洗練されたスタイル、ディテールへのこだわり、上質なファブリックシート地、そして上級セダン並みの機能性により、イプシロンはこれまで、ルックスにこだわりを持つユーザーから、あるいは街を快適に移動する普段使いのセカンドカーとして、確かな支持を受けてきた。
1985年のジュネーブ・モーターショーでデビューした「Y10」は、エレガントなBセグメントモデルを一般の人々に提供することを目的に、フィアットのチェントロスティーレ(デザインセンター)が設計。シックで洗練されたそのデザインは高級サブコンパクトモデルとして瞬く間に認知度を高め、累計100万台を生産した。
1995年、車名が「Y」に変更された2代目も、シックなスタイルやディテールにこだわったデザインを受け継ぎ、シティカーのカテゴリーでプレゼンスを高め、ファッションや映画、アートの世界でも取り上げられるモデルとなった。デザインを担当したのは、当時ランチアのチェントロスティーレを率いていたピニンファリーナ出身のエンリコ・フミアだ。
2003年に登場した3代目から正式車名が「Ypsilon」に。3ドアハッチバックボディは歴代モデルから受け継がれたが、ボディサイズは全幅が1.7mを超えた。また、ピラーの付け根から上を別のカラーにペイントする「Bカラー」仕様が新たに設定された。
そして現行型となる4代目は2011年に登場。小型化によってそれまでのBセグメントからAセグメントに移行した一方で、初めて5ドア化された。2015年の改良では内外装デザインが見直され、さらにエレガントで洗練されたモデルとなった。パワーユニットは、1.2L直列4気筒ガソリン「ファイア」や1.3L直列4気筒ディーゼル「マルチジェット」、0.9L直列2気筒ターボ「ツインエア」などが設定された。また、米クライスラーとの統合により、日本や英国などではクライスラーのバッジをつけたイプシロンが発売された。現行モデルにはマイルドハイブリッド仕様「EcoChic」も設定され、すでに3万台が生産されている。
初代から一貫してデザインコンシャスな魅力を放ってきたイプシロンはまた、ファッションブランドなどとのコラボレーションにも積極的。スポーツブランド「フィラ」や、ファッションブランド「ミッソーニ」、ヘルメットなどを手がける「モモデザイン」などとのコラボモデルを展開。2011年から現在まで販売されたイプシロンの20%以上がコラボモデルを含むスペシャルエディションだった。
そんな歴史を積み重ね、初代Y10から35周年を迎えたイプシロン、このほど同社では、累計生産台数300万台達成とともにそれを祝うためのデジタルプロジェクト「イプシロン・ドリーマーズ」をスタートさせた。
このプロジェクトは、イプシロン・オーナーそれぞれが、愛車とのストーリーを写真とともにハッシュタグ「♯YpsilonDreamers」をつけてソーシャルメディアに投稿してもらうというもの。スペシャルスポークスマンとして、1999年生まれの女子学生、ジュリア・バッサーニさん(SNSのハンドルネームは@astro_giulia)を起用。彼女は現在、航空宇宙工学を学んでおり、非営利団体の研究機関「ブルー・マーブル・シペース・インスティテュート・オブ・サイエンス」の副研究員で、有人火星ミッションに関する国際的な研究プロジェクトに取り組んでいる。