【国内試乗】「トヨタ GR ヤリス」思い通りに操れる痛快コンパクト!

TOYOTA GR YARIS
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WRCマシンを彷彿とさせるトヨタGRヤリス。ついに市販モデルの試乗会が開催された。1.6L直3ターボエンジン+6速MTを搭載するRZ/RZハイパフォーマンス、そして1.5L直3+CVTのRSは一体どんな走りの世界をみせてくれるのだろうか?

タイトコーナーが楽しい日本の峠ベストの走り

タイトコーナーが連続するワインディングロード、ステアリングを時計の短針に見立てれば左なら8時あたり、右なら4時あたりまでワンアクションの範囲で大きく切り込む場面だ。日本のワインディングロードにはそんな場面が少なくないが、操作が忙しくリポーターとしては好まなかった。

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4WDモデルのRC/RZ/RZハイパフォーマンスは272ps/370Nmを発生する1.6L直3直噴ターボエンジンに6速MTを搭載。FFのRSは1.5L直3+CVTに組み合わせる。

だが、GRヤリスで走るならハナシは違ってくる。とにかく楽しい、ずっとコーナーを攻め続けたくなる。ベースモデルのヤリスと比べると、ボディ全幅が110mmワイドになり1805mmに達しているが全長は3995mmとコンパクトだ。そのため、身体感覚でボディサイズが把握しやすいのだ。

TOYOTA GR YARISしかも、RZが積む専用開発となる1.6Lの直列3気筒ターボエンジンは最大トルクが370Nmに達するが力強さを持て余すことがない。だが、タイトコーナーの立ち上がりでは、ちょうどトルクが盛り上がる回転域と一致するだけに刺激の度合いはかなり高い。

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アッパーボディには、アルミ素材のエンジンフード、バックドア、ドアパネルに加え、CFRP素材のルーフパネルを採用する。

さらに、RZのハイパフォーマンス仕様はスピーカーからノイズと逆位相になる音とサウンドを際立たせる音を発するアクティブノイズコントロールを装備。エンジンの爆発圧力の大きさを強調する鼓動感があり、高回転域にかけて音質が低周波から中高周波に移るので加速の臨場感も増す。

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インテリアの基本デザインは「ヤリス」と同じ。「RZ“ハイパフォーマンス”」には、ウルトラスエードと合成皮革を用いたプレミアムスポーツシートを採用する。センターコンソールには専用エンブレムが付く。

最高出力の272psを発揮するのは6500rpmだが、レブリミットは7000rpm。低いギアではトップエンドまでパワーの頭打ち感がなく、加速の伸びが鋭い。2速でそこまでブン回しても速度は100km/hに届かないので、高速道路の本線合流なら胸のすく高回転域特性が楽しめる。

TOYOTA GR YARISGRヤリスは、この性能を受け止めるシャシーも鍛え上げられている。タイトコーナーの立ち上がりで積極的にアクセルを踏み込んでも、狙った走行ラインを外すことがない。電子制御多板クラッチにより前後トルク配分は最適制御され、リアがフロントを押し出すようなアンダーステアも回避できる。ステアリングは切れ味がスムーズであり、それでいて手応えはやや重めのシッカリ系だ。

TOYOTA GR YARIS下り勾配のコーナー進入時も、不安なく飛び込んでいける。ブレーキは、ペダルタッチの剛性が高く与える踏力に対して正確に制動力を立ち上げる。走行モードの選択により、ノーマルでは多板クラッチがフリーになりステアリング操作に対してスッと曲がる小気味よい応答性が得られる。

TOYOTA GR YARISトラックモードなら減速時にリアにもエンジンブレーキが強めに働き、接地性が増すことでサーキットでの速域を含め安定性が向上する。ただ、ブレーキ操作による荷重移動を意図して活用しないと曲がりにくさを感じ、それなりのスキルが要求されるモードだという。スポーツなら、ノーマルとトラックの中間的な制御となる。サーキットにおける、コーナー進入時の安定性と操縦性が高次元でバランスされているはずだ。

TOYOTA GR YARISところで、GRヤリスは1.5Lの直列3気筒エンジンにCVTを組み合わせるFFのRSも選べる。雰囲気はRZそのもので、下り勾配のコーナーが連続するワインディングロードならけっこう楽しめる。一方で、エンジン性能は街乗りベストな設定だ。加速時はDレンジでもCVTがステップ制御されるので、エンジン回転の高止まり感がない。なお、販売比率は約2割に達しているそうだ。

TOYOTA GR YARIS

RZ“ハイパフォーマンス”には前後にトルセンLSDを搭載。また、冷却スプレー機能付空冷インタークーラーも加えられる。

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フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ルボラン2021年1月号より転載

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